全国最多32人が立候補、東京選挙区は暑さとの戦いも…選挙カーに「熱中症注意」・木陰や日傘の聴衆

 参院選が公示された3日、東京選挙区では全国の選挙区で最多の32人が立候補を届け出て、非改選の欠員1の補充分を含めて7議席を争うことになった。  30度を超す暑さの中、候補者たちはさっそく駅前や繁華街を巡って声をからし、額に汗しながら支持を呼びかけた。投票は3連休中日の20日に行われ、即日開票される。 自民党  自民党現職の武見敬三候補(73)は、党所属の国会議員や都議らが駆けつける中、港区の事務所前で第一声を上げた。都内で高齢者の単身世帯が増えることを踏まえ、「超高齢化社会で人生最後まで安心して暮らせる社会をつくらなければならない」と強調。演説を終えると集まった支援者らと固く握手を交わし、選挙カーに乗り込んだ。  イメージカラーの青いシャツとネクタイを身につけ、渋谷区の宮下公園前に立ったのは自民新人の鈴木大地候補(58)。五輪選手やスポーツ庁長官の経歴に触れ、「私はスポーツで人生が変わった。今度は政治で社会を変えたい」と訴えた。その後は、今回選に合わせて制作したオリジナルの応援ソングを流しながら渋谷駅周辺を練り歩いた。 立憲民主党  立憲民主党現職の塩村文夏候補(46)は、新宿駅東南口で第一声に臨んだ。力を入れる動物愛護政策を象徴するように、猫の足跡の模様が入ったのぼり旗を周囲に並べ、「参院議員の任期は6年間で解散がない。長期的な視点で責任ある政治を行っていく」と力説。日本発の技術を活用し、海外へのエネルギー依存度を減らす必要性などを訴えた。  歌手としての経歴を持つ立民現職の奥村政佳候補(47)は、初めてライブを行った思い出の武蔵野市の吉祥寺駅前を第一声の場に選んだ。冒頭、得意のボイスパーカッションを披露して通行人の気を引くと、「歌手時代は毎日、財布の中身を見ながら食べることに必死だった。今の物価高を止め、食料品の消費税0%を実現する」と訴えた。 公明党  公明党新人の川村雄大候補(41)は「熱中症には十分お気をつけください」とのポスターを掲げた選挙カーに乗ってJR池袋駅前に姿を見せた。日傘をさした聴衆に「熱中症が増えれば医療が圧迫され、様々な疾患のリスクも増える。気候変動に取り組むことを社会の機運にしていく」と訴えると、「がんばれ」などの声援や拍手を浴びていた。 維新の会  日本維新の会の元議員、音喜多駿候補(41)は千代田区の商業施設前で第一声を上げた。「高過ぎる社会保険料が給料が上がらない正体だ。社会保険料を引き下げ、持続可能な制度を作る」と、現役世代の負担軽減に向けた社会保障制度改革の必要性を強調。演説前には、SNSの自らのアカウント名に「社保下げ兄さん」と加えて浸透を図った。 共産党  共産党現職の吉良佳子候補(42)は、田村委員長らと並んで池袋駅前に立った。「『痛みに寄り添い声を届ける』をモットーに政治を動かしてきた」と述べ、学校給食の無償化を政府に求めたことや、私大入学金の「二重払い」問題を追及した実績などをアピール。演説後は集まった聴衆のもとに歩み寄り、1人ずつ握手して支持を呼びかけた。 国民民主党  ともに国民民主党新人の牛田茉友候補(40)と奥村祥大候補(31)は、「東京で2議席を取る」と語る玉木代表が一日中同行し、JR山手線の主要各駅前を駆け回った。分刻みのスケジュールとなり、移動は常に小走りに。3人が代わる代わるマイクを握り、特に働く現役世代らを意識した経済政策を実現するなどと訴え続けた。  元NHKアナウンサーの牛田候補は浜松町駅前で、「ニュースを伝えるだけでは根本的な解決にならない」と出馬を決めたとした上で、「手取りと笑顔を増やせるように取り組んでいく」と強調。