「政権選択」の意味も…参院選が公示「マーケットイン」の公約に危うさも

参議院議員選挙が3日公示され、党首が各地で第一声を上げました。今回は、政権選択の意味合いがあると言われています。与党が過半数を確保するか下回るかによってどんな展開があり得るのか、気になるポイントは何か? 日本テレビの政治部長が解説します。 ■石破総裁「ばらまきではない」 自民党・石破総裁(兵庫・神戸市で) 「今年中には、生活苦しいね、そういう方々にお金が行き渡るようにいたします。困った方々に重点的にお払いをする。それが給付金であって、決してばらまきでも何でもありません」 ■野田代表「食料品高すぎる」 立憲民主党・野田代表(宮崎・国富町で) 「コメ以外もみんな高いと皆さん、思いませんか。食料品高過ぎですよね。でも何にもやってないですよ、石破政権。無策でしょう。我々は食料品に係る消費税を今8%かかっていますが、0%にしようと思います」 ■吉村代表「社会保険料の改革を」 日本維新の会・吉村代表(大阪市で) 「自民党がやる、あの2万円の現金配ります、目の前のばらまきますという話があるんですけど、いやいや違うだろと。社会保険料を下げる改革、そして副首都、経済圏を作っていく、強い経済を作っていく」 ■玉木代表「減税でお返しするのが筋」 国民民主党・玉木代表(都内で) 「選挙対策でばらまくのではなく、一生懸命働いてそれを払って頂いた納税者の皆さんに、減税でお返しするのが筋じゃないですか、皆さん。この夏を皆さんの手取りを増やす夏(にしていきましょう)」 ■斉藤代表「責任ある減税を」 公明党・斉藤代表(神戸市で) 「公明党はやると言ったらやり切る。私たちの生活の安心に関わる社会保障をしっかり大事にする。責任ある減税を行っていきます」 ■山本代表「徹底的な経済政策」 れいわ新選組・山本代表(都内で) 「徹底した底上げ、全国津々浦々にお金を回す。そのためにも消費税は廃止。徹底的な経済政策で日本をもう一度よみがえらせる」 ■田村委員長「自民党政治に正面対決」 共産党・田村委員長(都内で) 「自民党政治に正面から対決し、責任ある対案を示す日本共産党の躍進。これこそが、政治を大きく前に動かす最も確かな力です」 ■神谷代表「日本人ファースト」 参政党・神谷代表(都内で) 「キャッチコピーは日本人ファーストです。希望がないから子供を授かることすら躊躇(ちゅうちょ)してしまっている。そんな日本を変えたい」 ■百田代表「日本は本当に壊れかけ」 日本保守党・百田代表(都内で) 「日本は本当に壊れかけです。今立ち上がれば、今自公政権のむちゃくちゃを止めることができたら、まだ日本は復活する余地があります」 ■福島党首「ミサイルよりコメを」 社会民主党・福島党首(都内で) 「ミサイルよりコメを、ミサイルより暮らしを、ミサイルより平和を。どうですか。お金を使うところを間違っている。社民党は変えます」 このほかNHK党、再生の道、チームみらいなどが、選挙区と比例代表に候補者を擁立しています。今回の参院選は、改選の124議席と東京選挙区の非改選の欠員1を合わせた125議席をめぐって争われ、7月20日に投開票されます。 ■参院選の後は…与党の議席数シナリオ 鈴江奈々アナウンサー 「井上幸昌・日本テレビ政治部長に、今回の参議院選挙のポイントを聞いていきます」 井上部長 「今回の参院選は、政権選択の意味合いがあると言われています。参院選が終わった後に何が起きそうなのか考えると、その理由が見えてきます」 「自民公明の与党で過半数をしっかり取れば、石破総理は続投とみています。ただ衆議院は過半数がない少数与党のままですね。一方、与党が過半数を割った場合、石破首相の続投もあり得ます」 「ただ衆院も参院も過半数がない、完全な少数与党となり、政権運営はかなり厳しいものになると思います」 鈴江アナウンサー 「もしその状況になると、政府与党の法案が1つも通らなくなることも考えられますよね」 井上部長 「想定され得ると思います。そして目標議席を下回った責任を取って退陣する可能性も秘めています。そうなると自民党は新しい総裁を選ぶことになりますが、衆参ともに少数与党ということに変わりはありません」 「そこでいずれのシナリオでもあり得るのは、どこか新たな野党を連立政権に加え、政権を安定させるという選択肢が浮かんできます。候補としては国民民主党、維新、そして立憲。ただ、いずれも連立には否定的なんですよね」 「一方で可能性としては、こうした野党がまとまって新たな連立政権を作ることもあり得ますが、現時点ではその可能性は低いとみています」 森圭介アナウンサー 「選挙後にどういう政権の形をそれぞれの党が目指しているのかというのは、有権者としてはあらかじめ知っておきたいと思う方も多いでしょうね」 ■「マーケットイン」の考え方に注目 鈴江アナウンサー 「それぞれの党の立ち位置を見る上でも、どんな政策を掲げているのかもしっかり見ていきたいところです。every.では今後『ひと目で分かる』政策解説を行っていきます。井上さんが取材する中では、注目する点は何かありますか?」 井上部長 「政党幹部を取材していると『マーケットイン』という言葉を何度か聞きました。普通はビジネス用語ですが、政治の世界でもはやっているなという印象です。有権者のニーズを調査して何が求められているか把握した上で公約を打ち出したということです」 「晩ご飯の話で言うと、家族に『何がいい?』と聞いてステーキのニーズが高かったから、毎日ステーキを出し続けるみたいなことかなと…」 森アナウンサー 「なるほど。食べたいものを言って、それを叶えてくれるということですね」 井上部長 「出し続けると私も株上がりますし。これまでは逆の『プロダクトアウト』でした。強みを生かした公約を決めて有権者に問う、というやり方でした」 「つまり得意料理を提示するスタイルでしたが、これだと支持が広がらない、家族も『そうじゃないよ』と言いますよね」 鈴江アナウンサー 「今はその気分じゃない、みたいなことはありますよね」 井上部長 「そのためマーケットインの考え方を重視するようになったということです」 ■聞こえのよい公約ばかりに?…懸念も 桐谷美玲キャスター 「今(公約などに)出ている給付や減税も、このマーケットインの考え方なんですか?」 井上部長 「話を聞いていると、かなり参考にしていることは間違いないかと思います」 忽滑谷こころアナウンサー 「有権者に対して耳を傾けることで身近に政治を感じるという点はあるかもしれないですが、一方で理想論ばかり語ることにならないのかなという心配も少しありますよね」 井上部長 「私もその点は懸念していて、各党とも満たそうとしているのは、はっきりと声となって形となって現れたニーズだけなんですよね。そうなると、そこに応えるように、聞こえのよい公約ばかりを競うように打ち出してはいないか、ということなんです」 「その公約を実現する財源は本当にあるんですか?と。もしくは日本の将来を本当に良くするものなのか? この行き過ぎたマーケットインの危うさも考慮しながら、投票先を選びたいなというところです」 鈴江アナウンサー 「7月20日の投開票日まで、投票行動に役立つ情報を毎日丁寧にお伝えしていきます」 井上部長 「日本テレビでは今年5月に、選挙報道の指針を作成しました。参院選もこの指針に基づき、ネット上などに広がる真偽不明な、『それって本当?』という情報をしっかりと検証し、伝える方針です」 「選挙は民主主義の根幹です。取材によって得られた事実を深く広く届けていきます」 (2025年7月3日放送『news every.』より)

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