「家業が倒産、交際女性に捨てられ、『死にたい』と…」 参政党・神谷代表の「危うい思想」の原点とは

【全2回(前編/後編)の前編】  参院議員選挙の選挙戦が本格化する中、比例投票先で野党トップに立つなど、参政党が急激に支持を集めている。しかし、神谷宗幣(そうへい)代表(47)の過去の言動には危ういものが少なくない。今回、本誌(「週刊新潮」)は彼の原点から人生をたどり、その実像を浮き彫りにした。  *** 【レア写真】「とにかくモテていた」 神谷宗幣代表の「卒アル写真」  参院議員選挙が公示された7月3日、東京都内は30度を超える真夏日となった。うだるような暑さにもかかわらず、党のイメージカラーであるオレンジ色のネクタイをきっちり締め、東京・銀座で第一声のマイクを握った参政党の神谷代表は、 「子どもを産めるのも若い女性しかいないわけですよね。これを言うと差別だという人がいますけど、違います。現実です」   と、発言。これが女性に配慮を欠く発言だとメディアが取り上げて各方面から批判を招く事態となった。 神谷宗幣代表  政治部デスクが言う。 「参政党は帰化・永住権の要件の厳格化を含む、日本人ファーストや減税を掲げて支持を伸ばしています。ほかにも、学校給食の有機食材使用義務化をうたっており、子育て世代にもアピールしています」 「東京選挙区で1議席は確定的で、大阪や神奈川でも……」  現在、参政党は神谷代表が参院で1議席を有するだけだが、 「全国比例で6議席に届く勢い、東京選挙区で1議席の獲得は確定的です。さらに大阪や神奈川など、定数4の複数区でも議席を争っています」(前出のデスク)  先日、共同通信が実施した調査では、比例投票先で参政党が8.1%と、国民民主党の6.8%や立憲民主党の6.6%をしのいだ。有権者は神谷代表の件の発言など意に介していないようだ。 〈日本は「あの勢力」に数百年前から標的にされ続けてきました〉  しかし、その神谷代表が著作などで陰謀論を垂れ流してきた事実を、いったい何人の参政党支持者が正確に理解しているのだろうか。  以下は神谷代表の編著となる『参政党Q&Aブック基礎編』からの抜粋である。 〈Q27 参政党のメンバーが言う「あの勢力」とは何でしょうか?   A ユダヤ系の国際金融資本を中心とする複数の組織の総称です。(中略)日本は「あの勢力」に数百年前から標的にされ続けてきました。私たちが歴史で学んだ出来事の多くの背後には「あの勢力」が存在していたのです〉  紛うことなき陰謀論だろう。彼は変革者という仮面をかぶった陰謀論者なのか。原点から来歴をたどった。 「とにかくモテていた」  1977年10月12日、関西電力の高浜原発で知られる福井県高浜町に神谷家の長男として生まれる。両親は地元でスーパーを営んでおり、妹が2人いる。  近隣住民が言う。 「小学生の頃から、少年野球をやっていましたが、スポーツ万能で背が高くて頭も良かった。とにかくモテていましたね。昔、町の本屋に誰でも自由に書ける落書き帳が置いてあって、“神谷さん大好き”“神谷くんカッコイイ”なんてメッセージがたくさん書かれていたくらいですから」  古い知人が明かす。 「かつて、地元の中学の男子生徒は全員、丸坊主にしなければいけませんでした。でも、生徒会長だった宗幣くんが古くさいルールを変えて丸坊主制度がなくなった。結果、長髪で登校しても大丈夫になった、なんてこともありました」  進学先の県立若狭高校でも際立った存在だった。 「高校生クイズの全国大会に出場したし、生徒会長もやっていましたね。今、テレビで見る感じと変わらない性格で、クラスの盛り上げ役。世界史に詳しくて、海外志向のグローバルなイメージがあったかな」(高校の同級生)  どの学校にも一人はいる才気煥発な青年像が浮かぶ。この頃の彼には、陰謀論者の片鱗はみじんも見当たらない。 短期留学とバックパッカー生活  高校卒業後、関西大学文学部史学地理学科に進学。大学2年時にはバイクで2カ月かけて日本一周旅行をしたと、著書『日本のスイッチを入れる』で明かしている。そんな“行動派”である彼の人生で最初の転機になったのが、大学4年で1年間休学して臨んだ、カナダでの短期語学留学と世界各地でのバックパッカー生活だ。彼自身、以下のように記している。 〈カナダ、アメリカで今までの生き方に疑問を抱き、ヨーロッパでその疑問が正しかったことに気が付き、北アフリカで世界の現実を知りました。そして心から日本人に生まれてよかったと思えるようになり、両親を筆頭に自分がお世話になった方々への感謝、日本という国への感謝の思いが持てるようになりました〉(同著) 家業の倒産と、交際女性に捨てられた経験  ここにすでに、参政党のキャッチフレーズ「日本人ファースト」の萌芽が見られよう。  帰国後の彼は、何かに目覚めてしまったようだ。周囲の友人に〈生き方や考え方を変えないと〉(前出の著書)と訴えて回ったというのである。  ほどなく〈メッセージを発するには社会的な立場を確立せねば〉との考えに至り、政治家を目指すと決意。とはいえ彼は22歳の大学生で、政界にツテもなかった。そこでまず、弁護士の資格を得るために大阪の司法試験予備校に入学したという。だが、新たな道へ踏み出そうとした矢先、彼はある挫折を経験する。  参政党関係者の話。 「実家のスーパーの経営が傾いて、神谷代表が大学卒業後、再建のためにスーパーの店長として働いたのは有名な話です。神谷代表は運転資金を稼がねばならず、福井県内の高校で英語の講師をしながら、週末は大阪で司法試験予備校に通ったともいいます」  だが、奮闘空しく店の経営は改善せず、倒産を余儀なくされたという。 「家業の倒産と前後して、学生時代から交際していた女性が別の男性に走って、神谷代表は捨てられてしまったそうです。自著ではその時の状況について“もう自分の人生は終わった、『死にたい』という考えが何度も頭をよぎった”と明かしています」(同) 29歳の若さで当選  どん底の神谷代表がすがったのが資格の勉強だった。大型自動車免許や船舶免許など手当たり次第に資格試験に挑戦。大阪の教員試験や警察官の採用試験も受けて合格したというが、最終的に26歳で当時、新設されたばかりの関西大学法科大学院への入学を選んだ。 「神谷代表は法科大学院に在籍しながら、市議会議員の下でインターンとして働きました。司法試験は受けず、2007年4月に大阪の吹田市議選に無所属で立候補。29歳の若さで当選したのです」  後編【「“参政党は愛人OK”なんて言ってますし、まともではない」 参政党の神谷代表について元側近がため息 集会では「われわれの敵はディープステート」発言も】では、元側近らが明かす、参政党を離れた理由や、神谷氏の「危うい素顔」について詳報する。 「週刊新潮」2025年7月17日号 掲載

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