沖縄戦から80年 過去学ぶ双子の姉妹に密着 戦没者名を…願い込め【バンキシャ!】

6月23日は沖縄「慰霊の日」。24万人を超える戦没者の名前を読み上げる取り組みが行われています。バンキシャ!は、その活動に参加した13歳の双子の姉妹に密着。親族から聞く、80年前の当時の様子──。芽生えた思いとは。(真相報道バンキシャ!) ◇ 沖縄県北中城村。バンキシャ!が村、唯一の中学校を訪ねると、生徒たちの歌声が。中学2年生の仲村伊冬さん(13)と、双子の妹・伊世さん(13)。 ──仲村姉妹は、普段どんな感じ? 「うるさいです」 「ずっとケンカしてる」 妹・伊世さん 「なんで悪口しか言わないの」 ムードメーカーの2人。いつも笑顔が絶えない。よく遊びに行く、お気に入りの場所に案内してくれた。 姉・伊冬さん 「きょうの海はめっちゃきれい。透き通っている。沖縄、自慢の海」 80年前にこの地で起きた戦争。2人はその凄(せい)惨な歴史と深く向き合おうとしていた。1945年3月、太平洋戦争末期にアメリカ軍が沖縄に上陸。住民が巻き込まれる地上戦が、繰り広げられた。 沖縄・糸満市の平和祈念公園にある「平和の礎」。沖縄戦などで亡くなった全ての戦没者、24万2567人の名前が刻まれている。沖縄では3年前から、戦没者全員の名前を読み上げ、世界に配信する取り組みが始まった。 犠牲になった一人一人の命について考え、「二度と戦争を繰り返してはならない」という願いが込められている。 今年は世界各地から5000人以上が、6月23日の慰霊の日まで23日間かけ、戦没者の名前を読み上げる。双子の姉妹、伊冬さんと伊世さんも参加する。 妹・伊世さん 「残っているのが名前しかない。それを自分たちが読み上げることによって、全国の人たちに伝わったらいい」 ◇ 沖縄戦で、13歳の姉妹・伊冬さんと伊世さんの曽祖父を始め、家族の多くが犠牲となった。 ──おばあちゃんの名前もあるけど、秀子さん。おばあちゃんが生き残ってくれたことに対しては? 妹・伊世さん 「本当に感謝」 姉・伊冬さん 「命がない。おばあちゃん生きてなかったら」 沖縄戦を祖母・秀子さん(82)が生きぬいてくれたから、今、自分たちの命がある。その思いは戦争を知るほど強くなったという。どのようにして自分たちに命がつながったのか。沖縄戦を経験した親族を訪ねた。 祖母の姉・千代さん(87)。聞かせてくれたのは、当時の悲惨な記憶。 祖母の姉・千代さん 「防空壕(ごう)のあちこちに、人が弾で傷ついて、死んでいる人もいた」 アメリカ軍が迫るなか、当時7歳だった千代さんは父と、妹の秀子さんを背負った母とともにガマと呼ばれる天然の洞窟に逃げ込んだ。 祖母の姉・千代さん 「食べ物もない。いつもおなかすかせてた」 ガマにこもって数日後、食料が尽き、千代さんの母はある決断をくだしたという。その時の様子は、千代さんから話を聞いてきた、千代さんの娘・悦子さん(68)が教えてくれた。 千代さんの娘・悦子さん 「ここにいても、どうせ死んでしまうから、子供たちを連れて壕(ごう)を出ようと。そして出て行ったら、(米兵に)こんなしぐさをしたそう。『わったーくるすんな』『わたしたち殺すのか』って」 「自分が(娘たちを)守るんだという気持ちで、米兵の前でも自分から向かって行った」 千代さんたちはガマを出たが、ケガで動けなかった千代さんの父は1人残り、そこで亡くなったという。伊冬さんと伊世さんにとっては、初めて知る曽祖父の最後…。 姉・伊冬さん 「体験者から実際、自分が見た光景を聞くことがなかったから、しかも自分の家族から。それ自体が大切だし、貴重なことだと思う」 妹・伊世さん 「もっと深く調べて、知りたい」 2人は曽祖父が亡くなった場所を訪れることにした。そこは今、公園になっていた。アメリカ軍が撮影した当時の写真で、激しい砲撃で無数の穴が空いているのがわかる。曽祖父たちが逃げ込んだガマは、砲撃で破壊されたというが、2人はその痕跡を探した。 妹・伊世さん 「入れるのこれ?」 母・美和さん 「危ないから、外側から見るだけ」 残っていたのは、日本軍が身を隠しながら攻撃を行っていた場所。 妹・伊世さん 「ちゃんと残っているのは、初めて見た」 80年前、ここで戦った人たちがいたのだ。 姉・伊冬さん 「おじいちゃん(曽祖父)も、こういう景色見てたのかなって、悲しくなる」 ◇ 沖縄戦の歴史を知った、伊冬さんと伊世さん。20日、24万人を超える戦没者の名前を読み上げ、配信する取り組みに参加した。 今回は両親と4人で1000人の戦没者の名前を読み上げる。平和であることへの感謝と、未来への願いを込める。そして、最後は家族4人で亡くなった曽祖父たちの名前を読み上げた。 「大城成徳 おじいちゃん」 「大城徳正 おじさん」 姉・伊冬さん 「おばあちゃんから話を聞いて、考えさせられた。戦争について」 「この思いを(私たちが)つないでいった方がいい」 (6月22日放送『真相報道バンキシャ!』より)

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