【バンフ（カナダ西部）＝山本貴徳】先進７か国首脳会議（Ｇ７サミット）に出席する各国首脳は１５日、続々とカナダ入りした。 　１６日からアルバータ州カナナスキスで始まる議論では、緊迫する中東地域をはじめとした国際情勢のほか、米国の関税措置などが主要議題に上る見通しだ。Ｇ７としての団結を内外に示せるかが焦点となる。 　イスラエルとイランの攻撃の応酬は激しさを増しており、ロイター通信によると、首脳らは事態の沈静化に向け、双方に緊張緩和や外交的解決を促す共同声明を採択する方向で調整している。このほか、重要鉱物のサプライチェーン（供給網）の強化策といった経済安全保障、人工知能（ＡＩ）の活用などについても話し合う。石破首相は、インド太平洋地域の安全保障を巡る協議を主導したい考えだ。 　民主主義や法の支配といった価値観を共有してきたＧ７は、サミットでの議論を踏まえ、全体を総括する首脳宣言を採択してきた。だが、Ｇ７のメンバー国も含めて各国に高関税を課すなど、米国第一主義を貫くトランプ大統領と他のメンバー国との溝を埋めるのは難しいことから、議長国カナダは首脳宣言の取りまとめは行わない方向だ。 　代わりに協力できる分野で妥協点を見いだし、個別の合意文書を発表する方針に転じたとされる。欧州連合（ＥＵ）高官によると、カナダは議長声明の発表も検討しているという。 　一方、ウクライナ支援を巡る議論には同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領も参加し、支援の継続を訴えるとみられる。ほかにもインドやブラジル、南アフリカなどの首脳が招待されており、「拡大（アウトリーチ）会合」に参加する。ウクライナ侵略を続けるロシアや、覇権主義的な動きを強める中国を踏まえ、Ｇ７と新興・途上国「グローバル・サウス」との連携を深化させる狙いがある。