“7月5日大災難”説の科学的根拠は?──作者「予知の日ではない」、気象庁長官は否定 拡散で影響各所に【#みんなのギモン】

「東日本大震災を予知していた」と注目された、ある書籍の作者が見た夢の内容がSNSなどで広まっています。海外でも拡散され、日本の旅行業界や飲食店に影響が出る事態となっています。気象庁長官は地震の予知情報を「デマ」と否定。作者にも取材しました。 そこで今回の#みんなのギモンでは、「“7月5日大災難”説が拡散 影響は」をテーマに解説します。 ■東日本大震災を予知していたと注目 山崎誠アナウンサー 「7月に日本で大災難が起きるという、あくまで科学的根拠がない話がSNSを中心に拡散しています。聞いたことはありますか?」 斎藤佑樹キャスター 「ありますね」 森圭介アナウンサー 「子どもが言ってます。『7月5日は何かあるの?』と言って、(私は)『知りません』と答えています」 山崎誠アナウンサー 「本当に分からないですし、科学的根拠もないことなんですが、海外でも拡散され、日本の旅行業界や飲食店にも影響が出る事態になっています。拡散のきっかけは何だったのでしょうか?」 「『私が見た未来完全版』(飛鳥新社刊)という書籍で、当時漫画家だった作者が見た夢などの内容が書かれているものです。表紙に『大災害は2011年3月』という文言がありますが、この文言から作者が東日本大震災を予知していたと注目されました」 森アナウンサー 「それ(東日本大震災)よりも前の本だったということなんですね」 ■「夢」の内容を描写した一節が拡散 山崎アナウンサー 「そうなんです。今回拡散されたのが、2021年7月5日に見たという夢の内容を描写した一節です。『日本列島の南に位置する太平洋の水が盛り上がる』『その災難が起きるのは2025年7月です』というものです」 「あとがきには『夢を見た日が現実化する日ならば、次にくる大災難の日は2025年7月5日ということになります』と、ここで具体的な日付を書いていたんです」 「あくまで夢の中の話で科学的根拠はないんですが、このような内容がSNSを中心に拡散していました」 ■「急ピッチでの作業で慌てて…」 山崎アナウンサー 「一方、6月に発売された最新の著作(『天使の遺言』/文芸社)では、7月5日の日付に触れたあとがきについて言及されています」 「『過去の例からこうなのではないか?と話したことが反映されたようで、私も言った覚えはありますが、急ピッチでの作業で慌てて書かれたようです』としています」 ■「防災意識が高まったのは良いこと」 山崎アナウンサー 「さらに作者の竜樹諒さんにスタッフが取材しました。 6月30日、次のようにコメントしています」 竜樹諒さん 「本書がきっかけで、防災意識が高まったことについては良いことだと感じております。私自身は2025年7月に災難が起こるという夢を見たもので、同書籍についても、その災難が起こるのは2025年7月と記載しており、7月5日は予知の日ではありません」 ■福岡のもつ鍋店、想定より15%減 山崎アナウンサー 「ただ、こうした話が広まったことで、すでに各所で影響が出ています。福岡市にあるもつ鍋のお店『元祖もつ鍋楽天地 福岡天神総本店』では、客の半数が外国人観光客で、ほとんどが韓国・香港・台湾から訪れてくる人だといいます」 「インバウンドの需要で好調だったそうですが、6月の売り上げは想定より15%ほど減少しているということです」 元祖もつ鍋楽天地の水谷崇社長 「6月に入って数字でお客さんのデータが出てくるのですが、ちょっと減っているなと思って。今アジアで、日本が地震にのみ込まれるみたいなデマが流れていると聞いて、マジかと心配しているところです」 斎藤キャスター 「根拠のない話なのに、実際にこうやって影響が出てしまっているんですね」 ■旅行会社、ホテル…拡散で影響も 山崎アナウンサー 「他にも影響が出てきています。日本政府観光局(JNTO)によると、5月に日本を訪れた外国人旅行者の数は、全体では5月として過去最多でしたが、香港から旅行に来る人だけは減少。前年同月比で11.2%、人数では約2万4000人のマイナスです」 「具体的な因果関係は分かっていませんが、こうした話がメディアで取り上げられたことなどが影響した可能性があります。香港にある旅行会社では、日本行きの予約が去年と比べて6割減っていて、今年は壊滅的な状況だといいます」 「箱根にある外国人旅行客の多いホテルではインバウンドの影響もあり、6月までは宿泊予約が前年同月比で上回っていましたが、7月だけ減少。こうした話を耳にしたというお客さんの声もあって、話が広まることのリスクを感じている、と話していました」 ■気象庁長官「心配の必要一切ない」 森アナウンサー 「信じる信じないはそれぞれ人の自由ですが、実際に影響が出ているとなると…」 瀧口麻衣アナウンサー 「でも科学的根拠はないですもんね」 山崎アナウンサー 「そうです。ただ『大災難は地震なんじゃないか』という声も多く、気象庁の長官は13日、会見で否定しました」 気象庁長官 「現在の科学的知見では、日時・場所・大きさを特定した地震予知は不可能です。そのような予知の情報はデマと考えられますので、そのような情報で心配される必要は一切ございません」 山崎アナウンサー 「このように否定する一方で、日本ではいつどこでも地震が起きる可能性があるということで、日頃からの地震の備えを確認してほしいと呼びかけていました」 「地震への備えはもちろん大切ですが、科学的根拠のない説の拡散で実際に大きな影響が出ています。こうした話を拡散する前に、一度立ち止まって考えてみることが大切です」 (2025年6月30日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より) 【みんなのギモン】 身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、 日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)

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