環境省が８日、市街地に出没したクマに対し猟銃を使用する際の注意点をまとめた市町村向けの指針を示した。 クマの出没が相次ぐ秋田県内からは歓迎の声が上がる一方、小規模な自治体からは「職員が不足しており、すぐに対応を変えられない」との不安の声も聞かれた。 改正鳥獣保護法の９月の施行を前に同省が示した指針によると、市街地での猟銃の使用は、▽人の生活圏にクマが侵入している▽緊急性がある▽猟銃以外での捕獲が困難▽人に弾丸が到達する恐れがない——の４条件を満たし、市町村長の判断で特例的に可能としている。 これまでは市街地での銃による捕獲が禁止されており、警察官が発砲命令を下す場合などを除き、自治体が行える対応は限られていた。新たな指針が示されたことで、県内の自治体も早速対応の検討を始めた。 大館市林政課の担当者は「対応の選択肢が増えるのはありがたい」と評価する。「指針の内容を精査し、市で策定しているクマの対応マニュアルに内容を盛り込みたい」と話した。 横手市でも県や県警、猟友会などと新たな指針について注意すべき点を共有するといい、同市農林整備課の高橋亨子課長は「安全確保を優先して慎重に検討する」とした。 一方、上小阿仁村産業課は「すぐに対応を変えるのは難しい」との懸念を示す。同村ではクマの対応にあたる職員が不足し、改正法が施行される９月までに新たな指針に対応したマニュアルなどを作成するのは困難といい、担当者は「当面は警察の判断を待つ従来通りの対応をせざるを得ない」と話す。 新たな指針について、県自然保護課は「判断主体となる市町村に対して周知し、説明会を実施する」としている。
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