日大重量挙部に入部予定の奨学生が学費名目で現金をだまし取られた事件で、詐欺容疑で逮捕された同部元監督の難波謙二容疑者（６４）が、学費徴収に疑問を抱いた保護者に「（問題が発覚して）私とコーチがクビになれば、奨学生扱いできなくなる」と口止めをしていたことが、捜査関係者への取材でわかった。 警視庁は３０日、別の奨学生に対する同様の詐欺容疑で難波容疑者を再逮捕した。 発表によると、難波容疑者はコーチと共謀して２０２３年１２月、翌年に入部予定だった奨学生４人の保護者に「２年次以降、（学費は）徴収されない」と虚偽の請求書を送り、初年度の授業料などの名目で計約２６２万円を詐取した疑い。「寄付金としてもらった」などと容疑を否認している。 捜査関係者によると、難波容疑者は昨年５月頃、学費の支払いについて不審に思った保護者１人から問い合わせを受け、徴収した約１００万円を返金していた。男性コーチを伴って保護者の元を訪れ、「林理事長体制になって学内がピリピリしており、（問題が発覚すれば）大騒ぎになる。我々がクビになれば、奨学生扱いを約束できない。子どもが犠牲になるのは避けたい」と語り、公にしないように伝えたという。 奨学生になると学費が全額または一部免除されるが、難波容疑者はコーチに指示し、虚偽の請求書を大学から預かった正規の振込依頼書と差し替えて保護者らに発送していた。詐取金は歯の治療費や飲食代などに充てていたとみられる。同庁は、難波容疑者が少なくとも１４年以降、同様の手口で年間約１００万〜７７０万円を不正に得たとみている。 難波容疑者は、２２年１２月に別の奨学生４人の保護者から計２０５万円を詐取したとして、１０日に同容疑で逮捕されていた。
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