参院選で与党が大敗する中、石破首相が続投を表明しました。今後の石破政権はどうなるのか? 日本テレビ・政治部官邸キャップの平本典昭記者に3つの疑問を聞きます。 (1)なぜ? 3連敗でも「続投表明」 (2)突破できる? 2つの壁 (3)「参政・国民」躍進2つのワケ ◇ ——まず1つ目のなぜ? 石破首相は(去年の衆議院選挙、6月の都議会議員選挙に続き)3連敗にもかかわらず、「続投表明」をしたのでしょうか? 21日の会見、大事でした。なぜなら、与野党の議員が石破首相から「負けたのに続投する、納得いく説明があるか」を注目していたからです。 与野党の議員に評価を聞きました。厳しい声が多かったです。 ある現職閣僚の1人は「新しい打ち出しがなかった」、ある野党の党首は「選挙で負けた意味がわかってないのでは」と指摘していました。 中でも「国難」として「関税協議」と「物価高対策」に加えて21日、「自然災害」を出しました。ある自民党ベテラン議員から「関税協議は待ったなしの国難で政治空白を生じさせない理由としてわかるが、自然災害まで入れると首相を交代できるタイミングがなくなってしまう…」という突っ込みが入っていました。 ——自民党内から辞めるべきという声は広がっているのでしょうか? 取材をしていますと、出てはいるんですけど、広がっていないのが現状です。20日夜の段階である自民党幹部は「この結果なら辞めるべき」、現職閣僚の1人も「過半数を割れば潔く退陣すべき」と話していました。 しかし、石破首相が続投を表明すると、そうした声が少しおさまった印象です。 その理由を象徴するような電話がある自民党幹部からかかってきました。「なんでうちのボスは辞めないんですか?」というんです。私から「目標を割って、3連敗で党内には辞めるべきとの声も多い」と言うと、その幹部は「本当にそう思う。ただ、言いづらいし、たとえ石破さんが辞めても次がいない、展開がみえない」と話していました。 象徴的なコメントで自民党の自浄作用として「この状況を変えよう」という動きが出てこない現実があります。 ある野党幹部はこう酷評していました。「今の自民党は会社でいえば3期連続、営業目標未達成なのにトップが責任をとらない、経営陣は誰一人辞めない、抜本的な内部改革策も出ない」そんな、状況だ、と。 ——続いて2つ目の疑問。突破できるのか? 2つの壁とは。 石破首相は続投を表明しましたがこの先、2つの壁が待っています。1つ目は、自民党内の壁です。身内の自民党議員から「続投」の理解を得られるか、です。 21日の会見への不満は早くも噴出しています。自民党議員、地方議員にたまった不満のマグマが噴出せずに抑えられるか、です。 次は、少数与党で国会運営で野党の協力を得られるか、という壁です。選挙でNOを突きつけられた今の与党が野党の協力を引き出すのは、これまで以上に「高い壁」となると言えます。 続投の道を選んだものの険しい、険しい、茨の道、と言えそうです。 ——さて、それだけ自民党を大敗に追い込んだのは参政党、国民民主党の躍進があったわけですが、その躍進の2つのワケとは何があったんでしょうか? 要因を20日に行った出口調査の数字から分析します。 躍進1つ目の理由は自民党支持層の受け皿になったということです。 今回、普段自民党を支持していて比例代表で他の政党に投票した中で最も多い投票先は参政党で6.2%、次が国民民主党で5.2%でした。 自民党支持層が参政党、国民民主党に流れたことがわかります。 2つ目は無党派層の受け皿になったということです。 いわゆる無党派層の比例代表の投票先をみると最も多い15.2%が参政党、次に多いのが14.8%が国民民主党に投票しました。 反自民の受け皿になったこと、無党派の支持を集めたことが数字からみえてきます。 ——最後に、仮に石破さんが辞めた場合いわゆるポスト石破に何か新たな動きはありますか? 21日朝、候補の1人と目される小泉進次郎さんが総裁選が行われた場合、立候補するか問われ「あらゆる政治の選択肢があるだろうからお答えできない」と含みを持たせました。 小泉さんのほかに高市さん、林さん、小林さんといった声が出る中、具体的な動きが出てくるかがポイントとなります。