謎に包まれた新型ドラッグ「DOPE」が蔓延する近未来で、次々と起こる不可解な事件に挑む麻薬取締官の姿を中心に描かれる金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)。“正反対”のバディとして事件に挑む、新人麻薬取締官の才木優人と、才木の教育係で同じく特捜課の陣内鉄平を、郄橋海人と中村倫也がそれぞれ演じるほか、神出鬼没に現れる謎の男・ジウ役として井浦新らも登場。精巧なVFX(視覚効果)も、ドラマを盛り立てる。 【写真をみる】ロックバンド「androp」フロントマンが手掛ける『DOPE』の音楽 凄絶な事件に絡み、さまざまな人間模様が描かれる本作の世界観に欠かせない、劇伴に今回挑んだのは、4人組ロックバンド「androp」のフロントマンで、ソロアーティストとしても活躍する内澤崇仁だ。今回熱烈オファーを出した長谷川晴彦プロデューサーは、自身を「andropのファンです」と公言し、内澤が「全てを注いだ」というその伴奏音楽にも「魂が震えた」と感動を隠さない。 前後編にわたるロング対談の後編では、出会いから10年以上にわたり親交を深めてきた二人が、互いの“ものづくり”や、アーティスト内澤ならではのドラマへの視点、劇伴制作を終えバンドがこれから進む道についてなど、より深いテーマでトークを交わす。 「特別な存在」 出会いは“プロデューサー”デビュー作 内澤:改めて、出会いの一番初めは、長谷川さんが「ROBOT」(制作プロダクション)でプロデューサーをしていらした時でしたよね? 長谷川:そうですね。あの時、andropさんの『End roll』のMVが、僕の“プロデューサー”デビュー作だったんですよ。 内澤:ええ! そうだったんですね! 長谷川:そう、1作目だったので、当然思い入れもありますね。撮影は、僕の仕切りの問題で、内澤さんたちにまさかの徹夜の状態で収録をしていただくという状況で、あの時はすみませんでした。 内澤:大御所の熊澤(尚人)監督に入っていただいて、長谷川さんにそこを仕切っていただいて。画が朝の靄(もや)のかかったシーンだったり、すごくすてきな光の具合で撮っていただいたりして、夜中に集合して移動したんですよね。 長谷川:それで朝撮って、で、また夕方から狙います、みたいな感じで、宿泊施設とかなくて「そこら辺のコテージで寝てください」みたいな。 内澤:そうそうそうそう。あの時、長谷川さん一番動いていましたからね。 長谷川:そうでしたか? 内澤:はい。池か何かを挟んで、向こうの人に対して、大声で「すみませ〜ん! もっとこっちに行ってくださ〜い!」とか言って。 長谷川:ははははは。全然覚えていないです(笑)。 内澤:うわーっと思って。誰よりも一生懸命動いてやってくださっているっていうイメージですね。僕らメンバーもみんな、いまだにその話をします。でも、今もそれは変わらないところが大きいと思いますね。 長谷川:今はもう年齢もあるので…(笑)。 内澤:何でも話したくなるような、受け止めてくださるような感じとかは、当初から今も、変わらずありますね。 長谷川:やっぱり特別なんですよね。僕のプロデューサーデビュー作で撮らせていただいた方たちって。多分どのプロデューサーもそうだと思うんですけど、出てくれた演者さんたちって特別で。だから必然として、内澤さんは僕にとって大事なクリエイターさんだし、劇伴を書いてほしいってずっと思ってたんだなあ、って。 内澤:そうだったんですね。うれしいです。 映像と音楽−−互いが感じる“ものづくり”の共通項 内澤:僕は僕で、長谷川さんのことはずっと追いかけていました。インタビュー記事とか見たり。作品も見ていましたし。僕は音楽で長谷川さんは映像ですが、“ものづくり”としてはやっぱり同じところがあるなとも思います。 長谷川:僕も、先日のレコーディングを拝見していて、音楽も、映画やドラマと作り方は一緒なんだなと思ったんです。たくさんの人が現場に来て、制作するっていう過程も。ただ、音楽のほうが圧倒的に一人の「才能」に左右されるなと思いましたね。映画やドラマは、意外と監督でも一人でやれることが限られるんですけど、音楽に関しては、作曲家さん、今回で言うと内澤さんの才能に頼るところがすごく大きいなと思いましたね。 内澤:逆に言うと、責任重大ってことですよね。 長谷川:そうですね。ほんとにすごいなと思いました。内澤さんはレコーディングの時も、自分が分からないことは分からないってはっきりとおっしゃるので、素晴らしいなと思って。人柄も、メロディーを聴いていると分かるんですよ。優しさに溢れるメロディーですから。 内澤:ほんとですか。ありがとうございます。僕も長谷川さんのものづくりを見ていて、情熱みたいなところはすごく感じます。一緒にチームで作品を作られている中で、ディスカッションで感情的になるみたいなこともありますか? 長谷川:今回『DOPE』では一切ないですけど、過去にはそういう時もありましたね。最近はめっきりないですが。 