日米関税交渉をめぐり、トランプ大統領が「30%か35%の関税」を課す可能性を示しました。“期限”が1週間後に迫る中、日本は難しい交渉が続くことになります。 【写真で見る】「馬鹿にした交渉のやり方」日商の小林会頭が激しい口調で批判 「30%か35%の関税」 9日に期限迫る 山形純菜キャスター: 日米の関税交渉をめぐって、トランプ大統領から「30%か35%の関税」という言葉が出ました。 まずは、これまでの交渉の状況を振り返ります。 アメリカのトランプ大統領は4月、貿易相手国と同じ水準の関税を課す「相互関税」の導入を正式に発表しました。これで日本には24%の関税を課すと表明しています。 ただ、「相互関税」を発動した13時間後には、一時停止しています。 トランプ大統領は「みんなちょっと神経質になりすぎ。怖がりすぎだ」とコメントし、相互関税の一部を90日間、一時停止することを認めると発表しました。 現在、日本は10%の一律関税が課されていて、一時停止の期限が7月9日に迫っています。 日米関税交渉をめぐって、赤沢経済再生担当大臣は何度もアメリカを訪問しました。 初めての関税交渉は、4月に行われました。参加の予定がなかったトランプ大統領が急遽参加することになり、トランプ大統領はSNSで「大変光栄に思う。大きな進展だ」と関係性をアピールしていました。 2回目は5月に行われました。赤沢大臣から「非常に突っ込んだ話ができた。(首脳間で6月の合意)そういう段階に入れれば」という話もありました。 そして6月、5回目の訪米ですが、ラトニック商務長官と「ハワード」「リオ」とファーストネームで呼び合う関係性もアピールしていました。 しかし、交渉について、赤沢大臣から「一致点を見出せたかと言えば見出せていません」といった話も出ていました。 これまで7回訪米しており、7回目は商務長官と会談をしました。 さらに財務長官との会談も目指していましたが、滞在延長でも調整がつかず、結局帰国することになりました。 関税“35%”「可能性は十分にある」 赤沢大臣は8回目訪米の考えも 山形キャスター: トランプ大統領は、コメや自動車を輸入しないことに不満を爆発させています。 「35%の関税」の狙いについて、JNNワシントン支局の樫元照幸前支局長によると、トランプ大統領の6月の最大関心事は「イラン」。関税交渉は後回しになっていたといいます。 JNNワシントン支局 樫元照幸 前支局長 「各国との交渉が難航する中、“大きなディール=取引”を打ち出したい日本との交渉が思惑通りにまとまらず、焦っている表れでは」 では、関税「35%」というのは現実的なのでしょうか。 早稲田大学の中林美恵子教授によると「合意点が見出せなければ、交渉の“上手”に立つため35%の関税を課してくる可能性は十分にある」ということです。 今後の日本の交渉について、赤沢大臣の担当記者によると「7回目の訪米、赤沢大臣が帰国後も、経産省幹部ら“居残り組”が情報収集を行っていた」そうです。 ここで持ち帰った内容で、9日の期限に向けて作戦会議をするといいます。 赤沢大臣としては、8回目の訪米の考えもあるということです。 井上貴博キャスター: トランプ大統領の発言で株価に大きな変動が出ていて、振り回されていると思います。前日までと言っていることが変わることもあるわけですよね。 田中ウルヴェ京さん: トランプ大統領の、振り回したり、自分の影響力を示したりというのは、手段なのか、目的なのかは、すごく興味があるところですよね。 もし、手段だとしたら真意はどこにあるのか、あるいは「実はアメリカのベネフィットにもなるんだ」というようなことを示すものが何かなど、赤沢大臣を含め政府は、作戦を練っているところだと思うので、辛抱強くやってほしいですね。 ========== <プロフィール> 田中ウルヴェ京さん スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト 慶應義塾大学特任准教授 こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