松屋「うまトマハンバーグ」の大ヒットは「必然」だった…ハマる人が続出する「3つのポイント」

松屋の「うまトマ」がレギュラー化 牛丼チェーンでおなじみの松屋が、6月3日から「うまトマハンバーグ」をレギュラーメニューとしての販売をはじめました。このニュースを聞いて、「牛丼屋なのになんでレギュラー化?」と疑問を抱いた人は少なくないでしょう。このメニューは昨年まで夏の風物詩として人気を集めていましたが、あまりの人気ぶりに、ついに今年から格上げされたことになります。これは同メニューが大ヒットを記録したという証でしょう。価格は定食980円、単品780円と決して安くないにも関わらず、なぜ今、うまトマハンバーグが現代人の胃袋をつかむのでしょうか? 結論から申し上げれば、うまトマハンバーグは、現代人の食ニーズをがっちりとらえて、競合不在の隙間を狙った、“マーケティングの勝利”と言っても過言ではないでしょう。そこで今回は、うまトマハンバーグを実食して魅力を紹介しながら、人気の秘訣をひも解いていくことにしましょう。 トマトは日本人に人気の野菜 はじめに、日本人がトマトをどのくらい好んでいるのか?という実情から見ていくことにしましょう。 昨年にさまざまな企業から発表された好きな野菜ランキングを見ていくと、トマトは好きな野菜の王者として君臨していることがわかります。それは、大概の調査において1位もしくはベスト3に選ばれるほどの人気ぶり。また子どもからも好まれているという点で、大人が安心して食卓に出したくなる野菜であることが想像できます。 そもそもトマトは、低カロリーで栄養価が高い緑黄色野菜であること、そのままでも食べられること、加熱料理にも活用しやすい点などが強い魅力に。さらにはコロナによって健康意識が向上し、抗酸化成分としてリコピンが注目されるなど、追い風となる要因が重なっている点も見逃せません。 しかしながら、世界的規模で日本人のトマトの消費量を見ていくと、世界平均が17�であるのに対して、日本人1人あたりの年間消費量は7�にとどまっています。またスーパーの野菜コーナーに行くと実感しやすいのが、価格が決して安くないということ。つまり、好きな野菜でありながらも、まだまだ消費が見込めるということ。比較的高価であることから、トマトに憧れを抱いているということが推測できるのです。つまりトマトは、多くの人々が、もっと安くもっとたくさん食べたいと願う人気野菜なのです。 大手ファミレスには意外とトマト系ハンバーグがない このような熱烈なトマトニーズを、外食業界に当てはめてみましょう。ファストカジュアル(ファストフードの手軽さとレストランの質の高さを融合させた新しい飲食店のスタイル)が進む日本において、トマトソースがかかったハンバーグは絶好の人気メニューになりえるはず。 ところが大手ファミレスハンバーグを見ていくと、デミグラスやオニオンといった茶色いソースが定番になっているではないですか! ガストの看板メニュー「ビーフ100%粗挽き肉厚ステーキ風ハンバーグ」はソースが選べるものの、デミグラスかオニオンのみ。リーズナブルな「鉄板目玉ハンバーグ」ではソースが6種類から選べるものの、そこにトマトソースはありません。 サイゼリヤのランチメニューでもデミグラスかガルムソース(にんにくが効いた醤油ベースのオリジナルソース)の2択となっています。これらをふまえると、昼間にトマト系ハンバーグが食べられるカジュアルレストランはかなり限定されているために、おいしいトマトハンバーグを提供することができれば、敵なしの大ヒットを生み出すことができるのです。 トマトを使った大ヒット作は過去にもあった さらにトマトを主役にしたメニューを探っていくと、これまでに数々の成功事例を発見することができます。例えば、カジュアルイタリアンレストランチェーン「カプリチョーザ」で創業当時から人気ナンバーワンパスタとして愛されている「トマトとニンニクのスパゲッティ」。イタリアのマンマの味を思い出させる素朴なパスタ料理でありながら、独特の濃厚な味わいで中毒性があるおいしさと絶賛されています。中には3世代で通うファンもいるほど、40年以上愛され続けている実績があるのです。 また丸亀製麺が元TOKIOの松岡昌宏さんと共同開発した「トマたまカレーうどんシリーズ」は、2021年から登場、累計販売数1000万食を突破する大ヒットを記録。日清食品のチリトマトヌードルは1982年に発売されたロングセラー商品でありながら、昨年のリニューアルによって謎肉を採用することでますます商品力を高めています。他にも、モスバーガーの看板商品にはトマトが効いたミートソースが使われるなど、トマトメニューで失敗作を探すのが難しいと言いたくなるほど、トマトは手堅いのです。 松屋「うまトマハンバーグ」の感動ポイント 最後に、今回の主役である松屋の「うまトマハンバーグ」に戻って魅力を確認しましょう。牛肉料理の原料調達や調理ノウハウを強みにする松屋にとって、ハンバーグは得意料理の一つ。その上で、消費者が実は食べたい味としてトマトソースがあること、他店が数々のトマト料理のヒットを生み出した背景や、松屋自身が期間限定メニューとして人気を築いてきた実績があることを合わせた結果として、うまトマハンバーグのレギュラー化に至ったと理解することができます。 実際に食べてみると、王道ながらも個性ある味わいに確かな喜びを感じました。感動ポイントは3つ。1つ目は、ハンバーグのサイズ感。白米に合うような肉のジューシーさや粗挽き感を工夫している点も秀逸ではありますが、このような定食メニューがリピート欲を掻き立てるための必須要素は、ボリュームです。2つ目は、オンザライズの満足度を爆上げするたっぷりトマトソース。ハンバーグを食べるのとは別に、このトマトソースだけでごはんが食べられてしまうほどたっぷりかけられたトマトソースが想像以上に嬉しいのです。そして3つ目は、半熟玉子との組み合わせにあり。牛丼チェーンならではの王道感や親近感がありながらも、トマトと玉子との相性は旨味の掛け合わせとしても大正解なのです。 このように誰でも簡単においしい食べ方を堪能できるのに、いざ家庭で真似をしようすると簡単ではないことが、多くの人々が松屋に足を運ぶ強い理由になるのでしょう。牛丼の具材である牛皿をトッピングした「牛肉のあいがけうまトマハンバーグ定食」は、2種の牛肉料理を組み合わせることで生まれる新たなおいしさの創出にも成功しています。 厳しい環境の中でし烈な争いを繰り広げる飲食業界において、ヒットを生み出すためには確かな理由と戦略が必要です。今回の松屋のうまトマハンバーグのレギュラー化は、その成功例を見せてもらっているのではないでしょうか。 【もっと読む】「ドンキの食料品」の快進撃が止まらない…人気のウラに存在している「賛否両論」

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