20日、バンキシャ!が向かったのは… バンキシャ! 「こちらですね。こちら事故現場になります。道も非常に狭いです」 2025年4月。東京・豊島区の十字路で、タクシーと乗用車の衝突事故が発生。この事故がきっかけで、監禁致傷事件が明らかになった。 乗用車を運転していた、大城優斗容疑者、24歳。男性を監禁・暴行し重傷を負わせたとして、逮捕された。他にも6人が、同じ容疑で逮捕。 警視庁によると、容疑者らは男性を約3か月間、監禁していたという。 取材を進めると、新たな状況が分かってきた。その内容とは? バンキシャ! 「真っ暗で何も見えません」 さらに被害者には“ストックホルム症候群”に近い心理状態が。 新潟青陵大学大学院 碓井真史教授 「監禁被害者なのに加害者をかばってしまう」 事件の発端は2024年。大城容疑者が社長をつとめる建設会社と、工事を発注した男性の会社で起きた“金銭トラブル”だった。 このトラブルがきっかけとなって2025年1月、大城容疑者らが男性を拉致・監禁したという。監禁場所を転々とし、2月上旬には男性を茨城県の山に連れて行き、「殺す、山に埋める」と、殺害をちらつかせる発言をしていたという。 監禁は、実に3か月間。 バンキシャ! 「こちらのトランクルームで男性が監禁されていたとのことです」 外から南京錠がかけられたトランクルーム。捜査関係者への取材で、その中の状況が新たに分かった。 室内は、わずか4畳。照明も、空調もない。自転車やタイヤ、仕事用具などが置かれ、男性は足が伸ばせないほど狭いスペースに、閉じ込められていたという。 男性はどのような状況だったのか? バンキシャ!は、監禁現場と同じ4畳のトランクルームへ。 まず、荷物に見立てた段ボールを並べ、男性が監禁されていた状況と同じくらいの広さのスペースを作った。(事件とは関係ないトランクルーム) バンキシャ!スタッフが中に入り座ってみると… バンキシャ! 「目線に荷物、ものがあると、より一層、圧迫感と窮屈感を感じます」 さらにドアを閉めると、中は真っ暗に。 「真っ暗で何も見えないのでとても怖いですし、不安になりますね。ちょっと耐えられないです。ずっとは入っていられないですね」 男性はこうした環境のトランクルームに合計2回、それぞれ約20日間監禁されていて、食事は2日に1回程度しか与えられていなかったという。 警視庁によると、男性は容疑者に、金づちで指をたたかれたり、熱湯をかけられたりするなど、継続的に暴行を加えられていたという。 しかし、男性が保護された直後、「悪いのは私なんです」と、数日の間、大城容疑者をかばうような証言を続けていたという。 捜査関係者によると、いわゆる“ストックホルム症候群”に近い状態に陥っていたという男性。 “ストックホルム症候群”とは—— 被害者心理に詳しい専門家に聞いた。 新潟青陵大学大学院 碓井真史教授 「ストックホルム症候群は、精神医学的な診断名ではありません」 「監禁被害者なのに、監禁の加害者をかばってしまう言動をとる。そういう状態を、ストックホルム症候群と呼んでいる」 1973年。スウェーデンの首都ストックホルムの銀行で、強盗が人質をとり立てこもる事件が発生。 その際、人質たちが犯人をかばうような発言などをしたことから、被害者が加害者に心の支配を受けている状態を、“ストックホルム症候群”と呼ぶようになった。 碓井教授 「監禁される、徹底的に自己否定される。その中で相手を頼るしか生きていくすべがない。その過酷な状態を生き抜くために、様々な人間の心理的なメカニズムが動いていく」 捜査関係者によると、男性は容疑者7人の内のひとりについて、「この人は守ってくれたんです」と発言していたという。 容疑者7人は、暴行を加える“悪い役”、食事の提供をする“いい役”に分かれ、アメとムチのような構図をつくりあげていたという。 警視庁は大城容疑者らが長期間にわたる暴行や監禁によって、男性を精神的に支配していたとみて、調べを進めている。 (2025年7月20日放送『真相報道バンキシャ!』より)