アリゾナの太陽に灼かれる日米欧の廃車 40選(後編) ジャンクヤード探訪記

シボレー・コルベット - 1985年 このジャンクヤードには、本当にさまざまなモデルが混在していた。1985年製のシボレー・コルベットもその好例だ。 【画像】米国人を魅了した60年代生まれのスポーツカー【ダットサン240Zとシボレー・コルベットC3を詳しく見る】 全40枚 ヘッドライトを除いて、かなり良い状態に見える。さらにフロントガラスに書かれたメモによると、走行も可能なようだ。全体として、3500ドル(約50万円)の希望価格を考えると、かなりお買い得に思えた。 シボレー・コルベット - 1985年 (翻訳者注:この記事は後編です。前編と合わせてお楽しみください。) ダットサン280ZX ダットサン280ZXは、それまでの280Zを全面的に再設計したモデルだ。より大きく、より重く、より快適になり、当初はやや懸念の声もあったものの、米国の自動車購入者には歓迎された。1984年には後継の300ZXが登場した。 ダットサン280ZX オースチン・アメリカ - 1968年 ご覧のとおり、デザート・バレー・オートパーツには2台のオースチン・アメリカがあった。このファミリーカーは、1960年代を通して英国でベストセラー車となっていた。 しかし、その名前にもかかわらず、アメリカは米国人の心をつかむことはなく、1968年から1972年の間の販売台数は6万台にとどまる。この車両は2500ドル(約37万円)で販売されていたが、奥に見える茶色の個体はさらに1000ドル(約15万円)高かった。 オースチン・アメリカ - 1968年 アウディ・フォックス - 1974年 米国およびオーストラリア市場ではアウディ・フォックスとして知られているが、その他の国ではアウディ80として販売されていた。 フォルクスワーゲン傘下で開発された最初のアウディ車の1つで、パサートをベースにしていた。世界中で110万台以上が販売され、その約10%が米国に輸入された。この個体の製造年である1974年には2万6453台が販売されている。 アウディ・フォックス - 1974年 メルセデス・ベンツ220S - 1964年 この魅力的な1964年製の220Sを含め、ジャンクヤードには20台以上のさまざまな年代のメルセデス・ベンツが置かれていた。 この車両には腐食はほとんどなく、フロントに軽い衝突による損傷がある以外、走行に問題はないように見えた。しかし、残念ながら部品取り車としての価値の方が高かったようだ。 メルセデス・ベンツ220S - 1964年 メルセデス・ベンツ190 - 1958年 こちらも、徐々に部品が取り外されている、希少なベンツだ。1958年製のメルセデス・ベンツ190(W121)の「ポントン」セダンで、17万2000台が製造されたうちの1台だ。この車は、1.9Lの4気筒エンジンを搭載し、最高出力は76psだった。 メルセデス・ベンツ190 - 1958年 フィアット - 1972年 最初のフィアット850スパイダーは843ccエンジンを搭載し、0-100km/h加速は18.2秒で、当時最も遅いスポーツカーの1つだった。1970年に903ccエンジンが採用され、『スポーツ』スパイダーへと改名された。これにより、0-100km/h加速が2.5秒短縮され、最高速度も138km/hから146km/hにアップした。 しかし、性能の不足は外観の良さで補っていた。デザート・バレー・オートパーツには、ほぼ同じ仕様の1972年式スポーツスパイダーが2台販売されていた。 フィアット - 1972年 ダットサンB210 - 1974年 世界ではサニー/120Yとして知られるダットサンB210は、1973年から1978年にかけて製造された。米国に上陸したのは、まさに絶好のタイミングであった。当時、米国人はマッスルカーでガソリンスタンドに列を作っていたが、この輸入車は4.7L/100km(約21.1km/L)という低燃費を実現していた。 ダットサンB210 - 1974年 ジャガーXJ40 - 1988年 ジャガーXJ40は1986年から1994年まで製造され、デザイン面では革命よりも進化を重視したモデルだった。これはジャガーの伝統的な顧客層への販売に悪影響を与えるリスクを避けたためだ。しかし、シリーズ3に比べて空力性能が大幅に向上し、燃費もやや改善されている。 初期のモデルは製造上の品質問題に見舞われたが、販売は好調で、総販売台数は20万8733台に達した。1988年製のこの車両のように、米国仕様車には1990年に4.0Lエンジンが登場するまで、3.6Lエンジンが搭載されていた。 ジャガーXJ40 - 1988年 フォード・コンサル この英国製のフォード・コンサルのフロントガラスには「1959年」と記載されているが、初代モデルが製造されたのは1951年から1956年の間だ。総生産台数は22万7732台で、そのうちかなりの数が米国に輸出された。 米国基準では燃費の良いクルマだったが、非力な1.5Lエンジンを搭載していたため、0-100km/hに28秒もかかった。 フォード・コンサル オールズモビル98 - 1960年 オールズモビルの『ナインティエイト』は1930年代に初めて登場した。