大阪・関西万博の海外パビリオンで人気の1、2を争うイタリアパビリオン。 大阪・関西万博 イタリアパビリオン 古代ローマ時代の彫刻「ファルネーゼのアトラス」や、ルネサンスの巨匠・ミケランジェロの彫刻「キリストの復活」、バロックの巨匠・カラヴァッジョの名画「キリストの埋葬」、レオナルド・ダ・ビンチの素描など、世界的な芸術作品を惜しみなく展示している。 古代ローマ時代の彫刻「ファルネーゼのアトラス」 カラヴァッジョの名画「キリストの埋葬」 ミケランジェロの彫刻「キリストの復活」 それだけではない。パビリオンでは週替わりでイタリア国内18の州の魅力を伝えている。それぞれの州の文化や歴史、特産品など“新たな発見”がある。 7月13〜19日は「トスカーナ」。中部に位置するルネサンス文化発祥の地。州都・フィレンツェは日本でも人気観光地として知られる。 フィレンツェ「五月音楽祭劇場 (Teatro del Maggio Musicale Fiorentino)」の過去の公演から選ばれた3点の舞台衣装〈2025年7月13日撮影 大阪市此花区・夢洲〉 展示で目を引くのは、フィレンツェの「五月音楽祭劇場 (Teatro del Maggio Musicale Fiorentino)」の過去の公演から選ばれた3点の舞台衣装。 「椿姫」1984年 この劇場は1933年に創設され、イタリアを代表する格式あるオペラハウスとして知られる。 蝶々夫人 1979年 『蝶々夫人』や『椿姫』の衣装は、ヒロインたちの繊細な心情を表現。 特に劇場の歴史の中でも象徴的な名演として語り継がれる『メデア』で、ソプラノ歌手のマリア・カラスが着用した衣装は必見だ 。 マリア・カラスが着用したオベラ「メデア」の衣装 1953年 ・・・・・・・・・・ また、展示スペースとは別の一角にあるカンファレンスルーム“オードトリウム”では13日、「フィレンツェと京都の職人技」と題したトークセッションも。 トークセッションでの細尾昌孝氏(左)と近衛忠大氏 バックの画像は大阪・関西万博の飯田グループと大阪公立大学の共同パビリオン メビウスの輪を応用した三次元の構造物に、細尾が手掛けた西陣織を全面にまとわせた“世界最大の西陣織で包まれた建物”としてギネス認定〈2025年7月13日午後 大阪市此花区・夢洲〉 2025年.姉妹都市提携60周年を迎えたフィレンツェと京都。 フィレンツェで生まれた高級ブランド「グッチ(Gucci)」と、京都で1688(元禄元)年に創業した西陣織の老舗・細尾(HOSOO)が2022年から共同制作しているハンドバッグのデザインを紹介。 細尾の12代目・細尾真孝社長は、2007年にフィレンツェへ武者修行し、職人の技術やこだわり=クラフトマンシップを学んだという。 細尾社長は、「西陣織にグッチのデザインの象徴である“GGパターン(創業者グッチオ・グッチのイニシャルロゴ)”や、“フローラ”を融合させて織り込むということは、技術的にも表現的にも新しく、高度な挑戦だった。しかし、織物の無限大の可能性を追求して常に挑戦しながら伝統を守るという『古くて新しい』あり方を大切にしたい」と語った。 この日のトークセッションでは、2015年に開催されたミラノ万博で日本館第二の拠点「ジャパンサローネ」のクリエイティブ・ディレクターを務め、文化イベントの企画に携わった近衞忠大氏がインタビュアーを務めた。 近衛氏は、「そもそも、着物は三世代にわたって着ることができるように、そのメンタリティは失われることはない」と語った。 最後に細尾社長は、「伝統の強さは、壊そうとしても壊れないこと。新しいものをどんどん取り込んで、変わり続けていく。変わること、次への挑戦は自分の固定概念を崩すことだが、(グッチとの)コラボレーションは、革新を続けても“壊れない伝統”を体現している」と締めくくった。