【中国市場で苦戦中】東風ホンダS7は走りが楽しいBEV!クルマは良くても中国人の好みには合わず?

トヨタや日産の中国専売BEVは意外なヒット 2025年に入ってトヨタや日産は相次いで新たな中国専売BEVを発売。これが意外なヒットを見せている。 【画像】中国で苦戦中!走りも楽しいBEV『東風ホンダS7』 全35枚 2023年に発売された一汽トヨタ『bZ3』を皮切りに、合弁相手と共同で中国専売EVを開発してリリースする風潮があり、広汽トヨタ『bZ3X』や一汽トヨタ『bZ5』、長安マツダ『EZ-6』、東風日産『N7』もこれに該当する。 中国で発売中の東風ホンダ(東風汽車との合弁)『S7』に試乗。 加藤ヒロト 逆風に立ち向かうべく奮闘する日本勢だが、その中にあって心配なのはホンダだ。2024年における中国販売台数は前年比30.94%減の約85万2300台、月間販売台数も2024年2月以降11ヵ月連続で前年割れとなり、改善の兆しは見られない。 かつての売れ筋だったアコードもBYDやテスラ、トヨタ・カムリなどに押されているが、特にBEV事業はもっと悲惨で、2024年発売の『e:NS2/e:NP2』は毎月平均300台前後の販売で、2025年6月にいたっては両車ともに150台を下まわった。 そんな状況を一変すべく、2024年には新たな電動サブブランド『イエ(火へんに華)』をローンチ。まずは東風ホンダ(東風汽車との合弁)から『S7』、広汽ホンダ(広州汽車との合弁)から『P7』というSUVがリリースされることになった。今回はその最新車種である東風ホンダのS7を試乗した。 スポーティでカッコ良いBEV 初めに言っておくと、S7はかなり良いクルマだ。 サイズは全長4750mm、全幅1930mm、全高1625 mm、ホイールベース2930 mmと大きく、近未来的なルックスと合わさって強烈な存在感を発揮。2グレードのみのシンプルな構成で、最高出力268hp、最大トルク420NmのRWDが19万9900元(約414万3000円)、470hp、770NmのAWDが24万9900元(約517万9000円)で販売される。 シャープでエッジの効いた外装とは裏腹に、内装は物理ボタンが多い印象。 加藤ヒロト シャープでエッジの効いた外装とは裏腹に、内装は物理ボタンが多い印象を受けた。筆者は物理ボタン派なのだが、流行に敏感な中国の消費者は「古臭い」と感じるようで、中国新興勢のEVは揃ってエアコンやメディアはもちろん、ステアリング位置まで画面内で調整できるようにしている。 S7ではほかにも、中国車でもあまり見ないデジタルアウターミラーや、上下2画面構成のセンターディスプレイを採用するなどユニークな要素に溢れている。 ホンダは『イエ』シリーズを『走りも楽しいBEV』として展開したいようで、そのマインドはP7を軽く転がすだけでも感じられる。重量配分は前後50:50を実現し、全高を低く抑えることで純電動SUVでも爽快なフィーリングが味わえる。 今回試乗したのは469hpのAWDだが、街乗りで乗るには少々大げさ。車体そのものが良いので、268hpのRWDでも十分に事足りると感じた。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクという豪華な仕様のおかげで、乗り味は硬めでスポーティな印象だ。 良いクルマでも販売は不振 クルマを運転する上での楽しさを重視する筆者にとってS7はとても良かったのだが、残念ながら中国の消費者には受け入れられていない。 広汽ホンダP7の月間販売台数は発売以来500台を超えたことがなく、2025年5月、6月はそれぞれ142台、166台という状況だ。今回試乗したS7はさらに不調で、2025年4月以降の販売台数は毎月50〜60台となる。 日本円で約420〜520万円という価格も、販売が伸びない要因となっている。 加藤ヒロト 理由は単純で、中国の消費者が求めていないBEVを誰も購入しないような価格で販売しているからだ。確かに運転の楽しさは素晴らしいが、クルマを初めて購入する層が多い今の中国ではそういったわかりにくい領域よりも、『画面の大きさ』、『0-100km/h加速の数値』、『冷温庫の数』など、理解しやすいカタログスペックが重視される。 各社がタッチ操作を採用して先進性をアピールするのもそれが理由だ。そして日本円で約420〜520万円という価格も、ほぼ同じ値段でよりサイズが大きく、高度な運転支援機能や車内エンタメ機能にも優れる、『テスラ・モデルY』、『オンヴォL60』、『理想L6』が購入できてしまうので高く感じてしまう。 そう考えると、値引きも全くないというP7/S7を購入するのは、『よほどのホンダ好き』ということになるだろう。ディーラーで実際に『e:N』と『イエ』の立ち位置の違いを聞いても上手く説明できないなど、ブランディングも不明瞭だ。 中国事業が不振な中、ホンダから起死回生を狙う『本命の中国専売EV』が投入されることを願いたい。

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