その名前はシリーズのナンバリングとシリンダー数(シリーズ90、シリンダー8本)に由来している。 この車両は、同ジャンクヤードに5台あった1960年式オールズモビルのうちの1台で、98の4ドア・ホリデー・ハードトップだ。この年は4種類のボディスタイルが展開され、2万7257台が販売されるなど人気だった。 オールズモビル98 - 1960年 トヨタ・コロナ - 1973年 11世代(1957年〜2001年)にわたって製造されたコロナは、トヨタの米国における初期の成功に大きく貢献した。この2ドア・セダンは5代目モデルで、1973年に製造された。熱狂的なファンはそれほど多くないようで、現在では希少となっている。間違いなく興味深いレストアプロジェクトになるだろう。 トヨタ・コロナ - 1973年 AMCイーグル - 1980年 1980年、AMCは四輪駆動のイーグルを発売した。3種類のボディスタイルのうち、ステーションワゴンが最も人気を博し、発売初年度だけで2万5807万台が販売された。 四輪駆動のクロスオーバー車としては、間違いなく時代を先取りしていた。残念ながら、この車両は部品取り用だったので、修復は不可能なのだろう。 AMCイーグル - 1980年 AMCペーサー - 1975年 この1975年式AMCペーサーXを購入するのに必要なのはたった2750ドル(約40万円)だった。外装は比較的良好だが、内装は明らかに修復が必要だ。幸いなことに、このジャンクヤードにはペーサーの部品在庫が豊富にある。 1975年から1978年まで販売されたスポーティな『X』パッケージには、バケットシート、スポーツステアリングホイール、フロアシフトなどが含まれていた。 AMCペーサー - 1975年 トライアンフ・ヘラルド - 1962年 この1962年式トライアンフ・ヘラルド・コンバーチブルには、まだ多くの良質な部品が残っていた。ヘラルドはイタリアのデザイナー、ジョヴァンニ・ミケロッティによって設計され、1959年から1971年まで英国で製造された。 その角張った外観は万人受けするものではなかったが、国内市場では比較的よく売れた。米国では約2万4000台が販売され、そのほとんどがコンバーチブルだった。 トライアンフ・ヘラルド - 1962年 ビュイック・リヴィエラ - 1973年 この1973年製のビュイック・リヴィエラは、当初はプロジェクトカーとして販売されていたが、残念ながら、わたし達が訪問した時点では部品取りのために分解され始めていた。 1973年は、特徴的なボートテールスタイルを採用した3代目リヴィエラの最終年だった。 ビュイック・リヴィエラ - 1973年 キャデラック・エルドラド - 1990年 リアの状態は素晴らしいが、この1990年製のキャデラック・エルドラドは衝突事故に巻き込まれ、フロントに中程度の損傷を受けてここに運ばれた。 4.5L V8エンジンは最高出力180psを発生し、0-100km/h加速9.5秒を誇った。 キャデラック・エルドラド - 1990年 シボレー・サバーバン - 1946年 1934年に発売されたサバーバンは、最も長く使用され続けている車名だ。この車両は2代目で、1946年に製造された。1万500ドル(約155万円)の値札が付いた、同ジャンクヤードで最も高価なプロジェクトカーの1つだった。 シボレー・サバーバン - 1946年 ダットサン510 ダットサン510は、米国以外ではダットサン1600として知られ、1968年から1973年まで販売された。写真のような5ドア・ステーションワゴンを含む4種類のボディスタイルが用意されていた。信頼性の高さで揺るぎない評価を獲得し、米国市場での地位を確固たるものにした。この初期型の車両は、確実に保存に値する。 ダットサン510 フォルクスワーゲン・バス - 1978年 コレクターにとって価値が高いにもかかわらず、米国全土のジャンクヤードには数千台のフォルクスワーゲン・トランスポーターT2が放置されている。デザート・バレー・オートパーツは、この腐食のない1978年製バスを部品取り車として販売していたが、実際に良質な部品が多く残っていた。 ここで紹介した他の珍しい部品取り車とは異なり、この車両は完全に解体されるだろう。 フォルクスワーゲン・バス - 1978年 著者について 英国の自動車ジャーナリスト、ウィル・シャイアーズ(Will Shiers)は過去35年にわたり、廃車となった米国の自動車を撮影し続けている。50州すべてを旅して、納屋、野原、砂漠、ゴーストタウン、ジャンクヤードなどを探検し、隠された宝物を探している。自動車雑誌への寄稿も多い。 著書『Roadside Relics - America’s Abandoned Automobiles』は、これまでの彼の作品を集めた写真集(解説付き)で、廃車マニアだけでなくアメ車好きにも興味深い1冊となっている。 原文を執筆したウィル・シャイアーズ(Will Shiers)。写真もすべて彼の撮影。

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