《本名公表&既婚者だった》参政党・さや氏の“ゼロ打ち”当選の背景にある「アイドルを育てる推し活」と似た構図 現実離れした過激さも武器に

 参議院議員選挙で初当選した、参政党のさや氏へ注目がますます高まっている。ゼロ打ちと呼ばれる、開票開始直後に当選確実と速報されたことはもちろん、非公開だった本名が公表され、実は既婚者だったことも明るみに出た。さらに、結婚については略奪婚疑惑も浮上するなど、とにかく話題に事欠かない。政治家としての姿が見えづらいのに、なぜ多くの支持を集めたのか、臨床心理士の岡村美奈さんが分析する。 【写真】サンタコスプレをするさや氏。夫・塩入氏とのツーショットなども  * * *  シンガーソングライターの春ねむりさんが22日、自身のXを更新し、Sound Cloud上に楽曲『IGMF』を公開した。参議院選挙東京選挙区で初当選した参政党のさや氏に対する”怒り”を歌詞にしたというその曲は、かなり過激な内容だ。だが聞いてみれば、いや、歌われてみればさや氏の極端な主張がわかりやすくあらわになった。  春さんはこの曲を公開するにあたりXに、「参院選期間、あまりにもヘイトスピーチ聞きすぎて怒りがすごかったので爆速書きました 聞け」と呼びかけた。”ヘイトスピーチの主”は、参院選東京選挙区で秒殺といわれるほど早くに当確。春さんの怒りに火をつけたように、その演説は良くも悪くも人の感情を揺さぶりやすいものだった。  曲は、「私を皆さんのお母さんにしてください」と街頭で演説するさや氏の発言とみられる音声から始まり、それに「うちらはガキじゃない」と反論する歌詞が続く。長年ドイツ初の女性首相として働き、ドイツのお母さんと親しまれたメルケル氏でも、演説で「お母さんにしてください」とは訴えないだろう。  この街頭演説について、ライターの小川裕夫氏はNEWSポストセブンの『参政党、躍進の原動力は「日本人ファースト」だけじゃなかった 都知事選の石丸旋風と”無名”から当選果たしたさや氏の共通点』という記事で、その内容を稚拙、荒唐無稽と分析。行政経験がないため、演説内容は薄く時間も短いが、それがかえって猛暑の東京では功を奏し、現実離れした内容はネットニュースの格好の素材になったと書く。  報じられたいくつかの記事によると、彼女が政治を志したのは、保守系のネット番組で長年キャスターを務め、論客たちと政治について議論を重ねてきたからとある。作家で評論家の古谷経衝氏による「参政党、さや氏—異色の履歴・不遇の遍歴」というYahoo!ニュースで執筆した記事で、彼女は番組のアシスタントであって論客とはみなされず、言論レベルは未熟、実力がなかったと書かれている。しかしここでの経験が、今、最も注目を集める素材がどれなのかを判断する嗅覚を養うことにつながったのかもしれない。  内容が薄い演説なら、内容よりも極端で過激で荒唐無稽なメッセージが効果的だ。話を聞いてじっくり考えるより、直観的に人々の共感を呼びさまし、嫌悪感情を刺激するからだ。参政党の掲げる”日本人ファースト”もさや氏の演説では”排外主義”や”差別”の色合いが濃くなっていく。アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領のように、世界各国で自国や自国民を優先する主張を掲げる政党や政治家が力を持ち始めている。日本でも外国人の増加に伴い様々な問題が噴出。参政党もさや氏もその流れにうまく乗ったのだろう。春さんはそんなさや氏の街頭演説をヘイトスピーチと断じ、「ホラーより怖いさや」と痛烈に批判した。  だがさや氏は早々と当選。前述した小川氏はその理由を、ネットの力だけでなく選挙区各所を細かく回り、街頭演説の回数をこなしたからと分析。ジャズシンガーでもあったさや氏は、細身で清楚なルックスから男性ファンを中心に支持層が厚かったようだ。公約や政策に賛同するからというだけでなく、候補者自身を応援したいというサポーターもいただろう。稚拙だが過激な演説内容に清楚なルックス、ネットで注目を集め、選挙区をくまなく回り支援を訴える。その選挙活動は、必死にパフォーマンスを披露しファンサービスに励むアイドルの卵を、推し活にいそしむファンたちが一流のアイドルに育てていくというのと似た構図にも思えてくる。  現実離れした過激さこそがさや氏の武器だったのかもしれない。

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