石破政権が国民を苦しめるほど「ドケチ」なのはなぜか?日本の政治は「財務省」が決めているという「残酷な現実」

消費税減税、物価高対策、賃金アップ……。なぜ、石破政権はこうした問題に対して消極的なのか? 新刊『トランプ・ディールで日本復活!』を上梓した、京都大学大学院教授の藤井聡氏は、政治家が財務省のコントロール下にあることが問題だと指摘する。元内閣官房参与だからこそ知っている、日本経済の裏事情についてくわしく解説していただいた。 「お金がかかること」を嫌がる財務省 前編記事〈石破政権はなぜ「減税」に消極的なのか?国民の「手取り」を増やさず「貧困化」を放置するワケ〉で、石破政権は国民の「手取り」を増やすような策をせず、ケチな態度を崩さないのはなぜか、疑問を投げかけました。 答えは簡単です。石破政権は「財務省」がこしらえた制限を決して超えようとしない、「臆病」な政権だからです。 財務省は、収入が減ること、支出が増えることがとにかく嫌なのです。要するに「ドケチ」なのです。 まずもって消費税の減税なんて大っ嫌い。178万円への壁引き上げによる所得税減税も絶対に嫌。国民が小麦を安く買えるようにするのも、お金がもったいないから嫌。ガソリンの補助金はちょろっとやるけれど、やっぱり嫌。 そうなってしまうのは、そうした物価高対策はすべてお金のかかるものだから、財務省がそれらを徹底的に嫌がるのです。そして石破政権は、財務省が嫌がることを決してやらないのです。 岸田前首相もまた財務省が設けた「囲い」から決してはみ出さない政治をやっていたので、普通の国がやる当たり前のことを決してやらなかったのです。 今、国民が大いに困っている実質賃金の下落をどうにか食い止めるのは普通の国では当たり前のことですが、財務省の反対によって何もできない状況にあるのです。これは、石破首相も全く同じです。 日本の政治は財務省が決めている? 政治や行政において決定的に重要なのは予算編成です(ただし、社会保障・医療介護費に関わるもの以外、ではありますが)。事実上の予算編成権を握っている財務省が日本の政治の枢要部分を事実上すべて、決定しているのです。 逆に言うと、予算と財源以外、財務省は気にしません。例えば「LGBT理解増進法」なんてお金がかからないので、どうでもいい、勝手にすればよい、という態度です。しかし、お金が絡むことは決して、勝手にすることを許しません。これは決して大げさな話ではありません。 だから日本の政治は、実は政治家が決めているのではなくて、財務省が決めているという側面があるのです。 より正確に言うとするなら、財務省は、大量の職員と長い時間をかけた様々な工作を通して、「ケチ」な態度を徹底的に政治家に教え込み(つまり“洗脳”し)、「ケチ」であることが正義なのだと思わしめ、政治家が「自発的」に言っていることやっていることが結果的に、財務省が言いたいことやりたいこととなるように仕向けているのです。 つまり実に多くの(とりわけ、岸田氏や石破氏といった総理大臣クラスの重要な)政治家は、財務省の「掌の上」で転がされているような状況にあるのです。 政治家が財務省の言いなりになるワケ もちろん、そんな政治家であったとしても、時折財務省の意向に沿わない発言、例えば、消費減税も選択の一つだとか、発言してしまうこともあります。 しかしそんなとき、財務省は迅速に「ご説明」に行き、消費減税がいかに愚策なのかを滔々と説明するのです。もともと「ケチ」な思想を持つ政治家はそんな説明を聞けばすぐに納得してしまうことになります。 仮に納得せずに消費減税が必要だという信念を変えない政治家が現れたとしても、そういう政治家に対しては、財務省の権限を使って、予算措置で厚遇しない方向の調整を図ったり、国税庁の権限を使って(脱税等の)スキャンダルを表沙汰にする等の工作を通して、その政治家の信頼性を貶めたりすることも可能です。 ここで重要なのは、実際に財務省がそんな「工作」をしていなくとも、そういう工作があるかもしれない……という恐怖心、ないしは疑心暗鬼をほのかに政治家集団の間に共有させておくことができれば、それだけで十分に財務省の意にそぐわない発言をしないようにさせる強力な抑止力となります。 もちろん、それを突破して財務省の意に沿わない発言をする政治家も存在するには存在しますが、以上の様々な工作ゆえに、そうした政治家は極めて限定的となってしまう、というのが、現実なのです。 いずれにしても財務省はこうして実に多くの政治家を濃密にコントロールしているのであって、大半の政治家は結局、歳を重ねれば重ねるほどに「ケチ」(一般に、そういう態度は、“緊縮主義”“緊縮思想”、英語ではausterity =オーステリティと呼ばれています)な態度を持つ政治家になっていくのです。 【もっと読む】噂の美人妻が明かす…石破茂が4度目の総裁選で落選した時、家庭で見せていた「意外な姿」

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