不妊治療30万円、育児支援月3万円、「鳥取県」の結婚・子育て支援が手厚すぎる…!

大都市だけが「婚活成功」の方程式ではない 一般的に婚活は大都市の方が有利と思われがちです。人口が多ければそれだけ出会いも多く、結婚もしやすいだろうというワケです。なかには、結婚や婚活を目的に都会に出る方もいるほどです。 しかし、これは単に大都市のほうが“婚姻率が高い”というだけで、大都市ならば誰もが結婚できるというわけではありません。総務省統計局の2023年「人口動態統計」によると、婚姻率の全国平均は3.9のところ、東京は5.3と1位である一方で、国立社会保障・人口問題研究所の2022年「人口統計資料集」では、50歳時の未婚率でも東京が1位の32.15%となっています。 つまり東京は「もっとも結婚しやすく」かつ「もっとも結婚できない」地域でもあるのです。 意外に思われるかもしれませんが、実は婚活の場合は人口が多ければ良いというものではありません。実際に結婚相談所での婚活で結婚に至った確率(成婚率)は、東京が最下位であり、人口がもっとも少ない鳥取県が1位となっています。 ではなぜ、こういったイメージと逆転した現象が起こっているのでしょうか。婚活事情を踏まえつつ、人口が少ない地域だからこそのメリットなども踏まえてお伝えします。 「人口、婚姻率、成婚率」それぞれの実情 総務省統計局の2024年「人口推計」を見ると、各都道府県の人口上下5位は以下の通りでした(10月1日時点)。1位はいわずもがなの東京都、最下位は鳥取県でその人口の少なさも際立っています。 さらに総務省統計局の2023年「人口動態調査」で、各都道府県の婚姻率に踏み込んでみると、東京都・大阪府・神奈川県・愛知県あたりは順当に婚姻率も高い結果となっていますが、沖縄県も上位に入っていることから、人口と婚姻率が完全にリンクしているワケでもなさそうです。 一方、日本結婚相談所連盟(IBJ)の2023年「成婚白書」によると、成婚率の上下5位は以下のような結果でした。ここでも、成婚率と人口に明確なリンクは見受けられませんが、注目すべきは【表1】に記した、「人口1位」の東京と「人口最下位」の鳥取県が入れ替わっている点です。 ここで言う成婚率とは、結婚相談所を通して結婚(の約束)に至った割合のことですが、大都市ほど自然な出会いから結婚に至る方も多く、マッチングアプリや婚活パーティなど、結婚相談所以外の選択肢が多い側面も理由のひとつかもしれません。 しかしその一方で、成婚率が上位の県は「人口が少ないからこそ」という理由も十分に考えられます。なぜなら婚活において「ライバルが少ない」というのは一番のメリットだからです。加えて大都市と比べると、名実ともに有名大卒の高学歴、高身長といった、婚活で言うところの“条件の良い人”の割合も少なく、高望みもされにくいことから、競争がゆるやかな環境といえるのです。つまり、平均的な生活ができるれば誰もが十分に戦えるメリットがあるのです。 また人口が少ない地方ほど、周囲との結びつきが強く、世間体も色濃く残っています。つまり未婚者は色眼鏡で見られてしまうため、おのずと「結婚意欲が高く」、同郷ゆえの仲間意識のようなものも強まり、話題や感覚も合いやすいため、比較的仲良くなりやすい側面もあります。 そして、婚活対象となる人口が少ないことは、特に「行政が手厚いサポートをしやすい」ことにも繋がります。行政からすると人口減少は危機感を持って対応すべき大問題なので、なおさらです。詳しくは後述しますが、実際に鳥取県は全国トップクラスの取り組みを行っています。 一方、人口が少ないことによるデメリットは、やはり「自然な出会いが望みにくい」点です。ひいては、婚活方法が限定的になってしまう点も挙げられます。しかしこの点は、現代なら民間の結婚相談所をはじめ、行政さえも支援をしている時代です。一般的な暮らしができる条件に加え本人に結婚意欲さえあれば、人によっては大都市より結婚しやすいかもしれません。 全国トップクラスの鳥取県の取り組みについて 鳥取県の2021年度「とっとり県政だより」によると、鳥取県の成婚率1位という成果は、けして偶然の産物ではないことが伺えます。 