「7月5日問題」と呼ばれる現象が社会的な影響を与えている。漫画家・たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)に描かれた、2025年7月の大災害に関する“予言”を巡る騒動である。 【写真】オカルト研究家の角由紀子氏 東日本大震災の的中が話題の発端 『私が見た未来』は1999年に初版が発行され、表紙に「大災害は2011年3月」と記されていた。これが東日本大震災と一致したとして注目を集め、2021年10月発売の『完全版』の売り文句となった「2025年7月の大災難」の内容にも関心が高まった。 作品には、日本とフィリピンの間の海が隆起し、大規模な津波が発生する光景が描かれている。たつき氏は数年前の7月5日に見た夢として、この内容を発表していた。 一連の騒動は既に日本経済にも影響を及ぼしている。香港の航空会社が日本への旅行客減少を織り込み、航空便の減便を実施する事態に発展。事態の深刻さを受け、気象庁の野村竜一長官は6月13日に記者会見を開き、「現在の科学的知見では、日時と場所、大きさを特定して地震を予知することは不可能」「そのような予知の情報はデマと考えられるので心配する必要はない」と述べ、日本での大災害に関する情報を明確に否定する事態になっている。 しかしながら、7月5日を迎えるまでは騒動が収束することはなさそうだ。「予言は信じていない」と言いながらも、日本を離れる選択をした人もいる。ライターの芝鳥のぶあま氏が語る。 「万が一を考えてインドに行くことにしました。6月29日から2週間滞在し、ロイヤルカルカッタでゴルフを楽しむ予定です。実際に起きたらインドで『うわ本当だ』ってなりますね。もしそうなったら、しばらく滞在しようと思っています」 SNSで拡散、200万回再生の動画も 今回の現象が広く拡散した背景には、オカルトや都市伝説を扱うYouTubeなどSNSの影響がある。関連動画の中には200万回再生を超え、4000件を超えるコメントが寄せられているものも存在する。「『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』(扶桑社)などを上梓する、オカルト研究家の角由紀子氏に話を聞いた。 「現在、オカルトや都市伝説界隈では『7月5日問題』の話題で持ちきりです。かつて、初版本は10万〜20万円で取引されるほど人気となっていました。著者のたつきさんが見た予知夢が描かれているのですが、たつきさんは他にもダイアナ妃の死も予測していたような描写もあります。 あとは2025年に太陽フレアが最大化するとか、アメリカ・インディアンの部族のひとつであるポピ族が隕石墜落の予言をしているとか、タンザニアのシャーマンの血を引く村長が7月5日に日本に大きな変化が起こると言っているとか……。さまざまな“予言”や“事象”が2025年7月あたりに重なるんじゃないかという見方もあります」 「信じすぎず、軽んじすぎないことが重要」 一方で角氏は、「何も起きないという見解の人の方が多い。また、世界で様々な予言がある中で、日付まで的中した例はそうはない」とも語る。 「予言に科学的根拠はないですし、鵜呑みにするような物ではありません。ただ、皆の心の中にある深層心理や潜在意識の鏡でもあります。今回の現象には、地震への不安や戦争への懸念が反映されているのかもしれません。避難経路の確認や非常食の準備など、防災意識の向上につながる側面もあるので、信じすぎず、軽んじすぎないことが重要だと思います。 私が調べた情報ではこれまでの終末論などを信じ込み、財産を使い果たした人もいます。ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしいと思います。予言が外れても人生は続きますから」 前出のインドで7月5日を迎える芝鳥氏はこうも語っていた。 「エンタメじゃないですが、まあ、イベントとして考えています(笑)」 7月5日まで残りわずかとなった今、防災準備の契機としつつ、冷静に“その日”を迎えることが重要だ。