地震が頻発する鹿児島県南部のトカラ列島。3日午後4時ごろに、これまでの一連の地震で最大となる震度6弱の揺れを悪石島で観測しました。十島村は4日にも、希望者を対象に島外避難を行う方針を示しました。 トカラ列島で連続する地震で、3日、これまでで最大となる震度6弱の地震が発生しました。この地震を受け、悪石島のある十島村では、4日、希望者を対象に島外避難を進める方針を明らかにしました。 3日夜、県の災害対策本部会議に出席した十島村の久保村長は… 十島村 久保源一郎 村長 「本日夕方に対策本部の中で島外避難の準備を始めた。あす、船で第一陣の準備のできた人で、希望者を鹿児島に運ぶ予定にしている」 震度6弱の地震が観測されたのは午後4時13分ごろ、鹿児島県悪石島。震源の深さは20キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5.5と推定されます。 およそ2時間後に、国交省のヘリが島を空から撮影した様子では、家屋の倒壊や土砂が崩れるような大きな被害は見られませんでした。 島で震度6弱の揺れを経験した島民は… 島民 有川末子さん(72) 「すごい揺れました。(揺れは)横からだったかな。買い物した帰りだった。家に帰ったらコップが落ちて割れていた。うちは1人だから怖くて。主人は鹿児島(市内)にいるから。早く収まってほしい。もう夜が眠れなくって」 当時、島には住民ら76人がいましたが、全員の安否が確認されており、けが人はいないとのことです。 今回の悪石島を含めたトカラ列島での地震。先月21日以降、多発していて、午後5時時点で合計1050回、3日は震度3は8回、震度4は5回、観測しています。 そんな中、十島村で初めて観測した震度6弱の地震。気象庁は… 気象庁 地震津波監視課 海老田綾貴 課長 「特にメカニズム的にそんなに変わらない。きのうと変わらないし、ずっと揺れが続いている領域なので、その中で今回、たまたま震度6弱の地震を観測」 今回の地震を受け、悪石島のある十島村では… 十島村 久保源一郎 村長 「(島民の)疲労がピークに達しているので、悪石島で夜を過ごせないという方が多いと思う」 十島村では現在、悪石島の希望者を対象に島外避難を行う準備を進めていて、4日は午前7時すぎに住民13人が悪石島に到着する定期船で鹿児島市に向かうということです。島民からは… 島民 有川末子さん(72) 「あすは十島丸(フェリー)、これで鹿児島(市内)に避難をする、私は」 一方で… 島民・畜産農家 坂元裕幸さん 「『避難を(島外に)希望する人たちは』という話もあったが、牛を飼っているのもあり、簡単には避難はできない。今回は残ることにしました」 簡単には島を出られない島民の声も聞かれました。 気象庁は、今回の震度6弱の揺れで地盤が緩んでいる可能性もあるとし、引き続き注意を呼びかけたうえで… 気象庁 地震津波監視課 海老田綾貴 課長 「当分の間、震度6弱の地震に注意をしてほしい。いつまでに終わるということは、残念ながら申し上げることはできません。これから夜間になりますし、何か逃げようとしたときにそういう状況があることを想定して行動をしていただきたいと思う」 ■十島村役場から報告 私は鹿児島市内にある十島村役場にいます。この時間も職員が残り、情報収集を続けています。 今回の地震を受けて、鹿児島県は災害対策本部を設置しました。この会議の中で、十島村の久保源一郎村長は、悪石島で暮らす島民の一部を島の外へ避難させることを明らかにしました。 避難するのは、島外から留学してきている5人を含む小中学生6人と、0歳から80歳までの7人のあわせて13人です。13人は、4日午前7時すぎに悪石島に到着する定期船で鹿児島市へ向かうということです。 また、塩田知事は会議の中で、国との調整の結果、今回の地震で災害救助法を適用したと発表しました。避難等にかかる費用の一部、または全部を国が負担します。 十島村では、3日午後5時までに1000回以上の地震が発生しています。夕方以降もたびたび余震が起きており、島民の不安な夜が続きます。