内澤:映像の世界だと、そういうのはあんまりなくて、全部うまくできるのかなっていうふうにも思っていたんですよね。長谷川さんが演者さんの意見もちゃんと取り入れて、それでシーンがすごい変わったりもする、みたいなお話をされていて、ああ、なるほどな、なんかちょっとそこ、音楽にも似ているなと思って。 長谷川:音楽も、やっぱり内澤さんはじめ、andropの皆さんも「こうやってください」ではなくて、ディスカッションで別のものが来たら「それいいですね」ってなるんですね。 内澤:そうですね。音楽って、人間の部分が出たりするので、弾くほうの「こうやりたい」みたいな感じが出ると、また変わっていったりするんですよ。最初のイメージとはまた違うけれども、「これいいな」ってなるんです。きっと映像でもそういうことがあるんだろうなって、お話を聞きながら思いましたね。 長谷川:今回の劇伴でもありましたか? 内澤:そうですね、ソロのバイオリンが入る曲とかは、もともとは普通のバイオリンだったところから、もうちょっとフィドルっぽくするのはどうだろう、みたいな案が挙がった時に、イメージしていたデモとは全然違う雰囲気の曲になったんですよ。ちょっとカントリーっぽくなるというか。それを聴くと、より情景が思い浮かびやすくなったりもしたので、そこはすごくすてきだなと思いましたね。 「僕にもちょっとある」 内澤が共感する『DOPE』の“異能力”世界 長谷川:今回、『DOPE』の劇伴を手がけるに当たって、どんな作品だと思われましたか? 内澤:僕が一番初めに思ったのは、“異能力”って非日常的な話ではあるのですが、僕にもちょっとそういうところがあるなと思って。僕は音楽の才能があるとは自分では思っていないんですけれども、突然音楽が聴こえたり降ってくるような瞬間があったりするんですよ。情景が思い浮かぶような。小さい頃からなんです。 長谷川&スタッフ一同:へえ(驚きの声)! 内澤:で、小さい頃に、そのことについてしゃべると、「またお前かっこつけて」みたいな、すごくばかにされていたんですよ。だから、普段ほかの人には、それは言わないほうがいいんだ、ってずっと封じていたところがあって。この作品を見た時に、異能力で特別視されるみたいな、人と違う、みたいなレッテルを貼られたりっていうところが、すごい似ているなと思って、共感できる部分がありました。 長谷川:そこは今回、僕がやりたかった大きなテーマでもあったので、そのお話を今知って、内澤さんがそこにリンクしてくれたことは、本当にうれしいなと思います。 内澤:今回、劇伴を作るに当たって長谷川さんと3時間ずっとディスカッションした時も、やっぱり思い浮かんだりしました。それで言うと、台本を読んで、映像の部分はどうなるんだろうと、VFX(視覚効果)とか、きっとめちゃくちゃ時間がかかるんじゃないか、予算かかりそうだな、みたいなことまで思っちゃったりします。 長谷川:今、ちょっともう怖くて(笑)。 内澤:長谷川さんからラフも見せてもらったりして、「このシーンのこのカメラワークは、最初から完成形が見えていて全部決められた状態で撮っているんですか?」と聞いたら、そうだとおっしゃっていて、すごい緻密に計算して映像を撮っているんだなっていうのは思いましたね。経験がないと無理でしょうし、僕では見当が付かなかったです。 長谷川:(ひと足早く完成したVFXの映像を見せながら)これ、冒頭の火を使うドーパーのシーンなんですけど。 内澤:すごい!! これは時間かかるなあ…と思いますね。 長谷川:(話に戻り)それで内澤さんが先ほど「曲が降ってくる」みたいにおっしゃっていましたけど、僕も“降ってくる”瞬間があって、「キター」って。僕の場合は、セリフとか、企画ですね。内澤さんにお願いしようと思ったのも、やっぱり降ってくるような感じで、「このタイミングだー」って。 内澤:もういろいろと、すごい楽しみです。僕の中では、ジウにも注目しています。めちゃくちゃIQが高くて謎が多い。 長谷川:内澤さんが作ってくださったジウの音楽も、イメージ通りです。僕はうれしくて、デモとか「これめっちゃかっこいいですよね?」って役者さんたちに先に聴かせちゃうんですが、井浦さんに聴いてもらった時は、「どうしよう、想像よりジウが壮大な感じ(笑)」っておっしゃっていて。 内澤:ええ! そんな! 長谷川:納品されて、速攻で井浦さんに送って。そしたら「メインテーマとジウのテーマは、台本読むとき必ずかけます」とおっしゃっていて。 内澤:えええ、すごい! でも作り手としては、それが演技の役に立っているかもしれないと思うと、めちゃくちゃありがたいですよね。 ドラマ劇伴で新たな引き出し 挑戦を経てバンド活動の糧に 長谷川:陣内のテーマは今回、内澤さんご本人のボーカルで作っていただきました。 内澤:もともとは女性や英語をしゃべれる方とかをイメージして話が進んでいて、デモの段階で渡したら、僕の声でもいいんじゃないか説が出て…。 長谷川:内澤さんの声“が”いいんじゃないかと。