モンゴル公式訪問する天皇陛下、前回は「馬乳酒をいただいたこともある」【記者会見全文その3】

 天皇陛下は2日、モンゴル公式訪問を前に皇居・宮殿で記者会見に臨まれた。  会見の全文は次の通り(その3=最終)。      ◇  問5 上皇さまは天皇陛下として戦後60年にサイパン、戦後70年の年にはパラオと、激戦地となった南太平洋の島で戦没者を慰霊なさいました。今回、戦後80年の節目に陛下がモンゴルを訪問なさる意義はどのようなことだとお考えでしょうか。モンゴルでも多数の日本人が抑留されましたが、戦争体験者が年々少なくなるなか、戦争の歴史と教訓をどのように語り継いでいくべきでしょうか。  天皇陛下 私と雅子は、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、上皇、上皇后両陛下からも折に触れて戦時中のことについてうかがう機会があり、両陛下の平和を思われるお気持ちをしっかり受け継いでまいりたいと思っております。  今年は、戦後80年という節目の年に当たり、人々の苦しみや悲しみを決して忘れてはならない地として、これまでに、大戦中に激戦地となった硫黄島や、原爆の惨禍に見舞われた広島を雅子と二人で訪れ、また、激しい地上戦で多くの県民が犠牲となった沖縄には愛子も伴って訪問いたしました。  それぞれの地で、戦争を体験された方や遺族となられた方々のお話をうかがい、皆さんが経験された想像を絶するような苦難の一端に触れ、深く心が痛むとともに、平和の大切さについての思いを新たに致しました。  戦後80年がたち、戦争を実際に知る世代が少なくなってきている中で、戦争を体験した方々から直接話をうかがい、その記憶を次の世代に継承し、理解を広めていくことは極めて大切なことだと思っています。  先ほどもお話ししましたとおり、今回の訪問では、そのような歴史に思いを巡らせつつ、日本人死亡者慰霊碑に供花をし、心ならずも故郷から遠く離れた地で亡くなられた方々を慰霊し、そのご苦労に思いを致したいと思います。 幼い頃の愛子さま、相撲でモンゴルに親しみ  戦後、我が国は、モンゴルを始め世界の各国と共に、国際社会の平和と繁栄のために力を尽くしてきました。これまでに重ねてきた両国の交流の歴史を踏まえながら、今回の訪問を契機として、両国間の友好親善関係が更に深まることを願っています。  関連質問1 平成19年のご訪問の際は愛子様にとっては朝青龍関や白鵬関の国がモンゴルという頃だったかと思います。今回はご家族3人で愛子様も交えてモンゴルについて、どのようなお話をなさっているか。また、先ほど3問目で、ラオスでは餅米を食べる習慣があると仰っていましたが、前回モンゴルならではの食生活を経験されたと思うんですけれども、その印象ですとか思い出がもしありましたら教えてください。  天皇陛下 前回、私がモンゴルに行きました時は愛子もまだ小さく、そして、その頃、非常に相撲にも興味を持っていて、朝青龍始めモンゴルからの力士が活躍していた時でした。愛子も朝青龍の名前がドルゴルスレン・ダグワドルジということも覚えたりして、やはり相撲を通してモンゴルに対して親しみを持っていたような気がします。  また、その後はだんだん成長するにつれて、モンゴルの社会などについても、今は日本赤十字社に勤務している立場でも、いろいろと興味を持ってきているような感じがいたします。今回私たち二人で訪問して、そして実際にモンゴルはどういう国であったか、人々の生活、モンゴルの社会、歴史、そういったことや今のモンゴルについて、愛子にもいろいろ話をすることができればというふうに思っています。  ラオスについては、食生活の話が出ましたけれども、私が一番強く感じたのはラオスでももち米を食べるということで、私も実際にラオスで何回かもち米を食べたことがあります。食生活についても、全般的に日本といろいろ共通するところがあったように思いますし、やはり実際にその国に行ってみるといろいろなことを学ぶことができると思って、いい経験になりました。  前回ラオスに行く時も話したかもしれないですけれども、ラオスではメコン川が国の中を流れていて、ベトナムのときもそうでしたけれども、メコン川と人々との生活の結び付き、いろんな生活面での結び付きなども含めていろいろ見ることができたのがとても良かったと思っています。  記者 モンゴルでは馬乳酒ですか。そういった伝統的な食事の思い出があれば。  天皇陛下 モンゴルについては、馬乳酒はちょっといただいたこともありますし、あとはそのほかにも強いお酒などもありましたが、前回は私は手術の直後だったので、アルコールについて制限があったものですから。食事について言えば、ボーズという中国ではパオズですか、焼き餃子や蒸し餃子のような、そういったものとか、やはり羊の肉などを使った料理が非常に多かったと思います。 食事でその国の文化に触れる  特に餃子、水餃子、蒸し餃子のような日本の食事とも共通するようなものをいただくことができたというのも一つの思い出になります。やはり食事というのは、その国々の文化を表していると思いますので、私自身もいろいろ世界を回っていくときにその国の食事をいただくことによって、その国の文化の一端に触れることができると思っており、そういったことも楽しみの一つです。  関連質問2 モンゴルで日本人抑留者の慰霊碑を訪問されますが、今回、前回の皇太子というお立場と違って天皇というお立場で慰霊されるわけなんですけれども、改めてお立場が変わったことによってどのような思いを持ってこの慰霊に臨まれるかというのを、前回とどのような違いで臨まれるかというのをおうかがいできればと思います。  天皇陛下 私も前回は、モンゴルで慰霊碑に参拝したのはもちろん初めての経験だったわけですけれども、それからまたある程度年も重ねてますし、モンゴルでのいろんな当時の人々が、日本人が、大変な思いをしたということについてもいろいろと文献を読んだりして少し知識もその頃に比べて増えてきているように思います。ただ、慰霊するという気持ちについては前回でも今回でも同じような気持ちで慰霊の場に臨みたいと思っております。  先ほど、少しお話ししましたけれども、前回お会いした春日行雄さんという方は、残念ながら亡くなられましたけれども、本当に大変な思いをされたということ、当時モンゴルでも実際にお会いしてお話をうかがえたことはとても良かったというふうに思っております。

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