フジテレビの親会社の株主総会があす(25日)に迫っています。経営刷新に迫られたフジテレビ、一体誰が取締役になるのか。株主はどう判断するのでしょうか。 【写真を見る】フジ提案・ダルトン提案 取締役の候補者 フジvsダルトン決着は? 新たにオンラインカジノ問題も… 高柳光希キャスター: 25日、経営刷新が迫られるフジテレビの親会社の株主総会が行われます。1番の焦点は取締役が誰になるのか、そして、大株主「ダルトン」が提案した候補が入るのかどうかということになります。 ▼フジ提案11名 ・現フジHD専務取締役 清水賢治氏 ・ファミリーマート元社長 澤田貴司氏 ・TVer社長 若生伸子氏 ・現フジHD財経局長 柳敦史氏 など ▼ダルトン提案12名 ・SBI HD会長兼社長 北尾吉孝氏 ・ワーナー・ミュージック・ジャパン会長 北谷賢司氏 ・NEXYZ.Group社長 近藤太香巳氏 ・STARTO ENTERTAINMENT CEO 福田淳氏 など 候補者にはどのような特徴がありますか? TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: フジ側が提案しているのは、現フジHD専務取締役の清水氏を筆頭に11名ですが、清水氏しか残らない形で大幅に入れ替わります。それから女性も増えて若返ります。 一方、ダルトン側が提案するのは、SBI HD会長兼社長の北尾氏やNEXYZ.Group社長の近藤氏を中心としたメディアと金融の融合を目指すグループ。それからワーナー・ミュージック・ジャパン会長の北谷氏やSTARTO ENTERTAINMENT CEOの福田氏を中心とした、メディアの専門家です。 1枚岩ではありませんが、オールスターのメンバーが集まっている形です。 高柳キャスター: フジテレビは、ガバナンス不全やオンラインカジノの問題が報道されています。 【フジテレビめぐる問題】 ▼ガバナンス不全 ・中居氏と元女性アナウンサーのトラブルめぐり港前社長・大多元専務 提訴へ ▼オンラインカジノ問題 ・バラエティ制作部 企画担当部長 鈴木善貴容疑者 ・山本賢太アナウンサー フジの提案は受け入れられる?取締役はどう決まる? 高柳キャスター: 取締役の候補者はフジ側とダルトン側合わせて23人います。 株主総会に参加した人が1人ずつ、賛成・反対を投票し、過半数の賛成を集めた人が選任され、最大で18人選ばれることになります。 大株主など、どのような情勢でしょうか。 【大株主】 ・東宝 ・ダルトン系 ・野村絢(旧村上ファンド系) ・文化放送 ・レオス・キャピタルワークス ・NTTドコモ ・関西テレビ TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: 東宝、文化放送、NTTドコモ、関西テレビはフジテレビと近い企業なので、フジが提案する候補者に賛同するとみられます。 さらに、資産運用会社のレオス・キャピタルワークスも、フジ側の提案に賛成するとみられるので、フジの提案する候補者は全員通るのではないかというところです。 一方、投票行動をアドバイスする「グラス・ルイス社」が、北尾氏などダルトン側の候補者5人について賛同の意を示していて、まだまだ動きは読みきれないといったところです。 井上貴博キャスター: 投票行動をアドバイスする会社があるのですか? TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: 議決権を行使する際に、「投票行動をどうしたらいいか」アドバイスしてくれる会社があります。 肉乃小路ニクヨさん: まとまった株を持っているファンドなどに、「こういうふうに行使すると、株主としての権利を1番有効に活用できる」とアドバイスしてくれる会社があります。 レオス・キャピタルワークス社は、SBIの北尾氏の傘下だと思いますので、「フジテレビ側に賛同する」という見立ては意外に思いました。 ダルトン側が提案する候補は、「放送と金融の融合目指す」とありましたが、SBIは最近NTTドコモとも連携をするようになっているので、さらに「通信との融合」みたいなものも考えて動いてるのではないかなと思いました。 約3割が個人株主 「総会のようすで決めたい」という個人株主も 高柳キャスター: 約3割いる個人株主については、いかがでしょうか? 【フジHD 株主の割合】※3月末時点 個人株主など:29.4% 東宝:7.9% ダルトン系:7.2% 野村絢:5.2% レオス:5.1% 文化放送:3.3% NTTドコモ:3.3% 関西テレビ:2.6% ほか:35.9% TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: 個人株主は一般的には、会社提案に賛同することが多いのですが、今回に関してはダルトン側に賛同する動きもあるのではないかとみられています。 株主総会に出席する個人株主は、現状、未定としつつも「当初はダルトン側だったが、フジ側もがんばって改革しているようなので、総会のようすで決めたい」していて、まだ票は読みきれません。 フジテレビ2024年初めて赤字転落 株主総会が判断の山場か 高柳キャスター: 株主総会を経て、経営刷新となるのか、スポンサーは戻ってくるのか、そして秋に臨時株主総会が行われる可能性もあるそうですね。 TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: スポンサーは深刻な状況が続いていて、2024年は初めて赤字に転落し、201億円の最終赤字となりました。 現状、7割の企業は様子見の状態です。他の企業や、世論の動向を見極めているので、株主総会が判断の山場になるとみられます。 井上キャスター: 7割のスポンサーがどう判断するか、検証番組がどういうものになるのかなど、さまざまな要因があると思います。 肉乃小路ニクヨさん: オンラインカジノの問題も、スポンサーの戻りに影響を与えるのではないかと思います。 個人株主が「フジ側の提案をそのまま受け入れていいものなのか」「このガバナンス体制でいいものなのか」と考えてしまうなどの影響を与えるのか気になります。 出水麻衣キャスター: 秋に臨時株主総会が開かれるとすれば、どういった判断になるのでしょうか。 TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: フジテレビの筆頭株主に、旧村上ファンドの村上世彰氏の長女・野村彩さんが浮上していて、11.8%保有しています。 野村さんは、不動産の分離など個別の事業ごとのものを求めていて、フジテレビのガバナンスが改善しないようであれば、臨時株主総会を自ら求め、会社を変えていく形になる可能性もあります。 ある関係者は「今回の株主総会は、フジのこれからの長い長いストーリーの一つだ」と話していますので、今後も注目していきたいと思います。 井上キャスター: 臨時株主総会は異例ということでしょうか。 TBS報道局経済部 蓮井啓介記者: 定時株主総会が年に1回、6月末にありますので、9月や12月だと異例という形になります。 ========== <プロフィール> 蓮井啓介 TBS報道局 経済部総務省担当 フジ問題を取材“10時間会見”も出席 肉乃小路ニクヨ ニューレディー 銀行・保険会社など金融業界でキャリアを積む 独自の視点で経済・お金・人生観を語る