転職してわずか2カ月で辞めて再び転職活動→不採用続きに 納得の転職、ポイントは?【専門家が解説】

「入社して間もなくミスマッチに気付いた。転職したいけれど、短期間で離職していると企業にマイナス印象を与えるのではないか......」 「転職理由がネガティブなのだけど、応募先企業の面接でどう伝えればいい?」 そのような悩みを抱く方は少なくありません。今回は、1回目の転職で入社した企業をわずか2カ月で退職してしまった20代男性が、2回目の転職活動で希望どおりの転職を果たした事例を紹介します。 成功のポイントについて、リクルートエージェントでキャリアアドバイザーをつとめる松原大悟が解説します。 ネームバリューに惹かれて転職、しかし期待とはギャップが 「キャリアアップを目指して転職したけれど、想像と大きく違っていて......2カ月で退職してしまいました」 Aさん(20代後半)は新卒入社した中小企業で人事労務として経験を積み、3年ほど経ったところで初めての転職に踏み切りました。「大手企業で経験を積み、バックオフィス全体を包括できるゼネラリストを目指したい」というビジョンを描いての決断。転職活動はスムーズに運び、大手企業の人事部門に、年収アップでの転職を果たしました。 ところがAさんは、わずか2カ月でその企業を辞めてしまいました。理由は「教育体制について入社前に確認しきれなかったことで、自分にとって思うように学びを得られない環境だった」から。上司や先輩に質問しても「マニュアルを読んで」と放置状態。チームワークも機能しておらず、自分としてはこの環境では成長していけないと判断したそうです。 私との面談で、「企業のネームバリューに目を奪われてしまった。浅はかだった」と反省を語ったAさん。「どこでやるか」より「何をやるか」を重視して、2回目の転職活動をスタートをさせました。 企業規模を問わず、バックオフィス分野でゼネラリストのキャリアを歩める求人を紹介。しかし、2社立て続けに面接で不採用となってしまいました。企業からのフィードバックは「再び短期離職の可能性がある」。Aさんは「やはり2カ月での離職はマイナス評価されてしまうのか」と落ち込みました。 ネガティブだと捉えられるかもしれない過去を伏せても、企業は見抜く しかし、2カ月での離職は職務経歴書を見ればわかること。それでも書類選考を通過しているため、「面接」に問題があると考えられました。そこで、私と「模擬面接」を行い、前職の離職理由を尋ねてみると、マイナス印象を持たれた可能性があるポイントが浮かび上がりました。 ●後ろめたい部分を早口で話し、すぐに別の話題に切り替えようとしていた ●転職理由をきれいなものにとりつくろおうとしていた 私はAさんにこう伝えました。 「企業から『自分のネガティブな部分から目を背ける人』と思われたのもしれません。Aさんは前回の転職活動を振り返りっているのですから、それを素直に伝えませんか? 反省した上で、今回の転職で何を大切にしているのか、これから何を目指していくのかをしっかりと伝えましょう」 それから面接に臨んだ企業で、Aさんはすべて内定を獲得。その中から選んだのは、学べる環境を望んでいるAさんの志向を理解し、「ゆっくりでいいから、一つひとつ経験の幅を広げていってほしい」と言ってくれた企業です。事業の安定性や勤務地などの条件も含め、「絶対にここで働きたい」と思える、満足度の高い転職となりました。 Aさんが選んだ企業は約100名規模のメーカーです。バックオフィス職として、Aさんが望むとおり幅広い業務を経験しやすい規模であるといえるでしょう。 なお、採用競争が激しくなっている近年、採用に苦戦しがちな中小企業では、入社してくれた人を大切にし、丁寧に育てていこうとする傾向が強まってきたと感じています。このメーカーもまさに、Aさんに期待し、大切に育てていきたいという思いが感じられました。 「これから目指すこと」とともに「なぜ目指すのか」を語ろう Aさんの成功のポイントは、先にも触れたとおり、「これまでの自分の内省した点と、これから何を目指すのかをしっかりと伝えた」ことです。 そして、「何を目指すのか」を伝えるにあたり、その思いの背景を具体的なストーリーで語ったことも功を奏したといえます。 Aさんとの対話の中で、「バックオフィス分野のゼネラリストとして、どう働いていきたいですか?」と聞きました。すると——。 「後輩を丁寧に育成して、いいチームを作っていきたいですね」 「なぜそう思うんですか?」 「前職では上司や先輩からまったく教えてもらえなくて、孤独感を抱いていました。自分の後輩や部下にそんな思いをさせない環境を作りたいんです」 このように、「これから目指すこと」を伝えるには、自身のリアルな体験を交えて理由を語ることができると、説得力が高まり、企業からの評価につながりやすいものです。 転職活動をしているみなさんは、面接に向けて「志望動機」「今後の目標」の受け答えを準備しているとき、「何だか薄っぺらいな」と不安になることはないでしょうか。そんなときは、過去の経験を振り返り、今の目標を目指すきっかけとなった具体的なエピソードを思い出してみてください。 注目してほしいのは「心の動き」 その際に注目してほしいのは「心の動き」です。「あのとき、悔しかった」「あのとき、うれしかった」という「感情が揺れた体験」を伴うことで、面接で語るストーリーは説得力を増すはずです。 なお、複数ある選択肢のうち、どれを選んでいいかわからない状態である場合、次の3つの要素を整理してみましょう。 ●今、変えたいと思っていること ●これから叶えたいと思っている自分の姿 ●今の仕事・環境で満足していること 求人を探していてさまざまな選択肢が出てきたとき、この3つの要素をすり合わせることで、最良の選択肢を選びやすくなります。 特に、転職活動であまり考えることのない「今の仕事・環境で満足していること」を明確にしておくことをお勧めします。「今の満足を失ってでもこの会社に行きたい」と自身の意思の強さを確認できるほか、「今の会社にとどまるのがベスト」と納得感を持って転職をやめる決断もしやすいでしょう。 【プロフィール】 キャリアアドバイザー 松原大悟/地方公務員として児童福祉業務にて経験を積み、2023年にリクルート(当時)に入社。キャリアアドバイザーとして、さまざまな業界・職種の求職者の転職を支援。求職者の方にとって納得感のある転職活動ができるよう支援をすることにこだわりを持つ。

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