賃貸物件における「事故物件」の定義、またそうした心理的瑕疵のある物件の家賃が下がってしまう根本的な理由は何なのだろうか。日本初「事故物件専門のオバケ調査会社」を立ち上げ、オカルト系YouTuber界で話題の児玉和俊氏が解説する。 ※本記事は6月25日発売『事業内容:オバケ調査—事故物件を科学的に調査する会社で起きたこと—』(ワニブックス刊)より抜粋・編集したものです。 「事故物件」とみなされる事柄 賃貸物件においてその部屋が事故物件とみなされてしまう事柄としては、《腐敗を伴い、特殊清掃を実施した孤独死》の他、《自殺》《殺人》という内容があります。この3つの項目については�心理的瑕疵〞という人の感じる気持ち悪さが発生し、告知の義務が生じるために事故物件と呼ばれてしまいます。 逆にそれ以外《室内での老衰》《入浴中の転倒死や溺死》《食事中の誤嚥》《心筋梗塞や持病での突然死》などの場合には心理的瑕疵はないと判断され告知義務もないため事故物件とはなりません。そして部屋を事故物件とたらしめる要因である3項目については、予防や対策をしたとしても残念ながら全てを防ぐことが困難なのが現実です。 ある一定の確率の中でそれは発生し、そしていざそれが発生してしまったら、部屋をいくら綺麗に整えたとしても心理的瑕疵により家賃は相場よりも2割から3割程度減額されてしまうのが一般的です。そしてこのような心理的瑕疵による家賃の減額に晒された不動産オーナーの多くはその状況について歯を食いしばりながら耐えるか、減額分について見て見ぬふりをしているのです。 心理的瑕疵を軽減させるためには 事故物件対応以外のこと、たとえば空室対策でいえば、家賃減額は最後の手段です。空室対策においては多くの方が最初は設備への投資や交換、共用部の手入れや外壁塗装などを実施して家賃は現状維持と考えられるはずです。 しかし事故物件対応については、最初の一手が最後の手段である家賃減額となるのです。それはなぜなのでしょうか。事故物件対応で一番に家賃減額を考える理由。それは家賃減額に変わる方法がないからです。空室対策の場合のように設備への投資や交換、修繕で対策しようとしても減額されるその理由は心理的瑕疵という人の気持ちの問題です。これに対応できる方法が今まではなかったのです。 そこで株式会社カチモードでは心理的瑕疵を軽減、もしくは解消するにはどのようにすれば良いのか、また家賃を減額させない。さらには減額された家賃を相場に戻すにはどのようにするべきなのかを考えました。その結果が【オバケ調査】です。 しかしこの心の問題、具体的には嫌悪感というものを取り除くことは容易ではありません。いつしか私は事故物件に泊まり込むだけでは足りないことを悟ります。そして心理的瑕疵の軽減や解消には事故物件に泊まり込む以外の付加価値が必要なのだとも考え始めます。さらにはどのようにすれば事故物件に【付加価値】をつけることができるのかということと併せ、当初の目的通りに不思議なことが起こっている部屋に巡り合った場合の【希少性】についても思いを馳せることになるのです。 物件で発生する不可思議な事柄が「価値」になる 心理的瑕疵による家賃の減少で影響を受けるのは不動産の《資産価値》です。そしてオバケ調査を実施して取り戻す価値もまた不動産の《資産価値》となります。オバケ調査による心理的瑕疵の軽減や解消は一見、月額の家賃を取り戻しているように見えますが、その視点を広げると不動産全体の資産価値を取り戻すことにつながっています。 このように不動産全体の資産価値を高めるためのオバケ調査ですが、ポイントは事故物件に対しての【付加価値】と【希少性】の追求なのではないかと考えています。現在のオバケ調査における付加価値とは、事故物件への滞在、各種機材を使用した科学的な調査の実施、調査の結果に異常がなかった場合に発行される調査報告書や異常のないことの証明書、カチモードならではの賃貸運用のご提案、調査後の部屋に住む入居者が対象となる懸賞金となります。 そしてオバケ調査の結果、その内容に不可思議な事柄が含まれ、その事柄が専門家の方々に協力を仰いでも追及できなかった場合、その部屋や建物は世界にも類を見ない希少性を持つとカチモードでは考えます。当然、希少性の高い部屋の追究には、プロカメラマン、映像・音声の解析会社、一級建築士、その他、理学系や理工系、社会科学系の大学教授などを中心とする各分野の専門家の方をお招きし、徹底的に調査をします。 たとえば先日発見された�電磁波の数値について、平常時と比較するとありえない異常値がランダムに発生する部屋〞については、理学系、理工系それぞれの大学教授に現地まで出向いていただき、さらに理工系の教授にはオリジナルの機材を作製していただくなどのご尽力も頂戴しています。それほどまでに、このような部屋には価値があるということです。 【つづきを読む】普通の空き家なら減額は最後の手段なのに……「事故物件」の家賃が下がってしまう根本的な理由