小芝風花、人生の半分が俳優業に 「決して順風満帆ではなく」——目標ノートをやめた今

 ドラマ『波よ聞いてくれ』の破天荒DJ、『あきない世傳 金と銀』での凛とした佇まい、そして大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で演じた花魁・瀬川の妖艶さなど、近年幅広い役柄で視聴者を魅了している女優・小芝風花。最新作Amazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』でも、タイムリープし人生をやり直す女性・神戸美紗を演じ、同じ人物ながらも1度目と2度目の人生でまったく違う女性を表現した。現在28歳の小芝だが、芸能界入りしたのが14歳と、人生の半分が俳優としてのキャリアになった。現在の自分を「まったく想像していなかった」という小芝が、これまでの俳優人生を振り返った。 【写真】ため息が出る美しさ 小芝風花、撮り下ろしフォト(10枚) ■人気韓国ドラマの日本版に主演 「やりたい」と思う一方「プレッシャーはありました」  Amazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』は、韓国でドラマ化され大ヒットした同名のNAVERウェブ小説を、日韓共同プロジェクトとして日本で映像化。映画『パラサイト 半地下の家族』を制作した韓国の大手エンターテインメント企業であるCJ ENMと、『愛の不時着』をはじめとする数々の国際的ヒット作を生み出してきた韓国屈指の制作会社スタジオドラゴンがタッグ組んだ。  小芝は本作の座組を聞いた際「最初に『やりたいな』と思ったのは、韓国の監督さんやチームの皆さんとご一緒できるということでした。今までになかった経験なので、色々学ばせていただきたい」と前のめりで作品に参加したという。しかし一方で「原作は韓国の人気小説で、ドラマも拝見したのですが、すごく面白くて。人気作だからこそのプレッシャーはもちろんありました。情報が解禁されるたびに、どんな反応があるのだろう」と不安に感じることもあったという。  小芝が演じるのは、いつも周りを優先する“いい人”の人生を送り、親友と夫を信じ、尽くし続けた末、2人の裏切りにより命を落としてしまうという女性・美紗。しかし気がつくと10年前にタイムリープし、“いい人”を捨てかつての親友と夫を破滅させようとするキャラクターだ。同一人物ながら、まったく別の生き方をするという難役だ。  小芝は「1回目の人生と2回目の人生が、あまり急に変わりすぎると『じゃあ1回目は何だったの?』となってしまうので、美紗の成長過程は丁寧に描きたいと意識しました」と役へのアプローチ方法を述べると「1回目の美紗は周りの空気を読みすぎて自分の気持ちを抑えてしまうのですが、2回目では『これってやっぱりおかしいよね?』と自分の意思で立ち向かっていきます。視聴者の方に『この子に幸せになってほしい』と思ってもらえるようなヒロイン像を目指しました」と語った。 ■「私は平和主義者なので、もめるぐらいなら距離を置いてしまうタイプ」  美紗という役を演じるうえで「1回目の美紗が周りの目を気にしてしまうところは、私自身も昔はそうだったので共感できました。『その言い方嫌です』と言えずにヘラヘラ流しちゃったりとか」と共通点をあげるが「でも美紗のように復讐はしないです。私は平和主義者なので、もめるぐらいなら距離を置いてしまうタイプ」と笑う。  1回目の人生と2度目の人生を演じ分ける必要がある小芝。しかも撮影の順番は時系列を追ってではなく、「撮影中盤にクライマックスを撮ったり、終盤なのに序盤のシーンを撮っていたりしました。時代も行ったり来たりするので仕方ない部分もあるのですが、気持ちを作るのはかなりハードでした」と振り返る。  それでも2回目の人生で最大の理解者になる部長の鈴木亘役の佐藤健や、一度目の夫である平野友也役の横山裕、親友・江坂麗奈を演じた白石聖ら共演者たちと助け合いながら、楽しくも刺激的に撮影が行えた。  「今回初めてお芝居をする方々が多かったのですが、佐藤健さんは、役について悩んだり現場で不安になった時に、すごく頼りにさせていただきました。真面目な話もしつつ、普段はくだらない話で笑い転げたり(笑)。目力がすごくて、目が合うとスタッフさんがわたわたする、なんてこともありました。横山裕さんは、チャキチャキの関西人で、普段は私も関西弁なので、すごくリラックスしてお話できました。