最近では行政による出会いの支援は、けして珍しくはありませんが、鳥取県も結婚のための出会い支援として、「えんトリー(とっとり出会いサポートセンター)」が開設され、少なくともそこでの相応の結果は出ている様子です。 そのうえで、鳥取県では妊娠から子育てまでを包括的にサポートしてくれる支援センター(ネウボラ)が「全市町村に設置」されています。これにより、県内の既婚者は精神的にも肉体的にも、そして経済的にも、安心して出産・育児に取り組める環境となっているようです。 経済面や子育てに関する主な取り組みを上げると、以下のような取り組みが行われています。 ■妊娠について ・不妊検査費助成金…保険適用外の費用の全額を助成(上限2万6000円、1回限り) ・不妊治療費助成 …43歳未満の方への不妊治療費の助成(最大1回30万円×6回) ■出産について ・産婦人科医の充実…厚生労働省の統計によると、全国1位 ・産後ケアの無償化…食事代以外は無償(通常、民間1〜2万円、自治体3〜5000円) ・在宅育児世帯への経済的支援…月3万円、最大10ヶ月 ■子育てについて ・小児科医の充実…厚生労働省の統計によると、全国1位 ・待機児童ゼロ…鳥取県の発表によると、令和6年時点で19年連続ゼロ ・自然保育を行う園の認証・支援…自然を活かした野外保育(園)を支援 ■その他の子育てについて ・高校生までの子どもの医療費を助成…18歳以下は医療費が無償 ・高校生の通学費用を助成…原則、月7000円を超える部分を助成 経済的に大きなところとして、不妊治療費助成が挙げられます。一般的な県では5〜10万円程度が多いなか、一定の条件付ではあるものの「30万円」というのは極めて実施県が少ないトップクラスの金額です。また産婦人科医・小児科医の数が全国1位、産後ケアも無償で待機児童も19年ゼロと、鳥取県の少子化対策への本気度が伺える結果です。 そのほか、空き家バンクなどもある こうした取り組みの結果、鳥取県の出生率は全国平均の1.34(人)を上回る、1.59(人)と、全国9位という結果です。さらに、鳥取県の平成30年度「鳥取県における少子化対策等に関するアンケート調査」によると、理想的な子どもの数が3人と非常に多い数字です。 国立社会保障・人口問題研究所の2021年「出生動向基本調査」で、子どもは3人欲しいと思う方は全国的に男性13.7%、女性14.8%という結果の一方で、鳥取県では約2人にひとりが「子どもは3人欲しい」答えている点でもこれがいかに高い数値か伺える結果といえるでしょう。 人口推計を見ても分かる通り、多くの人は夢や希望を持って最初は大都市に行く傾向です。しかし大都市は、けして誰もが煌びやかな人生を歩める環境でもありません。大都市のような人口が多い地域は、それだけ何事にも競争が厳しくなります。このため、思ったほどには稼げず、その割に家賃が極めて高く、日常生活さえ厳しい声も少なくないのが実情です。そしてその競争は婚活にも影響し、婚活しても結婚できない人が多い傾向にあります。 大都市で競争に勝ち、充実した生活を送れている方は良いでしょう。しかしそうでない方のなかには、そのまま大都市の競争に苦しめられ続ける人生で良いのか疑問を持つ方もいると思います。 一方で人口の少ない地方ならば、大都市ほどの苛烈な競争はほとんどありません。加えて鳥取県には前述した婚活・結婚支援のほかに、移住サポートや空き家バンクもあります。仕事についても「医療・福祉」に従事している方がもっとも多く、リモートワークやDX推進を軸にしたLASSICといったIT企業もあります。 人口が多い地域は「寄らば大樹の陰」であると同時に「弱肉強食」の世界です。厳しい競争の中で苦しい日々を送る方であっても、人口が少ない地域なら仕事面でも婚活の面でも大事にされ、より人間らしく暮らせる可能性が高いのです。 …つづく関連記事<「200万円台」は圧倒的に不利…婚活市場で男性が考える、女性の「妥当な年収」とは?>では共働きが主流の現在、女性にも年収を求められている婚活の現実をお伝えしています。 【つづきを読む】「200万円台」は圧倒的に不利…婚活市場で男性が考える、女性の「妥当な年収」とは?

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