アメコミ史上最も有名なヒーローが主人公の「スーパーマン」が公開中だ。 　王道のキャラクターを新たな視点と配役で問い直した。恋人ロイス・レイン役のレイチェル・ブロズナハンは「長年愛されてきた理由は、彼が『希望の象徴』だから。その希望が目いっぱい詰まった、てらいのない娯楽映画を公開することは、かつてないほど意義がある」と語る。（木村直子） 　監督・脚本はヒットメーカーで、アメコミ・ＤＣコミックスが原作の作品を手がける「ＤＣスタジオ」の共同代表に就いたジェームズ・ガン。スーパーヒーローものは、異なる作品の物語世界がつながる「ユニバース」が特徴だが、本作は先行作品で築いた世界観を刷新する新章の第１弾となる。 　「新生ＤＣユニバースの先陣に立てたことを光栄に思う」。ブロズナハンは力強く、そう語った。 　大手メディア「デイリー・プラネット」で働くクラーク・ケント（デイビッド・コレンスウェット）の正体は、地球のために日々戦うスーパーマンだ。宿敵で天才科学者レックス・ルーサー（ニコラス・ホルト）の野望が動き出す。 　演じるレインはケントの恋人にして、同僚の敏腕記者。「特ダネをつかむためなら、地の果てまで行くこともいとわない。かなり強烈な女性」。主人公とともに親しまれてきたヒロイン役を楽しんだ。 　「ジェームズの脚本が素晴らしいのは、これまで描かれてきたレインに敬意を払っているところ。おなじみの状況に加え、未知の環境にレインを置くことで、誰もが知る人物像から新鮮味を引き出した」 　ジャーナリズムは職業設定というだけではなく、物語の展開にも深く関わる。ルーサーの扇動で、スーパーマンは民衆の絶対的支持を失いかける。「新聞や雑誌など印刷ジャーナリズムが苦境にある今、その重要性を訴えたいと思った。報道記者として仕事を全うしようとする彼女の姿に胸を打たれるはず」 　作品の普遍的メッセージにもつながっている、と言う。「彼は純粋な好奇心があり、人間の善を心の底から信じている。つまり、本当にスーパーヒーローが必要な時もあるけれど、レインやジミー・オルセン（ケントの同僚で友人）のような、ごく平凡な人間の思いやりが、世界を救うことだってある」 　迷いも、悩みもある。スーパーマンの“人間らしさ”がこれまでになく強調される一方、視覚効果の粋を結集して超人ぶりも描く。装いも新たな元祖ヒーローの物語は、暑さを吹き飛ばす映像体験になりそうだ。 　「とびきりワイルドで壮大な冒険を楽しんでほしい。友人や家族、仲間と一緒に映画館に繰り出すことで連帯感も深まるでしょう」