「SNSを最も参考に」参政党は55%、自民党は? バズりやすい“外国人政策”、実際はそれほど重視されず?【それって本当?】

参議院選挙で躍進した参政党などは、SNSも駆使して支持を拡大していったと指摘されています。実際にネット上ではどのように注目され、大敗した自民党などとどう違っていたのでしょうか? 「SNSが選挙の結果に大きく影響って本当?」をテーマに考えます。 ■「参院選」と一緒に検索されたワード 山崎誠アナウンサー 「開票が始まった20日午後8時から22日午前10時までに、『参院選』というワード(『参議院選挙』『参議院議員選『』も含む)と一緒に、Xで多く投稿されていたワードを一覧にしたものがあります。投稿数が多いほど、文字を大きく表示しています」 島津里彩・日本テレビ社会部記者(選挙戦のSNSの動向分析を担当) 「今回、厳しい結果となった『自民党』のワードが多いんですが、『参政党』というワードもたくさん投稿されています。参政党は議席数を大きく伸ばし、SNSでも話題に上がっていました」 ■SNSなどを参考にした人の割合 山崎アナウンサー 「今回の参議院選挙に、SNSがどのような影響を与えたのか見ていきます。NNNが読売新聞とNHKと合同で行った出口調査で、比例で投票した政党別で最も参考にしたメディアを『SNS・動画投稿サイト』と答えた人の割合です」 「例えば自民党に投票した方のうち、最も参考にしたメディアをSNSと答えた方は8.2%となりました」 鈴江奈々アナウンサー 「自民党に投票した方では、それほど多くの方はいらっしゃらなかったということなんですね」 島津記者 「一方で、参政党に投票した人の中で『SNSを最も参考にした』という人は55.7%と半数以上を占めています。同じく議席数を伸ばした国民民主党も34.5%が『SNSを最も参考にした』と答えています」 「逆に、自民党や立憲民主党に投票した人はSNSの割合が低く(立憲は9.1%)、『テレビ』という回答が最も多くありました」 森圭介アナウンサー 「政党によって何から情報を得て参考にしているのかがくっきり分かれていますし、れいわ新選組や日本保守党を支持している人たちも、SNSや動画投稿サイトを参考にしているということもよく分かります(それぞれ41.0%、56.3%)」 ■Yahoo!検索やYouTube登録者数は? 森アナウンサー 「インターネット上でどれくらい見られていたというのは、分かるものなんですか?」 山崎アナウンサー 「2つのグラフを見ていきます」 「まず、各政党名をどれくらいの人が検索したのかというグラフ(ヤフー・データソリューションDS.INSIGHTより、Yahoo!検索のデータをもとに日本のインターネット人口に合わせた推計値、検索ワードが複数ある政党名は検索人数が多い方を採用)です」 「他の政党と比べ、参政党が突出しています。『参政党』と検索した人が6月下旬から一気に増え、その後も高い水準を保っていることが分かります」 「次に、各政党の公式YouTubeの新規登録者数の推移(YouTube APIを使用、立命館大学・谷原准教授の収集データより)を見ても、参政党が突出して増えています」 「私も21日に参政党の集会を取材したんですが、その時も支持者の方は『知ったきっかけはユーチューブだ』と答えていました。(同党の)登録者数は1ヶ月ほどで13万人以上増加していました」 斎藤佑樹キャスター 「参政党というワードを検索して、興味を持って調べるという方が多かったんですね」 島津記者 「SNSと政治に詳しい立命館大学の谷原つかさ准教授は、参政党はSNSとリアルの相互作用で人気が出たと分析。SNS戦略だけではなくて、地域密着のリアルでの動きにも力を入れたことで、支持者の新規獲得につながったとしています」 「さらに政党要件を満たし、新聞やテレビでも露出が増えたことも影響していたと話していました」 ■神谷代表の演説、聴衆に多かった層は 鈴江アナウンサー 「どういったメディアを活用して情報を得ているかというのは、世代やライフスタイルによって、変わってくる部分はあると思うんですけれども、実際に参政党に投票した方に、何か共通する点はあったんでしょうか?」 島津記者 「投開票前日の19日、(東京・港区であった)神谷代表による最後の演説の映像があります。すごく多くの方が詰めかけている様子が分かります。