再配達が課題となっている宅配便。国はその解決に向け、「置き配」を標準サービスとする案などを検討する方針です。手渡しはどうなるのでしょうか? 【写真を見る】宅配荷物 「手渡し」追加料金の可能性 いくらになる?専門家の予想は 宅配便 再配達が課題に 伝票のバーコードでオートロック解除も 井上貴博キャスター: 国交省の調査によると、ネット通販の普及に伴い、宅配便の取り扱い個数は年々増加していて、2009年は約31億個でしたが、2023年には50億個を超えているということです。 一方で、再配達による負担の増加が課題となっています。政府は2025年3月までに再配達率を12%から、6%に半減させることを目指していましたが、2025年4月の再配達率は約8.4%と、目標の達成にはいたっていません。 配送業者の体感として、東京都内の場合、平日昼間は10件配達に行って3件は不在で、再配達行っても不在というケースもあり、精神的にも肉体的にも疲弊しているという声が聞かれました。 高柳光希キャスター: その対応策の一つとして、“オートロックドアの壁”を解消するため、鍵メーカーの美和ロックが開発したのが、荷物に貼付されている伝票のバーコードが“通行キー”となり、配達員がオートロックを解除できるというシステムです。 通行キーは宅配完了で無効化される仕組みで、悪用できないようにセキュリティ面もしっかり考えられているということです。 美和ロックの担当者が「手渡し推奨派」という点に、人の温かみを感じました。 井上キャスター: 宅配業者も「お客さんからの『ありがとうございます』という言葉は何物にも代えがたい」といいます。 人と人との温かみを感じながら、デジタルに頼れるところは頼っていきたいですね。 肉乃小路ニクヨさん: 私は人見知りなので、オートロックを解除して配達員さんが玄関前に到着した時点で「玄関のとこに置いておいてください」って言ってしまうことがあります。 私の場合は化粧に時間がかかるし、ノーメイクで出たらいろいろ問題もあるかなと考えてしまうので、個人的には“置き配”がありがたいかなと思います。 出水麻衣キャスター: 私が住んでいるマンションは“置き配”ができないのでいつも“手渡し”で荷物を受け取りますが、再配達率が高くて申し訳ないなと思っています。 「置き配」が標準になる?手渡しは有料化? 井上キャスター: 国土交通省は、物流や宅配などの課題を解決し効率化を図るため、物流業者や専門家などの有識者による検討会を設置すると明らかにしました。 検討会では『「置き配」を宅配の標準とする案』や『手渡しで追加料金を設定する案』などを議論し、年内にもとりまとめを行う方針です。 “手渡し”を選んだ場合の追加料金はいくらになるのでしょうか。 流通経済研究所の吉間めぐみ上席研究員は、「置き配を標準化させるため、手渡しで宅配する度に100円か200円かかるのでは」としています。 街の人に「いくらなら払うか」聞いてみると、さまざまな意見がありました。 ・100円:2人 ・200円:3人 ・300円:2人 ・500円:3人 ・払いたくない:2人 ・わからない:1人 (※番組調べ13人に調査) 出水キャスター: いきなり「有料化」といわれると考えてしまう人もいると思います。 肉乃小路ニクヨさん: 私は300円ぐらい払いたい気もします。 「置き配」でトラブル 責任はどこに? 井上キャスター: 置き配サービスの利用経験率の調査によると、2019年は26.8%だったのが、2024年には72.4%となっています。(ナスタ調べ) 置き配の利用増加に伴い、トラブルも増えているようです。 東京都消費生活総合センターによると、『置き配に関する相談件数』は2019年度の104件から2024年度には469件に増加しているということです。 実際のトラブルの事例として、「荷物の段ボールが濡れていた」など、さまざまなケースがありました。 【実際にあった置き配トラブル】 ●荷物で玄関ドアが開かなくなった 水など重い荷物を玄関前に置かれてしまい玄関ドアが開かない ●盗難 玄関前に荷物が数時間放置され、盗まれたようで商品受け取れず ●誤配 配達完了メールに添付された玄関の写真が我が家のものではなかった (※ナスタ、国民生活センターの相談事例を基に作成) 流通経済研究所の吉間上席研究員によると、盗難や誤配・雨に濡れていた場合は宅配業者か通販会社に連絡すると良いそうですが、補償内容は事例や企業で異なるということです。 吉間上席研究員は「置き配は責任の所在があいまい。高価なものは対面で受け取る方がいい」としています。 配達業者の方も「“一点もの”などの場合は本当にドキドキします」と話していました。やはり補償の金額などを含め、ルール作りも並行して行ってほしいですね。 肉乃小路ニクヨさん: 保険会社でも、しっかり適正な金額を保証できるように『宅配便の“置き配保証”』といった商品をつくるチャンスがあるのではないでしょうか。 管理人が一括受け取り、各部屋に配達も 井上キャスター: マンションやビルの管理を行う大和(だいわ)ライフネクストでは、2024年11月からマンションの管理人が一括で荷物を受け取り宅配をするという実証実験を行っています。 住人としては、配達をするのが顔見知りである管理人なので安心感があるでしょうし、宅配業者からは「時間も短縮され配達が楽になった」といった声があるということです。 ========== <プロフィール> 肉乃小路ニクヨさん ニューレディー 銀行・保険会社など金融業界でキャリアを積む 独自の視点で経済・お金・人生観を語る