中国空母が日本周辺で米空母の迎撃訓練、米軍役と中国軍に分かれ対抗…台湾有事を見据え実施か

 中国海軍の空母2隻が6月に日本周辺の太平洋上などに展開した際、米空母打撃群の迎撃を想定した演習を実施していたことがわかった。  複数の日本政府関係者が明らかにした。米軍役と中国軍に分かれて対抗する形式の訓練で、米空母が採用している航行方法を模倣した動きをしていたことなどから判明した。日本政府は、中国軍が台湾有事を見据え、米軍の接近を阻止する能力の向上を進めていると分析している。  防衛省統合幕僚監部によると、中国空母「遼寧」と「山東」は5月下旬以降、日本周辺の太平洋上に同時展開した。沖縄本島や沖ノ鳥島(東京都)、南鳥島(同)などの近海を航行し、5月25日〜6月19日に、2隻による艦載の戦闘機やヘリの発着艦は計約1050回に達した。  このうち、空母迎撃を想定した演習が実施されたのは、6月7日頃から約1週間の期間。遼寧は、同7日頃に南鳥島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内を西に向けて出発。数日かけて小笠原諸島から米軍の拠点があるグアムを結ぶ中国の防衛ライン「第2列島線」を越え、中国方面に進行した。同じ頃、山東は沖縄本島の南方から東に向かい、遼寧を迎え撃つ動きをした。政府は遼寧が米空母役を担ったと分析している。  米空母は中国空母と遭遇した際、偶発的衝突が起きないように一定の距離を保って航行する運用規則を持っているとされる。同関係者らによると、遼寧は山東との接近時に500カイリ(約930キロ・メートル)程度の距離をとろうとするような動きをしていた。中国側は米側の運用規則に準じて行動していた可能性が高く、交戦状態に入る前の米空母の動きを模倣していたとみられる。  中国国防省は6月末、遼寧と山東が実施した訓練について、「太平洋西部海域に出て、互いを相手として実戦的な対抗の訓練をした」と明らかにしており、日本政府の分析とも符合する。  同7〜8日には、中国の空母を監視していた海上自衛隊の「P3C」哨戒機が、中国の艦載戦闘機から異常接近を受けた。日本側に演習の情報を取られないようにするため、圧力をかけて監視を断念させる狙いだった可能性が高い。  中国軍は、「第2列島線」の内側で米軍の作戦行動を阻み、南西諸島とフィリピンを結ぶ「第1列島線」の内側への米軍の進入を阻止する軍事戦略「A2AD(接近阻止・領域拒否)」の確立を進めている。自衛隊関係者は「中国空母2隻の展開は、戦略を具体化する動きの一環だった可能性がある」と指摘する。

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