誕生から26年、アザラシのキャラクター『しろたん』が根強く愛されつづける理由…絶対にしない「2つのこと」があった

1999年生まれのアザラシのキャラクター『しろたん』 1999年に誕生したたてごとアザラシのキャラクター『しろたん』をご存じでしょうか? 近年は棋士・藤井聡太さんが対局中に「巾着袋」を使用されていたことや、俳優・本郷奏多さんが自身のYouTubeでファンを公言していることでも知られています。 「ぬい撮り」やぬいぐるみのお直しや洗濯を手掛ける会社のSNSでも見かける機会の多い『しろたん』。長年にわたって老若男女の「相棒」となって、暮らしを支えていることが分かります。熱量の高いファンを惹きつけてやまない秘密はいったいどこにあるのでしょう。『しろたん』を手掛ける株式会社クリエイティブヨーコの宮島律子さんと川口太香恵さんにお話を伺いました。 『しろたん』誕生秘話 もともと、オリジナル生活雑貨を企画・販売していたクリエイティブヨーコ。1993年に神奈川県にある横浜・八景島シーパラダイスのなかに、海の生き物をモチーフにした雑貨などを販売する「八景島プクプクアイランド」をオープンさせました。お土産アイテムとして販売されていた「アザラシのぬいぐるみ」が大人気となり、『しろたん』と名前が付けられることに。 「アザラシのぬいぐるみ」として販売されていた時期はマスコットサイズのものや、ぬいぐるみ形状の携帯クリーナーなどが主流でしたが、『しろたん』となってから大きなサイズの抱き枕が登場。全国にあったクリエイティブヨーコの直営店、Mother gardenに『しろたん』の抱き枕が並ぶようになると、たちまち人気を博し、『しろたん』を象徴するロングセラー商品となりました。 こだわりの手触り 当時、Mother gardenで『しろたん』を購入していたのは主に20代後半から30代でした。現在はその子ども世代が成人し、2世代に渡って「しろたんファン」となるなど、幅広い世代によって人気が支えられています。長く愛されるために、何よりもこだわっているのはその手触り。ぬいぐるみに関しては商品企画からすべて自社で行っており、『しろたん』に見合う手触りの良い生地を厳選し、それを形にしています。自分たちが一番良いと思うものをそのまま消費者のもとに届けられる、ということが同社の強みだといいます。 企業理念は「なごみ・いやし・はげまし・ふれあい」 クリエイティブヨーコの本社は長野県にあります。長野県の自然の豊かさに魅せられた創業者が、大阪から移住をして事業をはじめました。都会で疲れた身体や心を大自然のなかで癒す、そのような気分が企業風土の根底にはあり、現在のものづくりにまで続いています。企業理念は「なごみ・いやし・はげまし・ふれあい」。そんな理念を『しろたん』はまさに体現しています。 季節に合わせたイラストの魅力 XやInstagramなど公式SNSでは流行や時節に合わせて、いろいろなところに行ったり、さまざまなものに変身したりする『しろたん』の姿がアップされています。エイプリルフールに日本画風「白丹」になったり、国際パスタの日にはパスタに変身したり……。思わずクスッと笑ってしまうようなものも多くあります。大きな反響があった「白丹」はその後、商品化もされました。 「しろたん」を手掛けるデザイナーが、それぞれ自由に工夫をして、面白いことや楽しいことを考えているといいます。「こうしたら面白いのではないか」と思うとすぐに実行に移すフットワークの軽さが、SNSの投稿には反映されています。イラストの雰囲気や背景などは基本的にはデザイナーそれぞれの個性に任せていますが、けっして変えずに守り続けているのが目と眉毛の比率です。シンプルなキャラクターである分、少し比率が変わるだけで、まったく別のキャラクターのように見えてしまうそうです。 『しろたん』が“絶対にしないこと” そんな『しろたん』には “絶対にしないこと”があります。それは「誰かと戦うこと」と「マイナスな言葉を言うこと」。さりげなくまわりを励まし、癒す、そんな『しろたん』のイメージを壊さないように細心の注意を払っているといいます。 長年のファンの方々ががっかりしてしまうような『しろたん』にはしない。デザイナーとディレクターからなる「しろたんチーム」は日々同じ気持ちでイメージを守りつつ、ただ守るだけではなくて、ちょっとギャップを出して攻めてみたり、このくらいまでならば大丈夫そうだと調整したりして、さまざまな表情の『しろたん』を生み出しています。そのようなチームワークの良さによって、いつも安心感がありながら、時にさまざまな魅力でわたしたちを楽しませてくれる『しろたん』の姿が形づくられています。 長年愛してくれたファンの方々とともに いままでライセンスアウトをせず、自社のみで商品開発をしていた『しろたん』が2017年からライセンスビジネスに参入。自社では製造できないアイテムや販路への拡大を進め、2022年には初めてサンリオキャラクターズとのコラボが実現しました。そこからは、不二家や初音ミクなど、様々なコラボで活躍の場を広げるほか、カプセルトイやクレーンゲームにも登場しています。 時代に合わせて変化していくなかで、たとえ市場規模が大きくなったとしても、「なごみ・いやし・はげまし・ふれあい」を届ける『しろたん』の良さはそのままに守り続けていきたいといいます。一時のブームやインターネット上での“バズ”に流されることなく、長年愛してくれたファンの方々とともにじわじわと右肩上がりで知名度を伸ばしていくのがベストだと考えています。1人1人の暮らしに寄り添う不思議な魅力を持つキャラクター『しろたん』の背後には、堅実で温かな企業の姿勢がありました。 画像はすべてクリエイティブ・ヨーコ提供 【もっと読む】飼育員さんも思わず触りたくなる「ふわふわ」…新江ノ島水族館、みんなで見守った待望の「赤ちゃんアザラシ」がかわいすぎる

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