じつは怖い…自信満々に「自分は正しい」と主張する人ほど「危ない人」と言える理由

SNSで聖書を面白くわかりやすく伝える活動を続けている上馬キリスト教会ツイッター部のMAROさんは、聖書とは「人間の残念さの歴史」といいます。残念だからこそ救われ、人からも神様からも愛されるのだと。 今から約2000年前に著された聖書に登場する人たちの「残念」な失態エピソードを紹介する『聖書のなかの残念な人たち』(笠間書院)より、格言から見る残念な人について一部抜粋・編集してお届けします。 <耳触りの良い言葉、「ありのまま」「自分に素直に」がじつは人間にとって的外れなワケ>よりつづく。 正しい人なんて誰もいない 敬虔な者はこの地から消え失せ、人々の間に、心の直ぐな者は一人もいない。みな血を流そうと待ち伏せし、互いに網をかけ合って捕らえようとする。(『ミカ書』7章2節) ここでは世の終わりのときに人々がどれだけ罪深いかが書いてあります。敬虔な人も、心の正しい人も、そこにはいないと書いてあります。 僕たちはついこれを「自分とは関係ない、遠い未来の話」と読んでしまったりするのですが、聖書によれば世の終わりはいつ来るかわからないのですから、実はこれは「自分が生きている今」を指しているのかもしれません。 「どんなに人々の心が悪くなっても、自分だけは最後まで正しくいたいし、正しいはずだ」と心の中で思っている人は少なくないと思います。クリスチャンなら「自分は最後まで敬虔だ」と思っている方も少なくないと思います。 しかし、ここで引用した聖句が描いているのを「今」だとするならば、自分が思っている「正しさ」も「敬虔さ」も、神様の前では正しくもなく、敬虔でもないということになります。「自分も含めて、この世に敬虔な者も、心の直ぐな人間もいないのだ」と、僕はこのことばを読んで、思い知らされます。「すべての人間は罪人である」「僕も人間である」故に「僕も罪人である」と三段論法が成り立つんです。 これは恐らく人間の本能みたいなものなのでしょうけれど、人は「悪」をついつい自分の外側のものだと思ってしまいがちです。不敬虔なのも、心が曲がっているのも、血を流そうと待ち伏せしているのも、互いに網をかけ合っているのも、「自分以外の何者か」だと思ってしまいがちです。 僕だってそうです。自分が悪だと人に言われれば傷つきますし、まして自分から自分を悪だなんて思いたくありません。自分を悪だと思ってしまったら、アイデンティティが危機を迎えてしまうかもしれません。 でも、もし「自分が悪である」ということでアイデンティティが崩壊してしまうのなら、それは自分のアイデンティティの根拠を「自分の正しさ」に置いていたことの証拠です。「自分の正しさ」は実はとても脆いものですし、幻のようなものです。それをアイデンティティの根拠にするのは、砂の上に家を建てるようなものです。 新約聖書では、イエスが「家は砂の上でなく、岩の上に建てるべきだよ」と教えてくれています。では、僕たちのアイデンティティの根拠とすべき「岩」とはなんでしょう。 それは自分の正しさではなく、神の正しさです。よく世の中では美徳として「自分を信じる」ということが言われますが、自分を信じすぎるのもまた問題です。どんな美徳も行きすぎれば台なしになるものです。 「義人はいない。一人もいない」 ……なんか難しい話になってしまいましたけれど、ここで皆さんにお伝えしたいことは、「自分が正しい!」と主張する人はたいていどこか間違っているし、自分で「自分が正しい!」と思うときこそ「本当に正しいか?」と注意すべきだということです。 人間は完全に「正しい」ことなんてないんです。ですから自分で自分を「正しい」と思うとき、それは自分の誤りを見落としているだけなんです。「人間は間違うものである」「自分は人間である」故に「自分も間違うものである」と、ここでも三段論法です。 国会や選挙が始まりますと、政治家さんたちや支持者さんたちが口々に「私たちこそ正しい!彼らは間違っている!」と叫び合っていますけれど、僕はそれを見るに「危ないなぁ……」と思うんです。 政治だって完全に正しいことなんてないんです。誰もが間違っているんです。ですから「正しい私に、私たちに、投票してください!」なんて圧力を感じると、僕は「うん……」と悩んでしまいます。 そしてそれ以上に、政治にしろ何にしろ、自分と意見の違う人たちを「あの人たちは間違っている!悪だ!排除すべきだ!」という主張や、気に食わない相手をスキャンダルに落とし込むような光景を見たりしていると、「血を流そうと待ち伏せし、互いに網をかけ合って捕らえようとする」人間の恐ろしい一面をまざまざと見せつけられている気持ちになります。 たぶん神様から見たら、「1+1は3だ!」と言っている人と「1+1は4だ!」と言っている人が、お互いにいがみ合って嚙みつき合っているようにしか見えないんじゃないかと思います。「君たち……どっちも間違ってるんだよ。どっちも正解じゃないんだよ……」と。 「義人はいない。一人もいない」という聖書の有名なことばは、まさにこのことを言っています。罪のない人、つまり残念じゃない人なんて誰もいません。 残念な者同士で「お前は残念だな!」「いやいや、お前の方が残念だな!」と言い合う人たちに、「仲良くしようよ」と言うよりも、一人一人が「僕もまた一人の残念な人なんだ」と思えるようになることの方が、分断の社会を解決に向ける鍵なのではないかと思います。 …本連載の関連記事<努力家ほどハマりがち…幸せを遠ざける「やってはいけない」思考パターンとは>につづく。 【つづきを読む】努力家ほどハマりがち…幸せを遠ざける「やってはいけない」思考パターンとは

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