防衛装備庁の研究制度、大学からの応募3倍に…「軍民両用」への理解の深まり背景か

 防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」への大学からの応募が、今年度は過去最多の123件となり、前年度の約3倍に達した。  同制度は人工知能(AI)や量子技術など最先端の分野で基礎研究を進めるもので、科学技術のデュアルユース(軍民両用)への理解が深まってきたことなどが増加の背景にあるとみられる。  同庁によると、今年度の応募総数は過去最多の計340件。このうち大学(高等専門学校、大学関連機関を含む)が123件、民間企業や公益社団法人134件、独立行政法人などの公的研究機関83件だった。  同制度を巡っては、科学者の代表機関「日本学術会議」が2017年、装備開発につなげる明確な目的があるなどとして問題視する声明を出した。18年度以降、大学からの応募は毎年10件程度にとどまっていた。  だが、同会議は22年7月、「科学技術を潜在的な転用可能性をもって峻別(しゅんべつ)し、その扱いを一律に判断することは現実的ではない」として、デュアルユースの研究を事実上、容認する方針に転じた。  その後、同制度に応募する大学は増え、23年度に23件、24年度44件となった。23年度までに申請が採択されたのは22大学で、件数は28件に上る。  ただ、学術界では安全保障に関わることへの忌避感が根強く、防衛装備庁から研究の「委託」を受ける従来の形式では応募しづらいとの声があった。そこで同庁は今年度、研究者が自発的に行う研究を「補助」する事業(予算10億円)を新設した。  一方で、同制度は財務省の24年度予算執行調査で、多額を投じていながら、研究の成果を把握する取り組みが不十分と指摘された。今後、成果をいかにすくい上げ、防衛力の強化につなげていくかが課題となる。  ◆安全保障技術研究推進制度=革新技術の芽を発掘して防衛分野で活用できることを期待しつつ、国の科学技術力を底上げする目的で、防衛装備庁が2015年度に始めた事業。研究案を募り、最大5年で計20億円の費用を支援する。同庁は防衛力の強化に向けて、研究成果の中から安全保障戦略を一変させる「ゲームチェンジャー」となる装備の開発を目指す。

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