首相“辞任不可避”か 自民党内でいま何が【解説】

石破首相自身は辞任を否定する一方で、自民党内では辞任は避けられないとの見方が広がっています。いま、石破首相の心の内は。そして、自民党内で何がおきているのか。日本テレビ・政治部官邸キャップの平本典昭記者に3つの疑問を聞いていきます。 (1)最新情報「異例会談」で何が? (2)関税合意「花道退陣論」強まる (3)“ポスト石破”…有力なのは? ——まず、石破首相と3人の首相経験者との異例の会談、新たな情報は入ってきていますか? 会談は予想より長く1時間20分も行われました。終了後、会談の参加者の1人に取材しましたが非常に厳しい表情でした。 いま集まっている取材を統合するとポイントは2つ。 1つ目は、最大の注目点であった石破首相の進退については「言及はなかった」ということです。 あとは首相経験者から石破首相に「地方の声に丁寧に耳を傾けるべき」という発言があったそうです。 まだ詳細はわからない点もあります。 ——つまり地方からの辞任を求める声、そういった声に耳を傾けるべきということなんでしょうか? 石破首相に、そういった声を真摯に受け止めてねというメッセージだったと思います。 ——2つ目の疑問。23日、関税協議が決着したことで石破首相の進退にどんな影響が出そうでしょうか? まず、自民党内で一気に「花道退陣論」が強まりました。 ある自民党幹部は「関税協議の決着は辞める大きな理由になる」。現職閣僚の1人も「総理自身が辞められない理由にあげていた障害が取り除かれた」と辞任は避けられないとの見方が急速に広がっています。 ——石破首相自身の考えはどういったものなのでしょうか? 石破首相は周辺に23日朝、「アメリカとの関税協議が何より大事で結果が出れば、そこで改めて判断をする」と話していたそうです。周辺も「本当は辞めてもいいと思っている。ただ、国益をかけた関税交渉を途中で投げ出すわけにはいかない」と話していました。つまり、関税協議が終わるまでは進退の決断を保留にしていたのが、23日、急転直下、合意に至り判断を迫られる形になった、と。 そうしている間に日に日に石破首相を取り巻く環境が急激に悪化しています。 地方の県連からの辞任要求が相次いでいます。若手議員を中心に党内の国会議員からも辞めるべきとの声が公然と上がり始めています。さらに、少数与党の中で事態打開に不可欠な野党との協力のメドも立っていません。このように「石破包囲網」が徐々に狭まり辞任は避けられないとの見方が強まる中で、石破首相には判断が迫られている状況と言えそうです。 ——3つ目、仮に石破首相が退陣となると気になるのはポスト石破ですが、誰が有力なのでしょうか? 2つの数字を用意しました。 1つはNNNと読売新聞が行った緊急世論調査。世論が、自民党政権が続いている場合、次の首相に誰がふさわしいとみているかの数字です。 1位は高市早苗さん26%、2位は小泉進次郎さん22%、3位は石破首相で8%、4位が河野太郎さん7%でした。 もう1つの数字は、国会議員が誰がふさわしいかとみているかの数字です。与野党の国会議員100人に日本テレビ政治部は緊急取材しました。聞いたのは、選挙結果が出る前です。石破首相が選挙で負け仮に辞任した場合、誰がふさわしいか聞きました。 こちらは、1位は小泉進次郎さん25人、2位は高市早苗さん17人、3位は林芳正さん11人、4位は小林鷹之さん8人という結果でした。 ——世論がみている順位と国会議員がみている順位が違うのは興味深いですが、ポスト石破に求められる条件とはどういったものなのでしょうか? 国会議員の取材から議員がみる、ポスト石破に求める条件が浮かび上がってきました。 1つ目は自民党が失った「国民からの信頼」を回復する力。この点で期待を集めるのが知名度が高くコメの高騰対策などでも成果を出した小泉進次郎さんと言えます。 2つ目は選挙の敗因となった、「保守層の支持」を取り戻す力。今回の自民党の支持が参政党に流れたことが敗因の1つとみられる中で、次のリーダーにはその票を取り戻す力が期待されています。この期待を集めるのが高市早苗さんです。 そして3つ目が今回特有の理由で野党との交渉力です。衆院、参院で与党が少数の中、政策を進めるには野党の協力を得ることが重要です。この点で期待を集めるのが政策通であり野党議員との人脈を持つ林芳正さんです。 ——仮にいま戦ったら誰が優位だとみていますか? それは、なんとも言えません。とはいえやはり勝つためには早めの準備が重要となります。あるポスト石破候補を支える議員の1人は「もう総裁選は事実上スタートしている」と述べています。石破首相の決断の行方を見極めながらポスト石破の候補者たちの動きも激しくなりそうです。

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