「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】

 かつて芸妓や遊女が集まる“花街”として栄えた静岡県浜松市千歳町。複数のスナックを構える低層の雑居ビルや居酒屋がひしめくこの街に、切羽詰まった声が響いた。 【写真】ツインテールでまだあどけない、中学生の頃の竹内朋香さん(27) 「救急車! 救急車!!」  時は7月6日の日付が変わった頃、レンタカーに乗った山下市郎容疑者(41)が、ガールズバー店員の伊藤凛さん(26)を連れてJR浜松駅近くの駐車場に現れた。車を降りた男が向かった先は、彼女が勤務するバーだ。 「山下容疑者は湾曲した刃が特徴の“ククリナイフ”を両手に持って店に入店。店に入るとすぐに店長の竹内朋香さん(27)を背中から何度も刺し、それを見て店外へ逃げようと試みた伊藤さんも連続して襲った。犯行はものの数分の間の出来事でした。  また3人は店で面識があり、男は常連の客だった。伊藤さんは男の“指名キャスト”で、誘われて店外で食事などをすることもあったそうです」(大手紙社会部記者)  すでに終電の時間も超え、飲み歩く酔客もまばらな時間。このとき周囲に響いた“断末魔”は近くにいた人たちを一瞬にして恐怖に陥れた。 「1時前に『ギャー!!』と女の子の声が聞こえました。その後、店員の子たちが2〜3人パニックになって逃げ惑っていたかと思うと、悲鳴が途絶えたんです。様子を見に行こうとも思いましたが、すごく怖くて……。 『近くのガールズバーが襲われたらしい』と噂が聞こえてきて、1時半頃になると救急車やパトカーが何台も集まってきました。そして担架がふたつ運ばれていった。それを見て『ああ、2人やられたんだ』と思ったのを覚えています」  NEWSポストセブンが入手した現場付近の防犯カメラ映像では、「救急車!」と叫びながら助けを求める女性キャストらしき姿や、2時27分に現行犯逮捕された容疑者が警察官に連行される様子が確認できる。近隣住民によれば、バーの周辺には「そこらじゅうに女の子の服の切れ端が散らばって、血溜まりが5か所くらいあった」といい、犯行の壮絶さを物語る”形跡”が一目でわかるようだったという。  ガールズバーの常連客だった山下容疑者はなぜこの日、2人を襲ったのか。特殊な凶器をあらかじめ用意していたこともあり、当初から“計画的犯行”ではないかとも囁かれたが、その犯行理由は身勝手極まりないものだった。地方局の報道部記者が話す。 「容疑者は事件前、なんらかの方法で竹下さんと伊藤さんのLINEのやり取りを確認していた。捜査関係者によれば、そこには〈あいつうざいです〉など、容疑者を指すようなメッセージがあり、男はそれをみて『馬鹿にされた』と憤りを感じ、犯行に至ったということです」 「腹を立てて殺した」──そう容疑者が供述しているが、男の“キレ癖”はこれまで複数の人物が証言している。 山下容疑者の“暴力性”と伊藤さんへの思い 「夏は短パンにTシャツで見た目は“オラオラB系”だよね。部屋の前でいつもタバコをふかしていたイメージです。実は彼、ことし5月に警察沙汰を起こしているんです。山下が部屋の前でタバコを吸っていて、そこを通り抜けようとした住民に対して『なんで俺がどかねえといけねえんだ。オマエが避けていけよ!』と怒鳴り散らしてさ。首根っこを掴んで引きずり回しちゃったの」(容疑者アパートの住人)  四肢にびっしりと彫った入れ墨をTシャツや短パンからのぞかせ、夜な夜な飲みに繰り出していたという容疑者。その“暴力性”はたびたび見え隠れしていたようだ。そしてその感情は、伊藤さんに向くこともあった。 「山下さんがうちの店で飲んでいるとき、伊藤さんに電話をかけたんですが繋がらなかったんです。すると、たったそれだけの理由で、『包丁持ってこい、ぶっ殺してやる!』とブチ切れて……。彼氏彼女の関係ではなかったですが、相当な“お気に入り”だったみたいです」(容疑者行きつけのバーの従業員)  奇しくも、このとき容疑者が口にした伊藤さんに対する“殺意”は現実のものとなってしまった。  警察の調べでは、臓器まで到達するような刺し傷が遺体からいくつも確認されているが、男はなぜそれほどまでに殺意を募らせたのか。山下容疑者を知る、あるガールズバーの店員は「伊藤さんに“ガチ恋”っぽい雰囲気でした」と証言する。 「席について飲み始めると、あるとき急に『こいつ(伊藤さん)はおれの“推し”。あいつのところ以外は行かない』と写真を見せながら真剣に伝えてきました。飲んでいる時にも『あんな女、ほかにはいない』とか言って、見た目からは想像できないような表情でデレデレと笑みを浮かべて……。相当、伊藤さんがお気に入りだったんでしょうね」 〈あいつうざいです〉──“推し”にそう思われていることを知った瞬間、山下容疑者の”好意”は殺意へと変わったのかもしれない。一時の怒りの感情に任せ、未来ある2人の女性を殺した男に、司法は今後どんな裁きを下すのか。 情報提供募集 「NEWSポストセブン」では、情報・タレコミを募集しています。情報提供フォームまたは、下記の「公式X」のDMまで情報をお寄せください。 ・情報提供フォーム:https://www.news-postseven.com/information XのDMはこちらからお送りください。

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