この演説、主催者の発表で2万人が集まったということです」 「LINEヤフーのデータをもとにどんな年代の人が集まっていたか調べると(日本の人口に合わせた推計値、ヤフー・データソリューションDS.INSIGHTより)、男性の特に40代・50代が一番多く、合わせて全体の約3割だったことが分かりました」 鈴江アナウンサー 「どこに投票したというのは、周りでも会話する機会はありません。こういったデータ分析というのは興味深いですね」 ■性別・年代別 比例の投票先は? 島津記者 「実際にどの政党に投票したのか、NNN・読売新聞・NHKの合同出口調査の結果から、性別・年代別で割合を見ていきます」 「男性では10代から40代まで参政党が最も多く、50代では自民党が1位、2番手に参政党が来ています。女性でも10代から50代で上位2つに参政党が入りました」 森アナウンサー 「インターネットに慣れ親しんでいる若者だけではなくて、我々世代の40代・50代もそうですが、インターネットによく触れる世代に参政党が入ってるなというのも分かります」 「(神谷代表の最終日の)演説でも40代・50代の男性が多いということを見ると、幅広い世代に支持されたんだなということが分かりますよね」 ■出口調査の結果から…重視した政策は 島津記者 「また、参政党は外国人の政策も打ち出し、参院選の争点として急浮上しました。NNN・読売新聞・NHKの合同出口調査で、投票の際に最も重視した政策を聞いてみたところ、一番多かったのが『物価高・経済対策』で全体の46.7%だったんです」 「『外国人政策』と答えたのは5.9%と、そこまで多くなかったんですね」 ■「外国人政策」は実際の関心以上か 島津記者 「政党別に見ると、自民党に投票した人の中で最も重視した政策を『外国人に関する政策』と答えた人は1.9%しかおらず、国民民主党に投票した人では3.1%、日本人ファーストを掲げた参政党に投票した人でも18%にとどまりました」 森アナウンサー 「リアルの現場で話を聞いてみると、皆さん物価高対策に興味があるとは言っていますけれども、実際インターネットを見てみると、外国人に関する政策については議論というか、意見のぶつけ合いが非常に多かったような気がするんですね。そこに関しては…」 島津記者 「谷原准教授に聞きました。外国人については議論が活発になりやすいテーマで、リプライや返信がどんどんつくことで、Xの特性上、おすすめに表示され、バズりやすかったということなんです」 森アナウンサー 「盛り上がりやすかったということですね」 島津記者 「外国人の話題については軽視してはいけないとした上で、実際の関心以上にSNS上で注目を集めていた可能性があるとしていました」 瀧口麻衣アナウンサー 「私も、SNSに流れてきていて目にすることが多かったんですけど、中には投稿者の主観が多く書かれているものもあって、情報を見極める力が大切だなと思いました」 ■SNSでもリアルでも物議醸す 島津記者 「SNSをめぐっては事実と異なる情報や、誤解を招く情報も多く拡散されていました。また今回の選挙では、リアルでもさまざまな問題が起きていました」 「立憲民主党の候補者の陣営がNHK党の候補者が掲示したポスターで名誉を毀損(きそん)されたとして、刑事告訴しました」 「今回躍進した参政党についても、神谷代表が演説で宮城県の水道事業について『国がやらないから宮城県が民営化した。なぜそれを外資に売るのか』などと発言。これに対し、県が『外資へ売った事実はない』と抗議文を出しました」 「他にも、参政党の公約や出版した書籍の内容をめぐって、関係する団体が相次いで抗議の声明を発表していて、SNSでもリアルでも物議を醸した選挙戦となりました」 鈴江アナウンサー 「参政党だけでなく、各党が公約という形でさまざまな政策を訴えていましたけれども、それを受けて議席を得た、それをどう今後生かしていくのかというところにも注目していきたいですね」 島津記者 「選挙制度に詳しい日本大学の安野修右准教授は、自分の投票した候補者や政党が今後どういった活動をしているのか、どんな政策を訴えているのかを継続して見ていくことが大切だとしています」 (2025年7月22日『news every.』より)

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