一方、奥村候補は田町駅前で、「頑張っても報われない現役世代の思いを政策として永田町に持っていき、庶民の幸せを取り戻す」と力強く語った。 れいわ新選組  元衆院議員でれいわ新選組新人の山本譲司候補(62)は、シンボルカラーのピンクのシャツを着て新宿駅前に立った。秘書給与の詐取事件で服役後、出所者らを支援してきたことに触れ、「生活困窮者がどんどん増えている。この社会、政治にピリオドを打ちたい」と主張。駆けつけた山本代表とともに支持者からの写真撮影の求めに応じていた。 参政党  上下白の服に身を包み、党のカラーのオレンジのたすきがよく目立ったのは、参政党新人のさや候補(42)。神谷代表らとともに中央区銀座の繁華街でマイクを握り、「日本が大好き。『日本人ファースト』を掲げてたたかれるのはおかしい」と力説。消費税の廃止や社会保険料の引き下げなどを通じて、日本の経済を立て直すと訴えた。 社民党  社民党新人の西美友加候補(53)は、福島党首や比例選の候補とともに新宿駅前に立った。ガッツポーズ姿で写真撮影に応じた後に演説に臨んだ西候補は、食料品の消費税廃止や、社会保険料の負担軽減、企業の内部留保への課税を実現すると主張し、「誰もが安心して生活して、年を重ねることができる世の中を作る」と力を込めた。 日本保守党  日本保守党新人の小坂英二候補(52)は、比例選に出馬した百田代表らとともに港区の新橋駅前SL広場でマイクを握り、政府の現在の外国人政策を念頭に、「日本人のための国にもう一度戻さないといけない」と力を込めた。さらに、食料品にかかる消費税を恒久的にゼロにすることなどを訴えると、大勢の聴衆から歓声が上がった。 注目の顔ぶれ、街で熱弁  主要政党のほかに、各政治団体や無所属の候補者たちも各地で声を上げた。  みんなでつくる党から立候補した新人の酒井智浩候補(55)は、大津綾香党首とともに葛飾区の新小岩駅前で第一声。「初の選挙で緊張した」という酒井候補は、うちわの裏側に訴える内容を書き込んで演説に。時折うちわを見つつ、いじめ撲滅などを訴えた上で、「一致団結して強い日本をつくっていきましょう」と呼びかけた。  NHK党の新人、石丸幸人候補(52)は第一声を行う代わりに、3日午後に自らのユーチューブチャンネルに動画を投稿。動画では、自らが設立した法律事務所で今月1日に職員が刺殺された事件が起きたことを説明し、「一般の人は今回の刑事事件をイメージしてしまう」として、今回の選挙戦では街頭演説を自粛する考えを明らかにした。  再生の道の新人、吉田綾候補(40)は、石丸伸二代表とともに千代田区内で演説に臨んだ。障害のある我が子を保育園に受け入れてもらえず、仕事に復帰できなかった経験に触れ、「日本の未来を予見して対策を打つ政治を目指したい」と力を込めた。また、石丸代表に促され、得意のロシア語で自己紹介を披露する一幕もあった。  チームみらいの新人、峰島侑也候補(35)は、比例選に出馬した安野貴博党首とともに、渋谷区の渋谷駅前で第一声を上げた。行政には効率化の余地が多いとして、「チームみらいのIT技術の知見を生かすことができる」と主張。新しいテクノロジーで幅広い意見を集約し、「誰も取り残さない世界を目指す」と声を張り上げた。  無所属で出馬した元衆院議員の新人、山尾志桜里候補(50)は、武蔵野市のJR吉祥寺駅前でマイクを握った。皇室の皇位継承について、「天皇や皇室の安定は、日本の安定そのものだ」として、女性の天皇を容認すべきだと主張。異なる意見も尊重して議論を深めていく大切さを説き、「無所属の私にはそれができる」とアピールした。

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