【参院選】金メダリスト、元アナウンサーも──32人が争う「最激戦区」の首都決戦 与党に逆風…“先頭集団”の顔ぶれは? 

参議院選挙の投開票が20日に迫ります。全国最多の32人が7議席を争う東京選挙区では、激戦が繰り広げられています。与党に強烈な逆風が吹く中、各候補はどんな戦いを展開し、何を訴えているのでしょうか? 首都決戦の終盤情勢を取材しました。 ■金メダリストの知名度をアピール 大激戦の首都決戦。一歩リードしているのは、自民党の新人・鈴木大地候補(58)です。 「私はスポーツで人生が変わりました。次は政治で社会を変えたいと思っています。健康第一、鈴木大地、やる気、元気、鈴木大地と覚えていただきたいと思います」 鈴木候補は、ソウルオリンピック競泳の金メダリストです。潜水したまま進むバサロ泳法で、かつて一世を風靡。陣営のスタッフが駅前で「バサロの鈴木大地です」と呼びかける場面もありました。 金メダリストという抜群の知名度と、初代スポーツ庁長官の経験をアピールしています。与党への強烈な逆風が吹く中、このまま逃げ切り、初当選を目指します。 ■急速に支持を伸ばす参政党の新人 参院選で“台風の目”になっているのが、「日本人ファースト」を掲げる参政党。神谷代表が選挙カーの上で、集まった聴衆に「1、2、参政党〜!」と声を上げます。結党から5年。今、急速に支持を伸ばしています。 その参政党から立候補するのは、歌手で新人のさや候補(43)。「この日本でもう1度経済成長を遂げる道は、消費税廃止、消費税廃止。どうか力を貸していただきたいと思います」と訴えます。 激戦の東京で先頭集団に入り、初当選を狙います。取材に「どんどん手を振ってくれている方が増えているという印象はあるんですけど、厳しい選挙だと思っています」と語りました。 ■写真撮影求め…雨の中でも長蛇の列 「この夏、皆さんと一緒に手取りを増やす夏を実現していきたい。取り過ぎている税収を戻して、社会保険料を下げて、働いてる皆さんの手元に残るお金を少しでも増やしていく」 先頭集団に割って入ってきたのが、国民民主党の新人・牛田茉友候補(40)。「手取りと笑顔を増やす」などと訴えています。 今年の4月までNHKのアナウンサーだった牛田候補は、知名度も武器。演説後には写真撮影を求めて、雨の中でも長蛇の列ができていました。 取材に「街の皆さんに自分の声も届いて、その反響もありますので。あと4日間ですね、頑張っていこうと思います」と話しました。 ■山口元代表の後継に“熱い声援” 「ゆうだ〜い!」と熱い声援を浴びるのは、公明党の新人・川村雄大候補(41)です。「川村雄大、元気いっぱい、勇気100倍。走りきってくることができました」。約14年間の医師経験から、「医療体制を崩壊の危機から守り抜く」と訴えています。 その川村候補は、今回、政界を引退した同党の山口元代表の後継候補です。山口氏は動画のメッセージで「どうか皆様のお力で川村ゆうだいを押し上げてください。よろしくお願い申し上げます」と支援を求めました。 その山口氏が守ってきた、絶対に落とせない東京で先頭集団のポジションを維持する川村候補。「皆さまのあと一歩のご支援を賜り、川村雄大を国政へと押し上げていただきますよう…」と力を込めます。 ■生き残りへ…「2期目が一番難しい」 一方、生き残りをかけて激しく競り合うのが、立憲民主党の現職・塩村あやか候補(47)。終盤戦、自ら商店街を走り回って支持を求めていました。 「中長期的な物価高対策、しっかりと公約に入れました」。物価高対策のほか、“氷河期世代”の1人として、持続可能な社会保障の構築を訴えています。最激戦区の東京で2期目を目指します。 取材に「議員は2期目が1番難しいって言われているから、難しい状況は変わっていないんじゃないかなと思います」と話しました。 ■3期目を目指し「当落線上の大接戦」 3期目を目指す共産党の現職・吉良佳子候補(42)。「大混戦、大激戦、大接戦の戦いだと思っています」。激しく競り合う中、自身のSNSなどで「当落線上の大接戦」「混戦を抜け出すには至っていません」と、必死に支持拡大を訴えています。 「買い物をするたびにかかる消費税を減税する。これこそが、最大の物価高対策になるのではないですか」と街頭で呼び掛けます。 ■元大臣のベテラン「非常に厳しい」 同じく激しく競り合うのは、元厚生労働大臣で6回目の当選を目指す、自民党の現職・武見敬三候補(73)。取材に「非常に厳しい選挙であるということは間違いありません」と語ります。 「元気な高齢者が働ける環境を整え、活力ある健康長寿社会をつくる」などと訴えています。選挙カーの上からマイクを握り、「東京選挙区、大激戦のさなかにおります。絶対に日本の民主主義を壊してはなりません」と演説しました。 応援には林官房長官や河野前デジタル大臣ら“大物”が駆けつけたほか、「この人こそ国政に都政にとって必要だと思って、本日参りました」と小池都知事も参戦。総力戦で議席死守を目指します。 ただ、自民と公明の与党には大逆風が吹いています。終盤の情勢分析では、与党が非改選議席を合わせて、過半数の125議席を維持するのは厳しい情勢となっています。 ■ボイパを披露「勝ち抜きます!」 こうした中、2期目を目指すのが立憲民主党の奥村政佳候補(47)。「食料品の消費税ゼロで物価高からあなたを守り抜くのは、立憲民主党の奥村政佳です」と減税などを訴えた後は、女性の聴衆と写真に収まっていました。 奥村候補はかつて、アカペラグループRAG FAIRでボイスパーカッション(ボイパ)を担当していました。取材するカメラの前で終盤の意気込みをお願いすると、ボイパを披露し、「頑張ります! 勝ち抜きます!」とポーズを決めました。 ■178回の街頭チャレンジ…ナゼ もう1人の奥村候補がいます。初当選を目指す、国民民主党の奥村祥大候補(31)。「集めた税金を人に対して、皆さんに対して使わなくて、一体どこに使うんだという話じゃないですか皆さん!」と声を枯らします。 自身が奨学金の返済に苦労した経験から、手取りが増える経済の実現を訴えています。“年収の壁”を178万円に引き上げる党の政策にちなみ、178回の街頭チャレンジをしています。 取材に、「雨が降っても嵐が吹いても(街頭演説を)やりきります。最初は圏外だったけれども今は徐々に追い上げてきてると。必ず勝ちます」と意気込みました。 ■13分の演説で「社会保険料」62回 サラリーマンの街である新橋で訴えるのは、日本維新の会の元政調会長・音喜多駿候補(41)です。 「社会保険料高いですね。下げましょう、これ」「社会保険料高いですよね? 高い? ありがとうございます」 「社会保険料」という言葉を、13分間の演説で62回も繰り返していました。社会保険料の引き下げこそが、現役世代の負担を減らすと強調します。去年、参議院から衆議院にくら替えを目指して落選。国政復帰を目指しています。 ■山本太郎代表の知名度を生かす選挙戦 れいわ新選組から立候補している、元衆議院議員の山本譲司候補(62)。「私山本譲司、必ず消費税を廃止し、もっとお金が回る、そんな経済を作ります」。山本太郎代表の知名度を生かす選挙戦を展開しています。 取材に「山本太郎さんと言ったらジョージって。でも太郎って書かれると困る。無効だから。山本だけでいい」と話しました。 ■日本保守党の候補「国の守り固める」 大雨の中、必死に訴えるのは日本保守党の小坂英二候補(52)。取材に「ギリギリ当落線上だと理解しています。国益をしっかり守る。国の守りを固めるというのを、32人の誰よりも正面から訴える」と強調しました。 ■社民党の候補「格差社会変えたい」 社民党は新人の西美友加候補(53)を擁立。 西候補は取材に「この格差社会変えたいだけなんで。今の排外主義の流れとか、世代間の分断を図ってあおる形で、有権者が選挙(票)入れる。そういう世の中にあらがうしかないんじゃないんですか」と語りました。 ■NHK党、チームみらい、再生の道も このほか「NHK党」からは新人の石丸幸人候補(52)、「チームみらい」からは新人の峰島侑也候補(35)、「再生の道」からは新人の吉田綾候補(40)が立候補しています。 ■「諸派」「無所属」16人の顔ぶれ 東京選挙区ではこのほかにも、次の16人が立候補しています(届け出順)。参院選の投開票は7月20日に行われます。 無所属・吉永藍候補(50) 無所属・土居賢真候補(53) 諸派・藤川広明候補(53) 諸派・酒井智浩候補(55) 諸派・福村康広候補(68) 諸派・桑島康文候補(64) 諸派・渋谷莉孔候補(40) 無所属・吉沢恵理候補(55) 諸派・市川たけしま候補(57) 無所属・平野雨龍候補(31) 無所属・山尾志桜里候補(50) 諸派・千葉均候補(62) 無所属・増田昇候補(47) 諸派・辻健太郎候補(39) 諸派・早川幹夫候補(77) 無所属・高橋健司候補(54) (7月16日『news every.』より)

