「いつでもポケモンに会える」「手をのばせば実際に触れる」場所にこだわり…増田順一・チーフ・クリエイティブ・フェロー

 2026年春、よみうりランド遊園地(東京都稲城市、川崎市)内に「ポケパーク カントー」がオープンする。  プロジェクトの陣頭指揮を執るポケモン社の増田順一・チーフ・クリエイティブ・フェロー(57)に、施設に込めた思いや見どころを聞いた。 ——「ポケパーク カントー」を作ろうと思ったきっかけは。  「ポケモン初のビデオゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』が1996年に発売されてから、来年で30周年です。この間、ゲームを軸にアニメやカードゲームなどが展開され、世界中のファンに楽しんでいただくようになりました。国内外のイベントでファンに会い、ポケモンを通じて人と人とがつながっていく感じがすごくいいなと思っていました。  作り手としては、最初のゲームを作っていた頃から、ポケモンを通じてコミュニケーションを取ってもらうことを大事にしていたんです。人と人とが出会い、ポケモンを交換して、友だちができていく、ということを意識していました。  でも、コロナ禍で人と人とが出会えなくなり、ポケモンのイベントも一時期ほとんどなくなってしまいました。そんな時に、常にみんなで集まれる場所を作りたい。人とポケモンが一緒に楽しめるような空間がほしいと思ったんです。30年間、ポケモンを好きでいてくれたファンへの恩返しもしたいと考えた時に、『いつでもポケモンに会える場所があったら楽しいよね』と思いました」 ——「ポケパーク カントー」の概要は。  「『ポケモンフォレスト』と『カヤツリタウン』という二つのエリアで構成されています。ゲームでも、野生のポケモンがひそむ森や草むらを冒険し、そこを通り抜けて安全な街にたどり着くとほっと一息つくような感覚があります。それと同じものを味わってもらえると思います。  ポケモンフォレストは、ポケモンたちが生活している自然豊かな森です。きのみがいっぱいあって、ポケモンが集まっています。フォレストを歩いて行くと、たくさんのポケモンがいますが、ほとんどが野生です。訪れた人には、ポケモントレーナーの気分になって冒険してほしいですね。  カヤツリタウンは、ポケモントレーナーズマーケットを中心にして、色々な買い物ができます。みんなでお祭りのように楽しんでもらいたいと思っていて、パレードや、ポケモンたちとのグリーティングも予定しています。アトラクションも二つあるので、楽しんでもらいたいですね。  ゲームでおなじみの施設であるポケモンセンターやフレンドリィショップ、ジムも作っています。ポケモンセンターを見た時は、私も感動しましたね」 ——こだわったポイントは。  「今回は、あえてデジタルとは切り離して、『ポケモンが実在する世界』『触れる』という所にこだわっています。『ポケモン GO』では、スマートフォンをかざすと、現実世界の中にポケモンがいるように見えます。でも、手をのばすと、そこにはいない。実際にポケモンがいて、触れるというのは、これまでやっていない取り組みで、チャレンジしてみたいと思いました。  屋外の施設にした理由としては、元々、野生のポケモンは森の中などにいますよね。空を飛んで、自由に動き回っている。風の音、花の香りなどがして、その中にポケモンもいる。自然の中にいるのは、生き物としてすごく大事なんじゃないかと思いました。屋外の面白さを追求しています」 ——特に注目してほしい点は。  「ポケモンは生き物なので、同じ人間がいないのと一緒で、1匹1匹、性格も違います。『ポケパーク カントー』には600匹超のポケモンがいますが、すべてのポケモンにストーリーを考えてあります。たとえば、恥ずかしがり屋だから、ちょっと目が下を向いているとか。そのポケモンが何を見ているのか、視線にも注目してみてほしいですね。  しぐさもみんな違うんです。2匹が横に並んでいたら、仲良しなのかなとか、背中を向け合っていたらケンカしているのかなとか。友だち同士で話して、想像を膨らませながら楽しんでほしいです。これまでのポケモンとは違った楽しみ方をしてもらえるかなと思っています」 ——子どもたちに向けたメッセージを。  「今の子どもたちは、森の中で遊んだり、土に触れたりする機会がなかなかないと思います。森の中では、土で足元が汚れるかもしれないですが、子どもたちにはそれも楽しんでほしいですね。見上げるほど大きなポケモンもいるので、自分の体と大きさくらべもしてみてください。背中に乗ることができるポケモンもいますよ。中には、土や草木に隠れているポケモンも……。全部発見してほしいですね。」 ——今後の展望は。  「『ポケパーク カントー』は、オープンして完成ではありません。天候や季節によっているポケモンが変わるということもあるかもしれませんし、将来的には進化するポケモンもいるかもしれません。生き物なので、ずっと同じではないのです。何年かかけて、少しずつ変わっていく部分があるかもしれないと思っています。  改めて、ポケモンを支え続けてくれた世界中のファンへの感謝の気持ちを込めて、30周年のタイミングでこの施設を作れたのは、すごくよかったなと思っています。ぜひ、お気に入りのポケモンを見つけて、『また次も会いにくるからね』と思ってもらいたいですね」 ますだ・じゅんいち 1968年生まれ。横浜市出身。ポケモンの原作を作ったゲーム制作会社「ゲームフリーク」の創立メンバーの一人で、1989年からビデオゲーム『ポケットモンスター』シリーズなどのディレクターやプロデューサー、ゲーム音楽作曲家として携わる。2022年から現職。 ©2025 Pokémon. ©1995-2025 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémon は任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です

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