自分はこのままで本当にいいのだろうか？本当にここは自分の居場所なのか？ 悩むのは当たり前。それはあなたが生きている証拠だ。 でも変化の激しい時代、あなたが成長を願うなら、踏み出すのは早いほうがいい。世界の超一流を知る筆者は、世界的な人材コンサルティングファーム「コーン・フェリー」で30年間、主にグローバル・トップ企業のエグゼクティブ・クラスを対象にヘッドハンターおよびエグゼクティブ・コーチとして第一線で活躍した。そんな彼が著した『成長の書』より一部抜粋・再編集して、あなたを「タイパ」「コスパ」などではけっして得られない「成長」の世界へ導く。 『成長の書』連載第7回 『なぜ最近の経営者は「瞑想」に注目するのか？…自分の「内なる声」に気づき「人生を変える」第一歩を踏み出す方法』より続く。 コーチングにおける「ストッパー」 「内なる声」をコントロールする手段として、コーチングがとても役立つことを知ってほしい。 コーチングにはさまざまな種類がある。スポーツ選手を対象とした「スポーツ・コーチング」、経営幹部向けの「エグゼクティブ・コーチング」、そしてどんな状況にでも応用できる「ライフ・コーチング」だ。 僕が専門としているのはエグゼクティブ・コーチングだが、成長を加速させたいなら、まずはライフ・コーチングを試すのがいいだろう。 コーチングの中でよく語られるのが「ストッパー」や「リミッター」の存在だ。 これは、ネガティブな「内なる声」が君の行動を抑え込む仕組みを指す。 コーチングでは、この「ストッパー」に気づき、それを外すためのさまざまな工夫をする。 ハンマー投げの室伏選手と「ストッパー」 2004年のアテネ五輪で金メダルを獲得した室伏広治選手をご存じだろうか？ 彼がハンマーを投げる瞬間の鬼気迫る表情と雄叫び——あれはまさに「内なるストッパー」を完全に外す姿だ（ぜひ、「室伏広治　ハンマー投げ」で動画検索して、名場面の数々を見てほしい）。 もし君が同じハンマー投げの選手だったとして、いくら筋力や技術を磨いても、本番で「ストッパー」を外せなければ、平凡な結果に終わるだろう。 コーチングではその事実に着目する。僕らコーチは、クライアントが「本質的な変化」を起こすために、この「ストッパーを外す」ことを常に心がけてもらう。 ストッパーが存在する理由も理解しておこう。 普段の生活で、必要以上に力を出さないよう制御する仕組みが人間には備わっている。これがないと、緊急事態でもないのに全力を出して自分を傷つけてしまうからだ。 だが、緊急事態では話が別だ。「火事場のバカ力」のように、命を守るためにはストッパーが外れる。それが生存本能だ。 ストッパーを外さない生活 成長は、ある意味この緊急事態を意図的に作り出すようなものだ。 筋力が十分にあっても、「自分には無理だ」と思い込むことで、ストッパーが働き、結果として成長が止まる。この思い込みこそ、君が乗り越えるべき壁だ。 ストッパーを外さない生活。それは「ぬるま湯に浸かっている状態」にほかならない。 ぬるま湯の中では、どれだけ勉強しても、知識を増やしても、自分の未知の可能性を見出す機会は訪れない。 君が成長したいと願うなら、ときにはこのストッパーを外す覚悟が必要だ。 その覚悟が、新たな可能性を開き、君をいまより大きな自分へと成長させる。 だからこそ、僕は声を大にして言いたい—— 「ストッパーを外せ！」 『「やりたいこと」がはっきりしない人へ…世界のトップをコーチングするコンサルが伝える、あなたの“本当の望み”の見つけ方』へ続く。 【つづきを読む】「やりたいこと」がはっきりしない人へ…世界のトップをコーチングするコンサルが伝える、あなたの“本当の望み”の見つけ方