もっと
Recommendations

[深層NEWS]参院選での偽・誤情報、古田大輔氏「党や候補者も反論した方がいい」

日本ファクトチェックセンターの古田大輔編集長とJX通信社の米重…

減税など財政拡大掲げる野党、長期金利上昇との関連性打ち消しに必死…与党は「無責任」と批判

参院選投開票を20日に控え、長期金利が上昇基調にあることを受け…

【参院選】支持層固め切れず…比例から見る“自民の課題”

参議院選挙の投票まであと3日です。各党の政策や課題を一気にフカボリ…

【参院選】年代別、どの党を支持? “支持政党なし”動きは

参議院選挙の投票まであと3日です。各党の政策や課題を一気にフカボリ…

三原じゅん子こども相「中抜き疑惑」に反論もまさかの失言、批判殺到

《そもそも中抜きするな前提がおかしいんだよボケ》【写真】「中抜…

参政党の神谷代表、連立相手は「共産党以外のその他全部」…次期衆院選後の政権入りに改めて意欲

参政党の神谷代表は17日、滋賀県米原市で記者団に対し、次期衆院…

参院選 20日に投開票…終盤戦、各党の情勢は?

20日に投開票が行われる参議院選挙について、選挙戦終盤の情勢分析を…

宮城・村井知事「事実を勉強した上で発言を」…参政・神谷代表の水道事業巡る発言に訂正と謝罪求める

宮城県の村井知事は16日、参政党の神谷代表が仙台市内で行った街…

「具体策がない」「本当に実現できるの?」…岐阜大の学生らが各候補の政策を分析し意見交換

岐阜大教育学部の有志学生でつくる「県若者の選挙意識を高める会」…

比例票狙い、石川に大物応援続々…選挙区候補いない政党も

20日投開票の参院選では、石川選挙区で候補者を擁立していない政…

loading...