【テヘラン＝吉形祐司、ワシントン＝淵上隆悠】イランの核開発を巡り、米国とイランの高官協議を仲介しているオマーンのバドル・ブサイディ外相は１４日、自身のＸで、１５日に予定していた第６回協議の中止を発表した。 イスラエルのイラン攻撃で、イラン核疑惑の解決へ向けた協議が宙に浮いた格好だ。 ブサイディ氏は理由を説明していないが、イスラエルとイランの軍事衝突が背景にあるのは明白で、次回協議には触れていない。第６回協議では、ウラン濃縮の権利を主張するイランと、完全放棄を求める米国の対立の妥協点が見いだせるか注目されていた。 協議直前にイランを攻撃したイスラエルは、イランにわずかでも核開発をゆるせば、将来的な核兵器保有につながることを懸念していた。協議の中断は、イスラエルの思惑通りと言える。 イランのアッバス・アラグチ外相は１５日、各国大使らを前にした演説で、第６回協議で合意可能な提案を行う予定だったと明らかにし、「イスラエルは合意を望まず、交渉や外交にも反対した」と批判した。 米政府高官は１４日、本紙の取材に、「我々は引き続き協議に関与する。イランがすぐに（交渉の）テーブルに着くことを望む」と述べた。ただ、イランはイスラエルの後ろ盾の米国を非難し、中東各地の米軍基地への攻撃も選択肢に挙げている。イランが米軍を攻撃する事態になれば、協議の早期再開は絶望的だ。アラグチ氏は「イスラエルが攻撃をやめれば、我々の反応も自然に止まる」と語った。
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