2027年、マクラーレンが世界耐久選手権（WEC）に復帰する。この一報だけでも十分に歴史的だが、さらに驚くべきは、そのル・マン・ハイパーカーを実際に「所有」できるという、まったく新たなフェーズへと踏み出すことだ。マクラーレン・オートモーティブとマクラーレン・レーシングが共同で発表したカスタマーパートナーシップ・プログラム「Project: Endurance」は、本物のル・マン・ハイパーカーを選ばれた顧客に提供するという、比類なきプロジェクトである。 【画像】マクラーレンの戦いをただ傍観するのではなく、直接その一翼として体験できる稀有なチャンス（写真7点） Project: Enduranceでは、マクラーレンが2027年にWECへ投入するLMDhハイパーカーと並行して、極めて少数のカスタマーカーが開発される。その所有者は、ル・マンを含む三大レース制覇──いわゆるモータースポーツの”トリプルクラウン”を、1シーズンで成し遂げようとするマクラーレンの戦いを、ただ傍観するのではなく、直接その一翼として体験することになる。 加えてこのプログラムには、マクラーレン・エンデュランス・レーシングがWECでのハイパーカー・デビューに向けて実施するテスト走行や開発作業、舞台裏での取り組みにアクセスできるという、前代未聞の特典が用意されている。さらに、オーナーは2年間にわたって世界有数のサーキットにて、マクラーレンのサーキット走行プログラムにも参加可能だ。各イベントではプロドライバーによる個別指導が受けられ、専属のピットクルーやエンジニアが一貫してサポートを行う。 この唯一無二の体験について、マクラーレン・グループ・ホールディングス CEOのニック・コリンズは、こう語っている。 「マクラーレン・オートモーティブとマクラーレン・レーシングが協力して、大胆にも本物のル・マン・ハイパーカーを所有する経験をお客様に提供できることを、たいへん喜ばしく思います。ひと握りのしか体験できない最新のLMDh レーシングカーを所有できるのみならず、2027年FIA世界耐久選手権でのマクラーレンの挑戦を支える開発・レースプログラムに、完全に没入できる特別な機会を得られるのです。また、Project: Endurance 専用のサーキット走行プログラムも含まれます。この信じられないような機会によって、マクラーレンとお客様とのパートナーシップは新たな次元に進化します」 Project: Enduranceのマシンは、WECに参戦するマクラーレン・ユナイテッド・オートスポーツのLMDh車両と同様、レース仕様のツインターボV6ハイブリッド・パワートレインを搭載し、後輪を駆動する。製造を担うのは、NTTインディカー・シリーズの独占パートナーであり、著名なレーシングカー・コンストラクターであるダラーラ社だ。 マクラーレン・レーシングCEOのザック・ブラウンも、このプロジェクトに深い確信を寄せている。 「FIA 世界耐久選手権復帰によって、マクラーレン・レーシングのエキサイティングな新章が始まります。私たちはマクラーレン・オートモーティブと共に、モータースポーツで豊かな歴史を築いてきました。1995年に初挑戦でル・マン優勝を果たしたのもそのひとつです。このカスタマー・プログラムは購入者にとって、本物のレーシングカーを所有し、レース活動の中枢に迫る、信じられないような機会となるでしょう」 Project: Enduranceのオーナーには、WECでのマクラーレン・ハイパーカー開発プログラムの中心へと踏み込む道が開かれている。主要スタッフやドライバーと直に関わりながら、LMDhプログラムの舞台裏を知るだけでなく、彼ら自身がマクラーレン・エンデュランス・レーシングの物語の一部となるのだ。 ル・マン24時間、インディアナポリス500、そしてF1モナコGP。この3つのレースすべてで優勝したことのある唯一のチーム──それがマクラーレンである。Project: Enduranceは、栄光の過去に連なるのではなく、その”未来”をともにつくる機会だ。2027年、マクラーレンは1シーズンでこの3冠制覇を成し遂げるという、かつてない挑戦に臨む。そして、その道のりをともに歩むのは、レーシングチームだけではない。彼らのマシンを所有する、選ばれし顧客たちもまた、ステアリングの向こうにあるその夢を、直に握ることになる。