モペットは「最低でも原付バイク」出力によっては「自動車」にみなされる可能性 便利さの裏で…無免許など違反走行相次ぐ【Nスタ解説】

街でよく見かけるようになったペダル付きの電動バイク「モペット」。そもそも「電動アシスト自転車」と「モペット」にはどのような違いがあるのでしょうか。 【写真を見る】最高時速60キロ以上か 摘発された“改造モペット” 取り締まり急増の「モペット」事故を起こす前に正しい知識を 高柳キャスター: 今回、皆さんにきちんと理解をしておいてほしいのは、見た目は近くても電動アシスト自転車とモペットは「全くの別物」だということです。では、そもそもお互いにどういったものなのか。 まず、電動アシスト自転車は、運転手自身が漕ぐことを補助する役割としてアシスト機能が搭載されているというものです。 道路交通法では「アシスト比率」というものが定められています。それによると人の漕ぐ力が「1」に対して時速10キロまでは、倍の力でアシストしてもらうことができます。一方で時速10キロを超えるとアシストの力は徐々に弱まっていき、時速24キロを超えるとアシスト機能の力はなくなります。つまり時速24キロ以上になると、自分の力だけで漕いでいくことになります。 一方で、モペットは時速24キロを超えても電動モーターが稼働し続けます。製品によってはモーターの力のみで走行が可能なものもあるということです。 TBS報道局 社会部 寺田哲記者: モペットはペダルが付いているため自転車に良く似ていますが、最低でも原付バイクに相当し、出力によっては自動車としてみなされる可能性があります。つまり、道路を走行する上で自動車と同じく、様々なルールを守る必要があるのです。 例えば、車体にはナンバープレート・ウインカー・バックミラー・テールランプの取り付けが必要になります。そもそも道路を走行する場合には当該バイクを運転することができる運転免許(原付免許・二輪免許等)などを所持していなければいけません。さらにヘルメットの装着や自賠責保険などへの加入も必要です。 ところが、東京都内では2025年1月から5月末までに、上記の基準を満たさなかったなどとして、364件の取り締まりがありました。人身事故などを引き起こした場合は、重い刑罰の対象になるにもかかわらず、なぜこうした事態となっているのか。 最大の問題は、モペットに対する曖昧な認識です。実際に街で取材をしていると、そもそもモぺットを知らなかったり、自転車との違いをわかっていない人も多く見られました。法律上の区分や道路を走るために必要な知識について、人々の認識が追いついていないような実情があります。 実際、取り締まりの現場では「(モペットを)自転車だと思っていた」と説明するケースもあり、「知らなかった」で言い逃れできるかもしれないという誤った認識もあるようです。 2024年11月の改正道路交通法の施行によって、「モペットをペダルだけで走行しても原付バイクの運転に該当する」と明文化されました。これはモペットは「自転車とは違うもの」として明確に線引きすることで、言い訳をさせない、正しい認識を広げるといった狙いがあります。 摘発される販売店も…HPには「無言購入歓迎」の文字 日比キャスター: モペットそのものに問題があるのではなく、使用者の誤った認識に問題があります。ただ「モペット」で調べてみると、「フル電動自転車」などといわゆる自転車のカテゴリーで売られていることもあります。これ自体がそもそも間違ってるということですよね。 寺田記者: モペットは原付バイクに相当する乗り物なので、自転車として売られているモペットの購入にあたっては注意が必要です。 高柳キャスター: まさに一部のモペットは「フル電動自転車」と書かれて売られていることがあります。正しくは、モペットは自転車ではなくバイクです。この点は購入する方も気をつけなければならない点です。警察も販売事業者に対して、運転免許証の確認などの徹底を求めていて、事業者側も気をつけなければいけません。 ただその中で、摘発されたモペットの販売店のホームページには「無言購入歓迎(おすすめ)」という文言が記載されていました。免許やナンバープレートなど、装備の必要性を確認せずに、整備不良のまま走行することを黙認するかのような表現です。 南波キャスター: モペットを店頭で買う場合、装備などへのアドバイスや確認はあるのですか。 寺田記者: 本来、店側はモペットの購入予定者がそもそも免許を持っているのか、自身の店舗で販売する車体がそもそも国内での走行基準を満たしているのか、確認する必要があります。またインターネットでは、事実上確認がないまま買えてしまう実情もあります。 高柳キャスター: 先ほど紹介した「無言購入歓迎」とホームページに記載のあった店に関しては、十分な説明を行っていなかった、怠っていた疑いで、すでに摘発されているということです。 時速60キロで走行できる“改造モペット” 海外製品も注意 高柳キャスター: さらに、“改造モペット”も増加しています。2025年5月に上野で摘発され、無免許運転されていたモペットは、普通のスポーツタイプの自転車にモーターやバッテリーなどを後付けし、“自作”でモペットに改造したものでした。警視庁が調べたところ、摘発された改造モペットは最大時速60キロ以上が出るものだったということです。 寺田記者: 最近はインターネット上で手軽に海外製のモペットを購入できる反面、道路を走るために必要な基準には国や地域によって違いがあります。購入した海外製のモペットで日本の道路を走るためには、日本国内の保安基準を満たしているか確認する必要があります。 基準などを一つ一つ自分で確認することは面倒ではありますが、確認を怠り購入してしまうと、気付かぬうちに違法な走行をしてしまう危険性があります。 日比キャスター: 既にモペットによる事故は発生していて、認識不足では済まされない状況にあります。これらの認知が進まないという点を踏まえて、もう少し規制・罰則などを強化してもいいのかなとも思います。 ========== <プロフィール> 寺田哲 記者 TBS社会部 警視庁サブキャップ 交通事故や事件など取材

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