聖ちゃんとは、結構シーンの前にディスカッションできたので、難しい関係性でしたが、すごく良い効果が得られました」。 ■人生の半分が俳優業に 「決して順風満帆というわけではなくて、ゆっくりゆっくり進んできた」  小芝がデビューしたのは14歳。現在28歳なので、人生の半分が俳優業となった。小芝は「始めた頃は、芸能界のことも何も知らなくて、活躍できるかなんて想像もつかなかった。母と妹と3人で上京してきて、本当に不安しかなかったです。この14年間、決して順風満帆というわけではなくて、ゆっくりゆっくり進んできたタイプ。周りの同年代の子たちと比べて落ち込んだ時期もありました」と率直な胸の内を明かすと「でも振り返ると、その時間があったからこそ気づけたことや、今の考え方がある。全部が無駄じゃなかったんだなって思えます」とポジティブに捉える。  小芝自身「10代は頑(かたく)なで自分に厳しすぎた。本当に融通が利かなくて」と笑うと「学校が終わると毎日事務所のレッスンで。もっと遊べばよかった。当時の夢は、友達とテスト勉強をファーストフード店ですることだったんです」と照れ笑い。  そんな自分に厳しい小芝だったからこそ、自らの未来に対して「〇〇歳までには〇〇をする」と事細かにノートに記していたと以前話していた。現在も「やっているのですか?」と問うと「いまはもう書いていないんですよ」と笑う。  「20歳の時、25歳までの目標は結構綿密に書いていました。でもコロナ禍もあって、思った通りにいかないことが多かったんです。まあもともと『こんなスケジュールこなせるの?』というぐらいツッコミどころ満載の目標だったのですが、人生なんてどうなるか分からないと思ってやめたんです。いまは『20代ではこうしたい』『30代ではこうしたい』みたいにざっくりと考えるようになりました」。  書いた目標は「全然その通りにならなかった」という小芝。「10代は真っ直ぐな役とか明るい役、元気で優しいという優等生のキャラクターを演じることが多かったんです。そこから脱却したいという思いがずっとあったのですが、多分イメージ的にそういう役が来なかったのかなと思っていました」。  しかし近年は素敵な出会いによって、グッと視界が広がったという。大きく流れが変わったと感じたのが、2023年4月から放送されたドラマ『波よ聞いてくれ』(テレビ朝日系)。小芝は、金髪でやさぐれたラジオDJに挑戦し、大きな反響を得た。  「ありがたいことに、『波よ聞いてくれ』や(大河ドラマ)『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』、今回の作品のように、今までのイメージとは違う、チャレンジングな役をいただく機会が増えました。特に『波よ聞いてくれ』のプロデューサーさんとは4回目のお仕事で、『小芝さんのこういう役が見てみたいんです』と熱心にお話をしてくださったんです。多分、プロデューサーさんにとっても賭けだったと思います。そんな風に、人との出会いに本当に恵まれているなと感じます」。 ■「今はとにかくいろいろなものを見て、感じて、インプットしたい」  充実一途の小芝。演じる役柄も多岐にわたり、まさに乗りに乗っている印象だ。それでも小芝は「10代、20代前半とがむしゃらに走ってきた分、少しずつ心と体のバランスを考えるようになりました。疲労を無視して走り続けるんじゃなくて、ちゃんと自分の心身の声を聞いて、ケアすることの大切さを実感しています。黄色の信号でちゃんとブレーキを踏めるように(笑)。オンとオフをしっかり切り替えて、プライベートも充実させたいです」と今後の抱負を語る。  挑戦したいことについて問うと「今はとにかく、いっぱい旅行に行きたいです! いろいろなものを見て、感じて、インプットしたい。それがまた、次のお芝居に繋(つな)がっていくと思うので。これからも、一つ一つの役と丁寧に向き合っていきたいです」と爽やかに語る。  2度の人生を通して成長していく美紗を演じた小芝。自身も俳優としての経験を糧に、しなやかに変化を遂(と)げているように感じられる。そんな小芝が今後、どんな表現で視聴者を驚かせてくれるのか……とても楽しみだ。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)  Amazon Originalドラマ『私の夫と結婚して』は、Prime Videoにて6月27日より毎週金曜2話ずつ配信(全10話)。

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