「中学受験=子どもが荒れる」は「成り立たない」 母200人調査で意外な結果、研究機関が浮き彫りに

イノベーションシステム(大阪市)が運営する「ひまわり教育研究センター」が2025年6月、東京都・神奈川県・千葉県に在住する小学4〜6年生の母親200人を対象に「中学受験期における家庭環境と子どもの反抗的態度」に関する独自調査を実施した。 同社は25日に調査結果を発表し、「『中学受験=子どもが荒れる』という単純な図式は成り立たない」などと報告している。 「中学受験のストレスで、子どもが反抗的になった」説、実際は? 発表によると、世帯年収500万以上の家庭で中学受験を「する」100人、「しない」100人を対象に、調査会社「Freeasy」を通じて6月11日〜16日にインターネット調査を行った。対象家庭の子どもの性別は、両者とも女子が7割前後。 調査背景には「中学受験のストレスで、子どもが反抗的になった」といった通説があるとしながら、多角的な項目を通じて、「中学受験が子どもの態度や家庭の雰囲気にどのような影響を及ぼしているのか」を検証した。 通塾頻度は受験家庭が9割で、非受験家庭は2割だった。学習時間も前者の方が明らかに多い傾向にある。非受験家庭に比べて生活面への負荷が大きいうえ、「受験家庭の保護者はストレスが高く、親子の雑談時間も短い傾向にある」ことが分かったとしている。 一方、「お子様が以下のような『反抗的だと感じられる態度』が見られることはありますか」との設問では、複数回答が可能な中、「反抗的態度がない」が受験家庭19%、非受験家庭32%にのぼった。これらから「その差は13ポイントにとどまりました。学習の負荷や親のストレスと反抗的態度は必ずしも比例しないという結果となりました」とみている。 「家庭ごとの在り方や対応の仕方に左右されている」 同センターは、差が小さかった理由を3つの観点から考察した。まず1つ目を「『受験そのもの』よりも、親の対応がカギ」とし、下記のように詳説した。 「子どもの反抗的態度は、中学受験という出来事そのものが直接の引き金となるのではなく、保護者の接し方や子どもの性格、受験への納得感などが大きく影響している可能性があります。実際、強い学習負荷の中でも、穏やかな親子関係を維持している家庭も少なくありません」 2つ目は「家庭の工夫と関係構築が緩衝材に」。学習時間や通塾頻度が高い場合でも「こまめな声かけや気分転換の工夫を通じて、信頼関係を保っている家庭」が一定数みられたとし、「子どもが反抗的態度を示さずに安定した状態で受験期を過ごしているケースも多く、家庭内の関係構築が大きな緩衝要因となっていると考えられます」と伝えた。 3つ目は「『反抗的』と感じるかどうかは主観的評価でもある」。保護者側の主観が関わっている可能性もあると指摘し、次のように分析している。 「例えば、同じ子どもの言動であっても、精神的に余裕がある親は冷静に受け止められるのに対し、ストレスを感じている親ほど敏感に"反抗"と受け取る傾向があると推察されます。受験家庭では保護者のストレスが高いため、その分『反抗的』と認識されやすい傾向も否定できません」 また、調査では受験家庭のうち7割が「『子どもの反抗的態度は受験ストレスと関係している』と感じている」旨を答えたと紹介しながら、「しかし一方で、そのようなストレス下においても、反抗的な様子が見られない家庭が約2割存在しているという事実は、子どもの態度が『受験するかどうか』ではなく、家庭ごとの在り方や対応の仕方に左右されていることを浮き彫りにしています」と見立てている。 「反抗期的な行動も成長過程の一部として...」 同センターは、調査の結論として「今回の調査結果から明らかになったのは、『中学受験=子どもが荒れる』という単純な図式は成り立たないという点です」と説明した。続けて、下記のようにも総括している。 「たとえ学習負荷や通塾頻度が高く、保護者にとって精神的負担が大きい状況であっても、親子の対話が保たれ子どもが心理的に安心できる家庭環境であれば、顕著な反抗的態度にはつながらない傾向が見受けられました。 また、反抗的とされる子どもの言動も、その評価には保護者側の主観が関与しており、保護者自身のストレス状態や受け止め方が行動解釈に影響を与えている可能性も指摘されます。 したがって、子どもの反抗的態度を抑制するためには、親の関わり方や家庭の空気のあり方が極めて重要であり、反抗期的な行動も成長過程の一部として柔軟に受容する姿勢が求められるといえるでしょう」

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