２００２年の大阪市平野区の母子殺害事件で殺人罪などに問われ、無罪が確定した男性（６７）が、国と大阪府に対し、重要証拠を紛失しながら、公判を継続したのは違法だったなどとして約１億２４００万円の国家賠償を求めた訴訟で、大阪地裁（三村憲吾裁判長）は１８日、男性の請求を棄却する判決を言い渡した。 事件の直接証拠はなく、逮捕・起訴された男性は一貫して無罪を主張していた。現場マンション階段の踊り場でたばこの吸い殻７２本が見つかり、うち１本が男性のＤＮＡ型と一致したことなどを踏まえ、０５年の１審は男性を無期懲役、０６年の２審は死刑とした。 しかし、最高裁は１０年４月、ほかの吸い殻を含めた状況証拠の精査を求めて審理を差し戻した。 大阪府警は１審公判前の０２年１２月の時点で、男性のＤＮＡ型と一致した１本を除く７１本の吸い殻を紛失しており、大阪地検はその後に報告を受けた。しかし、地検が男性側にその事実を明らかにしたのは差し戻し後の１０年７月で、差し戻し審では残る吸い殻を精査できず、無罪が確定した。 男性は２０年９月、一連の府警と地検の対応を問題視し、提訴していた。
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