今、日本社会のいたる所で、ごく普通に見かけるのが日本に来て働く外国人です。今回の参議院選挙で、彼らについての政策が大きな注目の一つとなっています。 【写真を見る】不安・不満高まる空気…「ちょっと悲しい」と話す外国人 「外国人政策」が参院選の争点に急浮上 投票日まであと1週間に迫った参院選。「物価高」や「政治とカネ」など多くの争点がある中、急浮上しているのが「外国人政策」。 石破茂 総理大臣 「ルールをきちんと守って、外国の方々に日本の社会でいろんな役割を果たしていただく」 立憲民主党 野田佳彦 代表 「外国人の方がたくさん働いていらっしゃると思います。そういう人たちの声を聞くと、どうやって共生していくかということが大事」 外国人政策に特に力を入れ、世論調査でも支持を伸ばしているのが「日本人ファースト」を掲げる「参政党」です。 【Q.参院選の比例代表の投票先は?】 1位:自民党 25% 2位:立憲民主党 12% 3位:参政党 9% 4位:国民民主党 8% (JNN世論調査 7月5日・6日実施) 参政党 神谷宗幣 代表 「外国人の資本がどんどん入ってきて、東京の土地がいっぱい買われるとか、マンションが買われるとか、そういったことに一定の規制をかけていく」 政府も、世間の関心を受ける形で、在留外国人らによる犯罪などへの対応を強化する司令塔となる事務局の設置を表明しました。 一方で、今回の参院選を機に「外国人」に対して厳しい目線が注がれていることには、懸念の声もあがっています。 外国人人権法連絡会 師岡康子 弁護士 「日本社会に外国人・外国ルーツの人たちに対する排外主義が急速に拡大していることに強い危機感を持っています」 「無制限の無秩序な移民など、絶対に反対」ヨーロッパでは以前から課題 外国人を巡っては、ヨーロッパでは、以前から政治課題となっています。 フランスの国民連合 ルペン氏(6月) 「我々にとって、無制限の無秩序な移民など、絶対に反対だ」 これまで中東やアフリカなどから、ヨーロッパに大量の移民が押し寄せてきました。 移民や難民が大量に入ったことで、彼らに対する反発や不満が高まります。 2025年も小型ボートで多くの移民がイギリスに渡っており、5月にはイギリスで反移民を掲げる右派の「リフォームUK」が地方選挙などで躍進しました。 イギリス市民 「移民が私たちを貧しくしている。住宅も医療もひっ迫している。移民を受け入れれば受け入れるほどコストがかかる」 そして今、移民・難民が押し寄せているわけではない日本でも… 参政党 神谷代表 「安い労働力だといって、どんどん野放図に外国の方を入れていったら、結局日本人の賃金が上がらない」 今回の参院選で、参政党などが外国人政策を争点に掲げており、日本でもこの政策に注目が高まっています。 現在、政府は「特定技能制度」などの形で、多くの外国人労働者を迎え入れており、今や彼らは欠かせない労働力です。 外国人に対し高まる不安・不満 背景は? 現場の一つ、外国人を多く雇用する居酒屋を訪ねました。 運営会社は、居酒屋を含め国内300店舗以上を展開し、▼100人の外国人社員、▼200人の外国人アルバイトを雇用しています ベトナム出身 カインさん(26) 「日本で勉強したから日本で就職したかった。居酒屋の経験あまりないですけど、入ってみんな教えてくれて、良いです」 この店では法律に則り、日本人と外国人で待遇に差をつけていません。その上で、外国人を多く雇用する理由については… オーイズミフーズ 武村敏明さん(外国人採用担当) 「場所によっては、いくら時給を上げた場合でも、本当に(日本人が)来ない。深夜で働くというのは日本人の学生の子はやりたがらない。完全に人材不足を解消するためというのが第一」 ──彼ら(外国人)抜きでは、お店も回らない? 「本当に回らないです。感謝してます」 【外国人労働者雇用の理由(複数回答)】 ▼人手不足 建設業:81.3% 宿泊・飲食:80.8% (出典:厚生労働省) 外国人を雇用する建設業や宿泊・飲食サービス業で、「人手不足」を理由にあげる企業は約8割を超えます。 現場のニーズに応える形で外国人労働者の数は年々増加。2024年10月時点で約230万人と過去最多となっています。 外国人に対する不安や不満が高まる背景を、社会心理の専門家は… 新潟青陵大学大学院 碓井真史 教授(社会心理学) 「日本人は基本的に外国の人には親切な国民かなと思う。ところが、アジア諸国が急激に経済的な力を持ってきたという時に、タワーマンションなどがどんどん買われていくとか、日本人が簡単に行けない高級なお店に(外国人は)平気で行くようになっていく。 今まで下に見ていたからこそ、外国人などマイノリティに対して恐怖・不安を感じる。彼ら(外国人)が私の幸せを奪っているのではないかと。これはもう人間の“心のわな”であって、私たちは容易にそのわなに入ってしまう」 日本で働く外国の人々に、今の空気について尋ねると… ミャンマー出身 アウンさん(28) 「ちょっと悲しい感じに思ったけど、私は(日本人の)仲間と一緒に仕事をやるから」