25日も、石破首相に対する逆風は強まっているようです。日本テレビ政治部・官邸キャップの平本典昭記者が「『異例』若手からの辞任要求」「選挙勝利も…なぜ? 野党も焦り」「結局どうなる?『減税』『給付』」の3つの疑問について解説します。 ──まず1つ目「『異例』若手からの辞任要求」ということですが? 25日、自民党の青年局が石破総裁の辞任を申し入れました。青年局というのは自民党の若手議員らの組織です。これは異例のことで、会社で例えるなら入社10年目までの社員が「若手の総意」で社長に辞任を求めるようなものです。 ある青年局の幹部は「世間の常識は自民党の非常識という意思表示だ」と話しています。 青年局は自民党本部の国会議員と地方組織の若手議員も含まれていて、石破首相は「若手」からの突き上げを食らったといえます。 もう1つ、逆風が強まっているのは「地方からの風」です。日本テレビでは自民党の47の都道府県連に独自にアンケートをしました。 33の回答を得て、「辞任を求める」と「辞任の必要がある」と回答したのが17。回答があったうちの半分を超えています。今後まだ増える可能性もあり、地方からの「辞めろコール」も強まっています。 ──続いて「選挙勝利も…なぜ? 野党も焦り」というのは、何に焦っているのでしょう? 25日に野党8党が集まって、ガソリン価格の引き下げに向けた法案の対応を協議しました。実は、8月1日から臨時国会が行われる方向ですが、ここでこの法案を成立させようという声もあるんです。 選挙後の国会は会期も短く、議長の選出などだけで終わるのが通例です。しかし、今回野党は「異例」の形での法案成立を模索しています。そこには「焦り」があるんです。 どういった「焦り」かというと今、自民党が石破首相の進退をめぐり党内で「せめぎ合い」が続く中、ある野党の党首は「今は批判が自民に向いてるが、選挙で勝った野党も結果を出さないと批判の矛先が向いてくる」と言っています。 有権者は「ガソリン価格引き下げ」を公約に掲げた野党に投票し、野党が勝利しました。野党がまとまればガソリン価格は下がるわけで、早く結果を出さないと「野党への期待が失望に変わる」と焦りを持っているわけです。 ──物価高対策の中でも気になるのは「給付」と「減税」。与党側は「給付」、野党側はこぞって消費税の減税を打ち出しましたが、この実現の可能性はどうなのでしょうか? 結論からいうと「消費減税」も「現金給付」も、実現の見通しは現時点で立っていません。 選挙戦で野党各党は、それぞれ政策を打ち出しました。共通した政策の1つは「消費税の減税」です。食料品だけとか期限を区切るとか違いはありますが、減税自体はそろって主張していました。 では、選挙戦で与党が大敗し野党が勝利したのだから、消費税の減税が実現するのか…と思うかもしれませんが、その見通しは立っていない。なぜなら、野党が1つにまとまれないからです。 一方の与党は「現金2万円の給付」を打ち出しましたが、これも少数与党になったわけで実現の見通しは立っていません。 なので、今の時点で「減税」も「給付」も実現する見通しが立っていないのが現状です。 ──となると、何も変わらないということでしょうか? 今の時点では残念ながら、見通しが立っていません。なぜなら、与党も野党も実現に向けた「枠組み」「チーム編成」を描けていないからです。 自民党には、責任与党というのであればトップを変えるにしても変えないにしても、少数与党の中で政策を実現する枠組みを示してほしいですし、野党にも選挙で得た世論の期待を政策実現するチーム編成に向け、もっともっと焦って動いてほしいと思います。