「クマにかまれた」観光地でも 相次ぐクマの被害…住民の不安続く【バンキシャ!】

バンキシャ!は19日、栃木県那須塩原市へ。 バンキシャ! 「今日から3連休。大勢の観光客の方が(那須塩原駅から)降りてきます」 多くの温泉と豊かな自然で知られる観光地。「もみじ谷大吊橋」を渡る観光客も…。ところが、そこに「熊出没注意」「この付近で熊が目撃されています」と書かれたものが掲示されている。この周辺では、3週間でクマに人が襲われる被害が3件発生しているのだ。 従業員 「お客様に対しても危ないですし、不安もありますよね」 「今年は多いんですね。ケガされた方もいらっしゃいますし」    ◇ こうしたクマの被害が今、全国で相次いでいる。 岩手県盛岡市では、81歳の地元住民がクマに襲われケガ。さらに、同じ岩手県の北上市では、高齢の女性が自宅の居間でクマに襲われ亡くなった。  ◇ バンキシャ!は、栃木県でクマにかまれた人に話を聞くことができた。 「かまれた。がっちりかまれた」と話す君島宏さん(85)。7月6日、裏庭で草刈りをしていたときに襲われたという。 君島宏さん 「(ズボンが)破けているでしょう。ここらのところ」 バンキシャ! 「まさにクマに」 君島宏さん 「そうだよ」 「ものすごい痛みだったから、何って思ったら、もうクマがかぶりついていた。クマが口開いたまま。口の中が真っ赤だった。ものすごい印象」 クマが近づいてきたことには、全く気づかなかったという。 バンキシャ! 「物音や足音は?」 君島宏さん 「全然なし、全然なしだね」 6月30日には、地元住民がクマに襲われて大ケガをする被害も起きた。バンキシャ!はその場に居合わせた人を取材。クマが突っ込んできて、車はへこんでしまったという。 その場に居合わせた人 「見た瞬間に襲ってくる。本当に一秒躊躇してたらやられていたと思う」    ◇ 一方、北海道ではヒグマによる被害も出ている。福島町では7月12日、50代の新聞配達員が襲われ死亡。ヒグマ警報が出された。町民たちは、いつも以上の不安を感じていた。 バンキシャ!は、ヒグマ警報が出ていた福島町に。宿泊先に到着し、まもなくすると、「クマの目撃情報がありました」「住民の皆様は外出しないでください」という防災無線が流れていた。 クマが町に現れたという一報が。無線が流れるより前の18日午前2時頃、目撃情報があった付近では、クマが歩く様子がとらえられていた。そして、その1時間半後…。 バンキシャ! 「いま銃声が鳴りました。パンと一発、大きな銃声が聞こえましたね」 住宅の近くに集まった警察や猟友会のハンター。そして、午前3時30分、2発目の銃声が鳴り響いた。クマを撃ったのか、ハンターたちがソリを持って行く。 福島町によると、体重218キロのオスのヒグマだった。駆除されたクマは12日に新聞配達員を襲ったクマだと判明。さらに4年前、別の人を襲って死亡させていたことも現場に残されていた体毛からわかった。 しかし、(同じ18日)もう一頭別のクマがいるとの情報があり、警報は出されたまま。そこで、バンキシャ!は中学校へ。駐車場には多くの車が来ている。警報が出ている間は、子供の送り迎えを車で行うよう、学校が保護者に伝えていたのだ。 学校からおよそ350メートルほどの場所に住む一家も車で下校。父親はいつも以上にクマへの警戒を強めているという。 父親 「換気扇から料理のにおいがしたら、もしかしたら寄ってくるんじゃないか」 クマの目撃情報が増えるのは、日が落ちた後。そのため、明るいうちに夕食を済ませているという。さらに、「クマ騒ぎしてるんで。危ないから、暑いけど、我慢して自分たちの(2階の)部屋で寝させている」と話す。 普段はエアコンがついている1階で子供たちは寝ているが、警報中は家族全員が2階で寝ていたという。 子供 「寝る前に、たまに家の後ろ見たり、家の周りのクマを気にしてます」    ◇ 町の居酒屋でも影響がでていた。午後7時というかき入れ時にもかかわらず、店が閉まっている。営業は日中だけだという。 店主 「(お客さんが)帰ったときのことを考えたら、もし何かあったら。そういうことを配慮して、ことが収まるまでは自粛態勢に」 いつ現れるかわからないクマへの警戒。住民をクマから守るために町も動いていた。 19日、住宅地に面する山の斜面付近に設置されたのは電気柵。クマが山から下りてこないようにするためのものだ。すると、午後5時半頃、「北海道ヒグマ警報は注意報に切り替わりました」という防災無線が流れた。 もう一頭いるとされたクマは、結局存在しないことがわかり、ヒグマ警報は注意報に切り替えられた。    ◇ ヒグマで相次ぐ被害。そもそもヒグマとは、どんな動物なのか。バンキシャ!はヒグマを飼育している愛知県の動物園へ。 バンキシャ! 「すごい体が大きい」 爪も大きく鋭い。 のんほいパーク・ヒグマ飼育員 「野生のオスは数百キロ、メスは数十キロの距離を一日歩き回ったりするので、その分すごく筋力がついている」 しかし、本来は人里に下りてくる動物ではないという。 のんほいパーク・ヒグマ飼育員 「元々は、本当に臆病な動物なので、基本的には人とそもそも接しない」    ◇ 50代の新聞配達員は、北海道福島町の住宅地でヒグマに襲われ亡くなった。 なぜクマが町に下りてきたのか。 ヒグマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授に聞くと、「シカが市街地周辺に来ると、狩猟や駆除だけじゃなく、交通事故や列車事故などでぶつかって(シカが)死ぬことが多い」と話す。 佐藤喜和教授 「シカの死体があれば、においがもとになってクマを誘引する可能性はある」 その原因になるのは、北海道に生息するエゾシカだという。確かにバンキシャ!が取材中にも、親子のエゾシカに遭遇。このエゾシカが市街地で交通事故などで死んだ場合、その死骸をエサとするため、ヒグマが町に下りて来ている可能性があるというのだ。 エゾシカが関係する交通事故は、直近8年で過去最多を更新し続け、去年は5460件にのぼった。さらに、町にヒグマが下りてきた際、魅力的なエサとなるのが、人間が出す生ゴミだという。 佐藤喜和教授 「山の中にあるどんな食べ物よりも、おいしくて消化しやすい」 実際、福島町内のスーパーのゴミ置き場もこじ開けられ、ゴミがあさられた痕跡があった。 佐藤喜和教授 「やはりゴミを食べたいという、欲求に逆らえなかった」 「人を目指していたわけではなく、ゴミを狙って食べていたという状況。ばったり出会った人に対して、攻撃的な行動をとってしまった」 (2025年7月20日放送『真相報道バンキシャ!』より)

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