家の中で襲われ死者も…クマの出没、市街地で相次ぐ 6〜7月は“危険”ナゼ 迅速な駆除へ「緊急銃猟」も【#みんなのギモン】

6月から7月にかけて相次いでいる、クマの出没。住宅や学校、空港などに現れ、死者も出ています。専門家によると、この時期はクマが興奮状態にあり、人と遭遇しやすく危険です。市街地で迅速に対応できるよう、9月から新たな駆除方法も可能となります。 そこで今回の#みんなのギモンでは、「市街地でもクマ出没 なぜこの時期?」をテーマに解説します。 ■1日2回…コメが食い荒らされる被害 山崎誠アナウンサー 「6月から住宅や学校などにもクマが出没し、亡くなる方も出ています。なぜ今なのでしょうか。岩手・北上市では8日、クマにコメが食い荒らされる被害が同じ場所で1日に2回ありました」 「コメは農家の車庫の冷蔵庫に保管されていたんですが、冷蔵庫にはクマが無理やりその扉を開けようとしたのか、うっすらと足跡が残り、車庫のシャッターもクマによって壊されていました」 ■居間で襲われたか…81歳が死亡 山崎アナウンサー 「この地区(北上市の和賀町山口地区)では6月からクマの出没が相次いでいて、7月1日と4日には、田んぼや倉庫でクマの姿が捉えられています。9日も岩手・花巻市で、ニワトリ小屋が襲われる被害が確認されました」 「北上市では同じ地区の別の場所でもコメを食い荒らされる被害が複数あったほか、7月4日には自宅の居間でクマに襲われたとみられる81歳の女性が亡くなる事態も起きています」 森圭介アナウンサー 「近所に住んでいる方も不安で仕方ないでしょうね」 桐谷美玲キャスター 「ご自宅の居間でということなので、家の中にいてもそういったことがあるかもしれないと考えると怖いですね」 ■授業中だった市街地の高校に侵入 山崎アナウンサー 「人が山に行った時ではなくて、普通に暮らしていてもこうしたことが起きてしまうという状況になっています。さらに北上市内では6月27日、市街地にある専大北上高校に侵入したクマの姿が捉えられています」 「道路を渡ってきたクマが、高校の門から敷地内に侵入します。その後、このクマは自転車置き場で何か臭いを嗅いだり、グラウンドを走り回ったりした後、3分ほどで去っていったということです」 「高校によると当時は授業中でしたが、生徒は校舎の2階以上にいたため無事だったといいます。この日は警察からクマの目撃情報の連絡があり、高校は校舎の施錠を行っていましたが、門の施錠をする前にクマが入ってしまったということでした」 鈴江奈々アナウンサー 「学校の建物というのは頑丈なので、中にいれば少しは安心感はあったかもしれません。ただ、シャッターが曲がるほどクマには力があるんだなと思うと、やはりちょっと入念に気をつけたいなと思いますね」 山崎アナウンサー 「鍵を壊してということもありますし、扉が閉まっていれば安心ということもなかなかできなくなってしまっている状況です」 ■6月〜7月、全国でクマ被害相次ぐ 山崎アナウンサー 「クマの出没は岩手県だけではなく、6月から7月にかけて全国で相次いでいます。北海道でも住宅街で目撃情報がありました。福島市では川を泳ぐクマの姿が確認されました」 「宮城県内の仙台〜古川間を走行していた東北新幹線が異音を感じたため停車し、点検をしたところ、クマと衝突していたことが分かるということもありました。山形空港の滑走路ではクマが侵入して、空港が一時閉鎖されました」 「東北だけにとどまらず、栃木・那須塩原市や長野・大町市でもヒトがクマに襲われています。大町市の山林では襲われた46歳の男性が亡くなっています」 忽滑谷こころアナウンサー 「限られた地域だけではなくて、いろいろなところでクマが出没しています。空港など、本当に我々の生活のすぐそばまでやってくる可能性があると思うと、恐ろしいですよね」 ■専門家に聞く…なぜ今の時期に? 山崎アナウンサー 「山間部だけではなくて、街や空港など身近なところでも、クマの姿が確認されています。ではなぜ今のこの時期に、これだけクマが人里や市街地に出てきているのでしょうか?」 「日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長によると、今のこの時期はクマが交尾をする時期の末期で、クマは興奮状態にあるそうです。さらにクワの実や木イチゴなどをクマが食べる時期で、そういったものが人里の近くに多いのも理由の1つだそうです」 「またこの交尾の時期は若いクマがより強い大人のクマに追われ、山から下りて来やすいということです。そのため興奮状態のクマと人が遭遇しやすい状況になっているといいます」 「普段であればクマも人に会ったら逃げることがありますが、興奮状態なので襲ってくる。今は、非常に危険な時期だということです」 ■警察の許可ナシでは発砲できず 桐谷キャスター 「ただ市街地に出てくるとなると、もし駆除しようとしても難しい場合もありますよね」 山崎アナウンサー 「そうなんです。市街地だと、人がいる状況でなかなか発砲もできないということで、これまで市街地での猟銃の発砲は、たとえクマの駆除のためであったとしても、警察の許可を得ないとできませんでした」 「しかし近年、こうした市街地にもクマが出没する事例が多発していることを受け、環境省は『緊急銃猟』を9月から可能とすることにしました」 「緊急銃猟とは、緊急性や安全の確保が可能といったいろいろな条件を満たせば、警察ではなく市町村の責任で、銃を使ったクマの駆除ができるようになるというものです」 ■通行規制や住民の避難などが条件 森アナウンサー 「よりスピーディーに駆除の手続きをすることができる、ということなんですね」 山崎アナウンサー 「そうです。8日に公表されたガイドラインによると、緊急銃猟の対象はヒグマ・ツキノワグマ・イノシシに限られるということです。通行規制や住民の避難などの安全確保が条件ですが、具体的な例も図を使って示されました」 森アナウンサー 「確かに(具体例の図のように)河川敷に追い込めればいいですけどね。市街地まで出てくると、なかなか簡単にはいかない部分もあるでしょうけどね」 山崎アナウンサー 「繁華街で人が多い場合は難しいかもしれませんが、(ガイドラインの図で示されたような)状況であれば、河川敷にクマがいて人がいない、通行の制限など安全を確保するための措置ができている状況であれば、こうしたことが可能になります」 森アナウンサー 「条件は限られていても、スピーディーに手続き自体は踏めるようになるということですね」 山崎アナウンサー 「そうです。浅尾環境大臣はこうしたガイドラインを自治体の方によく理解していただいて、戸惑うことなく対応できるようにしてほしい、としています」 鈴江アナウンサー 「ただ、こういった事態が相次ぐとハンターの皆さんも負担が多くなりそうですね」 山崎アナウンサー 「今回のガイドラインでは、ハンターの日当などに環境省の交付金を使うことができ、負担を考慮した必要十分な日当を設定することも望ましい、というふうに明記されました」 「そうしたハンターの方々の高齢化や人数の減少も今、問題となっています。私たちもクマの生態を理解して気をつけていきましょう」 (2025年7月9日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より) 【みんなのギモン】 身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)

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