全国高校野球地方大会は１２日、沖縄大会は準決勝が行われ、ともに今春の選抜に出場した沖縄尚学とエナジックスポーツが決勝進出を決めた。 ２大会連続の夏の甲子園出場を目指す有田工（佐賀）が８強入り。昨夏代表の大阪桐蔭（大阪）はコールド勝ちで初戦を飾った。 有田工４—１唐津商 有田工の２年生左腕・田中が、テンポの良い投球で唐津商の打線を翻弄（ほんろう）した。鍛え抜かれた野手陣を信頼し、打たせて取る投球が光った。 春の県大会で準優勝した唐津商の本格派右腕・木本との投げ合いに、「相手投手の方が上。絶対に先に点はやらない」と腹をくくって臨んだ。１メートル８２、８８キロの体格で、ゆったりとしたフォーム。時折交ぜる９０キロ台のカーブで緩急をつけ、１２０キロ台の直球で相手のバットを差し込んだ。 制球も安定し、今大会２度目の先発で初めて四球を出した六回も慌てなかった。二死二塁で迎えた４番川原は、緩い変化球の後の直球で詰まらせて右飛に仕留めた。７安打を浴びても丁寧に投げ続け、１失点で完投した。 チームは昨夏の甲子園１回戦で滋賀学園（滋賀）に６—１０で敗戦。同点の八回に守備が乱れて悔し涙をのんだ。７失策したその試合に出場した選手の多くが、今年も残っている。「とにかく守備を鍛えてきた」と梅崎監督。田中は守りのリズムを崩さないよう「先頭打者は出したくない」と心がけ、先頭の出塁を許したのは七回だけ。野手は無失策の堅守で応えた。 「先輩たちを勝たせたい」と練習に励んできたこの１年。自身も昨夏の甲子園では救援で２イニングを投げ、３失点と不本意な結果だった。同じ舞台で成長の跡を示すためにも、佐賀大会を勝ちきる。（渡辺直樹）
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