7月20日投開票の参議院選挙。争点の1つが、コメの価格高騰への対応です。 【写真を見る】『全国平均は5キロ3602円』コメ価格7週連続値下がりも…備蓄米と銘柄米で二極化 コメの価格は今後どうなっていくのか、消費者と生産者にとっての適正価格とはどのぐらいなのでしょうか? 平均単価は下がっても、実際は… 熊本市南区のスーパー「みやはら」の店頭には、県産米を始め、カリフォルニア産や台湾産が並び、価格は3000円台から4000円台まで様々です。 スーパーみやはら 橋本憲明営業本部長「平均単価は下がってきていますけど、実際お米の値段は以前から変わっていない。高止まりという感じなので、県産の銘柄米と備蓄米でニ極化しています」 農林水産省によりますと、7月6日までの1週間に全国約1000店舗のスーパーで販売されたコメの平均価格は、5キロあたり3602円と、前の週から70円下がりました。備蓄米の流通が広がったことなどを背景に、7週連続の値下がりです。 ただ、銘柄米の価格は依然として高止まりしています。 70代「この前、備蓄米が2000円で出ていたんですよ。それが出てたら買おうかなと。5キロ2000円~3000円で買えたら一番いい。4000円近くなったらちょっと痛い。毎日食べるものだから」 50代「孫が4人いて、娘と娘婿と全部で8人いる。孫にお米だけは食べさせたいので、他のおかずをかさ増ししている。適正価格は3000円切るくらいかなと」 このスーパーではグループ全体で30トンの備蓄米を落札しましたが、その入荷も7月末までです。 今後、コメの価格はどうなっていくのか。仕入れの責任者は、早期米や新米の争奪戦が始まっていると話します。 橋本営業本部長「2024年よりも若干生産量が増えていると聞いているので、価格でいうと5キロ3500円くらいに。新米が出る10月くらいから落ち着けば嬉しいなと」 深刻化する生産コストの高騰 消費者や小売りが2000円台から3000円台半ばの価格を望む中、生産現場では。 つるたファーム 霍田崇社長「コストがどんどん上がっている。全てが上がっているので、消費者に納得してもらわなければしょうがない」 熊本県菊池市七城町で40年近くコメ作りをする霍田さんです。霍田さんは、生産したほとんどのコメを店舗や消費者に直接販売しています。 消費者の反応がダイレクトに返ってくることにやりがいを感じているからです。 ただ、そのコメの値段も2023年まで5キロ2500円でしたが、2024年3000円に、そして2025年の春には3500円に値上げしました。※価格は一例 機械や燃料代をはじめとする農業コストが、ここ数年で3割以上、上昇したのが原因です。 霍田社長「これが買ったばっかりです。まだ使っていないやつです」 収穫で使うコンバインの買い替えに約700万円がかかりました。 霍田社長「機械類はどんどん上がっているから。機械メーカーも今年上げているから。機械の購入費は洒落にならない」 霍田さんは「過去40年以上、コメは低価格の傾向にあり、それを政府が放置したことで担い手が減少し、今回の事態が起きた」と指摘します。 霍田社長「いかに今までが安すぎたかという話ですよ。店頭価格3000円以下は多分ない」 霍田さんは担い手を確保し、コメを安定的に生産するため、農産物の価格上昇を消費者に理解してもらえる環境の整備を政府に求めています。 今後のコメ価格は・・・ 今後のコメの価格はどうなるのか?農業に詳しい熊本大学の山下裕作教授に聞きました。 山下教授は「今年の新米は、農協や卸がすでに高値で買う動きをしているため、5キロあたりのコメ価格は3500円~4000円台か。ただ増産しているので、今後、コメ余りが生じて、値段は下がるのではないか」と話していました。 後生川凜アナウンサー「値段が下がるのは、消費者としてはありがたいが、生産者にとってはそうではないですよね」 その点を山下教授も指摘していて、「コメの値段が下がることで、大規模農家を中心にコメ作りを辞めてしまう恐れがある」と不安視しています。 熊本選挙区の候補者が訴える農業政策は? 熊本選挙区の候補者が訴える農業政策です。 回答はRKK候補者アンケートや公約などから(意見は抜粋)。回答の順番は、候補者が選挙管理委員会に立候補を届け出た順です。※画面左から順 諸派・新人の立花勝樹候補は、「国の減反政策の見直しや二期作の実施で、コメの価格を安定させる」 自民党・現職の馬場成志候補は、「農地の大規模化とスマート農業の導入などで、自給率向上を目指す」 参政党・新人の山口誠太郎候補は、「農家の所得補償制度や増産した農家に補助金を出すなどして、食料自給率100%を目指す」 立憲民主党・新人の鎌田聡候補は、「農家の所得補償制度や就農支援金の拡充で地域の農業を支える」 としています。