【ブダペスト＝福井浩介】柔道の世界選手権ブダペスト大会第４日の１６日、女子６３キロ級で初出場の嘉重春樺（かじゅうはるか）（ブイ・テクノロジー）が、決勝でカトリーヌ・ボーシュマンピナール（カナダ）を延長の末に優勢勝ちで破り、初優勝を飾った。 同級の日本勢の優勝は２０２２年の堀川恵（パーク２４）以来３大会ぶり。 抜群の寝技で、２５歳の嘉重が世界一に上り詰めた。「うれしいのと、もっと頑張らないといけないという気持ち」。気を引き締める、初出場初優勝となった。 ともに寝技を武器とする東京五輪銅のボーシュマンピナールとの決勝は、好機を見極め、勝ちきった。立ち技で劣勢になり、自らが指導を一つ受けて延長へ。一つでもポイントが入れば勝敗が決する緊迫の場面で仕掛けたのは、嘉重だった。ともえ投げを狙って引き込んだ後、体勢を入れ替えて上に。「得意な形。絶対に決めようと逃がさないつもりで抑え込んだ」。間髪入れず、相手を封じた。「彼女が私の上に乗り、巧みな技術で、動けるスペースを狭めてきた」。ボーシュマンピナールがあっけにとられる間に、試合は終わった。 徳島県出身で、環太平洋大から「柔道を続けたい」との思いでブイ・テクノロジーに入社。地道に寝技を磨き、昨秋の講道館杯全日本体重別選手権で初優勝した後、国際大会を立て続けに制覇してきた。「ワンチャンスを決めるところを、もっと突き詰めていけたらと思う」。伸びしろたっぷりの新女王が誕生した。（平地一紀） ブイ・テクノロジー・宇高菜絵監督「自分が（現役時代に世界選手権の金メダルを）取ったのが２９歳なので、ちょっと悔しい気持ちはある。でも、日本代表になるのは難しいし、何回出ても優勝できない選手もいるので、このチャンスを生かしたことは、教え子だけど尊敬している」