最初女性の声っておっしゃっていたんですけど、せっかくだから内澤さんがいいと思って。 内澤:andropでも今までやっていないことだったので、初めて聴く声になると思います。なので、今回はいろいろ僕にとっての“初挑戦”が詰まっていますね。そもそも、一つの作品やものづくりの中で、これだけいろいろなジャンルのものを詰め込んだことがなかったです。EDMから、クラシックから、フォーク、カントリー、ジャズ、ブルース、ミクスチャー、ロックとか。テクノみたいなのも入っていますし、すごい振り幅の広い音楽を作ったなって。 長谷川:そうですよね。本当に、劇伴作家としての内澤さんの能力を、世に知らしめる作品になったと思います。あれだけ広いジャンルを、1曲1曲のクオリティーも高く書ける人は、そうはいないです。 内澤:今回、自分がいろんな音楽が好きでよかったなと思いましたね。これまで十何年かの音楽活動の中で、いろいろ、ちょっとずつやってきたものを、ようやく一つにまとめることができたなっていう感覚がありました。集大成のような。だから「これまでの経験全てを音に注ぎました」と(リリースの)コメントにも書かせてもらったんですけど、まさにその感覚でした。 長谷川:もし今後、劇伴のオファーがあったらどうしますか? 内澤:いやあ、もうやらないですね(笑)。 長谷川:しばらくですよね?(笑)。 内澤:いや、でも本当にもう全て出し切ったくらいな感覚です。長谷川さんと出会った頃には、こんなことは多分できなかったですし、今、もう一度長谷川さんと一緒にっていうタイミングだったからこそ、できたと本当に思いますね。 長谷川:普段は、僕は監督にできるだけ寄り添ってスタッフィングしているつもりではあるんですが、今回はだいぶエゴを出しました。劇伴やキャスティングも、VFXも、ナレーションも、自分で決めさせてもらいました。 内澤:長谷川さんが今回、各所にすごい思いを詰めていらっしゃるんだなっていうのは、僕もはたから見ていて思っていました。 長谷川:僕は今回、レコーディングの時に内澤さんが必ず「andropというバンドをやっています、内澤崇仁です」とおっしゃっていて、内澤さんの中で“職業”はandropなんだって思ったのは、見ていてうれしかったですね。 内澤:ああ、本当ですか。 長谷川:はい。個人の「内澤崇仁です」とは言わずに、「andropというバンドをやっています」と言うのが、なんかすごくかっこいいというか、すてきだなと思いました。 内澤:それはほんとに、自然とですね。「ただのバンドマンです」っていう感じで言っているんだと思います。 長谷川:内澤さんは、全然偉ぶるところとかないじゃないですか。 内澤:いや、偉くなりたいっすね(笑)。 長谷川:ははははは。この間もそうおっしゃっていましたね。いや、もう十分すごいです。でも、プライベートで飲みに行ったらイメージ変わったりしますかね? 内澤:どうですかね? もしかしてすごく酒癖が悪いかもしれませんよ(笑)。 長谷川:ぜひドラマの打ち上げにも来ていただきたいですね。演奏するところも用意したいです。 内澤:ははははは。じゃあメンバーも呼ばなきゃ。出演者の皆さんそれぞれのシーンの曲を、全編奏でたりして。 長谷川:いいですね。演奏してもらったら、僕は多分そこで泣いていると思います(笑) 。今回の作品が終わったら、内澤さんは今後どのような活動を予定されているんですか? 内澤:8月にはandrop初の海外ツアー、全国ツアー、さらに地元青森での周年ライブも控えています。劇伴に集中していた分、今度はバンドに全力で向き合いたいと思います。今回、自分の音楽人生の中で、相当レベルアップさせてもらった感覚がすごくあって、いろんなことに挑戦させてもらいましたし、こんなことまだ自分ができるんだって引き出してもらったような気がするんですよ。 長谷川:ほんとにすごかったです。 内澤:それって自分の音楽人生の糧になりますし、もちろんバンド活動にも絶対に生かしていきたいなっていうふうに思っていて。『DOPE』で出会った音楽関係の方たちもいるので、その方たちとも、また音楽を一緒に作ってみたいなと思ったりもしています。 長谷川:オーケストレーションのアレンジャーの方や、ピアニストの方も、そうですか? 内澤:そうですね。ピアニストの方は、普段バンドでは、もっとシンプルなワンコードのものとかも多いんですよ。すごい才能もある方なので、今回ようやくその方の素晴らしさを、より生かすことができたなと思いました。 長谷川:そうだったんですね。 内澤:長谷川さんが作ってくださった出会いでもあるので、それは生かしていきたいというか、生きていくと思います、勝手に。 長谷川:それはもう、内澤さんの才能のたまものですよ。僕も、それを受けて、しっかり形にしないと。 内澤:そうですね。強く、そこはお願いします。楽しみにしています。
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